【北京】領有権争いが起きている南シナ海で再び緊張が高まっている。ベトナムは、嵐の中で避難先を探していた同国の漁船が中国の軍隊に襲撃され、略奪されそうになったと主張。中国は1日、これを否定した。
その1日前の2月29日には、英国のフォーラム・エナジー社が、フィリピンとの契約に基づいて南シナ海での石油探査を続ける方針を明らかにした。中国はこの探査海域についても領有権を主張している。フィリピンのアルメンドラス・エネルギー相は同27日、中国が領有権を主張する海域を含む15の鉱区の探査入札の評価を今後数カ月で終えると述べた。
また、インド国営石油会社の子会社ONGCビデシュはベトナムとの契約で、これも中国が領有権を主張する海域での掘削を今年開始するとしている。中国は掘削をしないよう警告している。
こうした出来事を背景に、エネルギー資源の豊富な南シナ海では今年もまた緊張が高まるとみられている。同海ではこのほか、マレーシア、ブルネイ、台湾も領有権を主張しており、米当局者は同海はアジアでも最も大きな軍事紛争の火種を抱えているとみている。
中国は昨年、ベトナム、フィリピンとトラブルを起こしており、両国は米国とのより緊密な防衛提携を求めるようになった。中国は米国に対して、同海での紛争に口出ししないよう繰り返し警告している。
中国が南シナ海問題で一段と強硬な姿勢を取り、また、軍事力の増強を図っていることから、米国政府は昨年、軍事、外交の焦点をこれまでのイラク、アフガニスタンからアジア太平洋地域へとシフトすることになった。米国とフィリピンの当局者によると、これを受けて米沿岸警備隊は昨年、カッター1隻をフィリピン海軍に移し、今年もう1隻を移すことになっている。
ベトナム国営通信によると、今回の中国とベトナムの対立の元となった出来事は2月22日に起き、11人のベトナム人漁民が嵐を避けて西沙諸島に上陸しようとしたが、中国は武力でこれを阻止したという。同諸島は1974年の軍事衝突で中国がベトナム軍を追い出し、占領した。同通信は、中国軍は漁民を襲い、その所有物を奪おうとしたという。
同通信によると、ベトナムは中国大使館に正式に抗議した。ベトナム外務省の広報担当官は、中国の行動はベトナムの主権を「著しく侵害」し、「生命と所有物に重大な脅威を与えた」と批判した。中国外務省は、中国側は武力を使用しておらず、またベトナム漁船に乗り込んでもいないとしている。