三十路の官僚のブログ

昨年(2011年)に30歳を迎えた経済産業省官僚(現在NEDO出向):宇佐美典也が、日々の仕事と給料事情について切々と語るブログです。


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現在午前2時。土曜のこんな時間にブログ更新してるのは大変不健全だけれど、金曜がっつり酒飲んで朝まで遊んで生活リズムが崩れてしまったものでしかたがない。とはいえ20代前半に比べると最近不摂生は明らかに次の日に影響するようになってきているのでほどほどにしなければ(汗


さて前回は自分の思いをいろいろ書いたけど、今日はちょっと自分がどういう立場にあってどういうことをしてるかってことも含めてザクっとした自己紹介がしたい。


僕は生まれも育ちも基本的には東京で(ちょこっとイタリアにいたりしたけど)都心に住んでまして、青山の公立の小学校に通って(素敵な仲間に囲まれて本当に良いところだった)、でもって受験して私立の中学校高校通って、でもって一浪して東京大学の経済学部に入って、国家公務員一種試験ってのをうけて、卒業してキャリア官僚として経済産業省にはいることになったってところです。色々とバブルがはじけたあとは我が家なりに苦労したけど、総じて恵まれた環境で育ったんじゃないかなと思う。


でもって今の立場をさらに正確に言うと、経済産業省の本体じゃなくて、経済産業省絡みの国家研究開発プロジェクトのマネジメントする独立行政法人の新エネルギー産業技術総合開発機構(略称「NEDO」)ってとこにいる。そんななかで自分の所属している部署は「電子・材料・ナノテクノロジー部」って部署だ。
具体的には、レアメタルの代替材料の開発だとか、CPUとかメモリを製造するための装置の開発だとか、有機ELディスプレイの開発とかいったことを開発している。


結構独立行政法人ってのは風当たりが強くて世間では「不当に優遇された立場で国民を搾取している!!」なんて見ている人も結構いるけど、少なくとも自分が観る範囲ではまだまだ改善の余地があるとはいえ、みんな”粛々と”真面目に仕事しているとは思う。うちはその性格上人員の半分以上の人が民間企業からの出向者で色々な違う文化を持った人が集う場なのでそう言う意味でも面白い。

少なくとも僕は自分の仕事が少しは人類の進歩に貢献していると思うし、自分の仕事に対して多少のホコリは持っている。他人がどう思うかは他人の勝手だけど。

   NEDOのホームページ

そんな30歳官僚な僕の待遇はというと大体、手取り(税+基本保険料は源泉徴収)で年収450万円ってとこで、寮はないので都心に住宅借りて住んでる。

そんなに不満はないけれど、来年はここから8%位減るわけで、そうすると今の生活を見直すことが必要なわけで正直しんどいかな~って気持ちはある。ただ僕自身は給料に関してはわりと達観していて、上げろとも下げろとも言うつもりはなくて、

「今ぐらいの給料水準だったら仕事もやりがいがあるししばらく続けてもいいかな~。ただあんまり減るとしんどくなるから、その時点で持ってる仕事が1年~2年くらいして落ち着いたら転職してもっと給料のいい仕事につこう」

ってくらいだ。
一度転職活動する中で、今まで仕事を一生懸命やってきてそれなりに実力と知識がついてきて30歳って年齢ならそこまで苦労せずに今より条件のいいところにいけるだろう、って自信がついた。(たいていの若手官僚は同じような感じだと思う。)ま~いやらしい話、「東大卒」ってブランドも多少は通じるしね。


こんだけ本音言っちゃうと「もっと金に囚われず、心で国のため尽くせ!!」って反感覚える人もいるかもしれないけど、僕も官僚とはいえまだまだ人生楽しみたい若者なのもので、上に書いたことが本音なんだから仕方ないんだよね。


ではでは今回はこれくらいにして次回以降は、気がむいたことをつらつらと、特にうちの部署の仕事に関することを書いていこうと思います。


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お初に読む人は、はじめまして宇佐美典也(30歳:実名)と申します。
私はいわゆるキャリア官僚でございまして、悪名高き経済産業省に働いてもうすぐ8年目になります。この間いろいろありまして一時は転職寸前までいったりしたのですがなんだかんだで役所に残り、昨年ようやく三十路入りしたばかりの若造です。

さてここは今まで仕事の日々の葛藤と色々と技術的なことを書いていたブログ(旧名:サイバーフィジカルシステムのブログ)だったのですが(過去の記事は全削除)どうしても仕事の守秘義務の問題で書きたいことをかけなかったのでしばらくブログをやめていました。


でもなんか書くネタはないかな~と思っていたところようやく「これは書きたい!!」というテーマが見つかったのでしばらく気がむいた時に書き続けてみようと思います。

でズバリテーマは「国家公務員の仕事と給与について」です。

え~本日めでたく衆院を国家公務員給与削減法が通りまして、来月からほぼ確実に私の給与は7.77%ほど減ることになりました。(大当り??)

で、とても悲しいのですが、ま~その結果自体にどうこう言うつもりはありません。

公務員の給与は国民の代表たる議員が決めるものでしょうし、今回は「震災復興のため」ということでこういう時に身を削るのは国家公務員が範を示すのは悪いことでないと思いますので。

ただその決定プロセスに関してはとても残念に思ってまして、本来は給料というものは個別の仕事に対して評価がなされて決まっていくものだと思うのですが、今回はそういった「公務員の仕事とはかくあるべし」とか「そもそも公務員の給与とはこうあるべし」みたいな議論が何もなされず、勢いだけでなんだか民主党と非常に一部の労働組合の方々が一部でゴニョゴニョ話して、そのあとに与野党も混じれてドロドロになった挙句に本質的な議論は何もなされず、なんだか結果的に「一律の」給与削減が決まったというところで、減らされる方にしてもなんだか釈然としないところがあります。


でもまぁよくよく考えてみると、その背景には国民のみなさんには私みたいな若手の官僚がどういう仕事をしていて、んでもってどれくらいお金をもらっていて、どんな生活をしているのか、ってことが目に見えないので、どうしても財政事情っていうマスだけの議論で一部の利益代表者による交渉で一律の削減という結末になってしまうのかな~、と納得するところもあります。

なのでここではしばらく公開できる範囲で私がどんな仕事をしていて、どれくらいのお金をもらって、どんな生活をしているかを書いていきたいと思います。

今の給与削減は暫定二年ですが、そのあとに必ず公務員給与の見直しの議論が起きます、その時に今回みたいな政治家の都合だけで振り回せるのはまっぴらごめんで、どういう結論になるにせよ、ちゃんと

 「そもそも公務員の仕事とは、給与とはどうあるべきか?」

という話をして欲しいんです。このブログがその時の生々しい材料になればいいな、と思っています。



結論が「経済産業省の官僚のようなゴミの給与は一律に半減すべきだ」となろうが「もっと個人個人の仕事に応じて、給与を上げたり下げたりする柔軟な給与体制を作るべきだ」となろうが、「給与は維持するが、人は猛烈に減らすべき」となろうが、それは私たちの生活に直接影響を与えることになるので、もっときちんとした議論がして欲しいんです。
(ただこんなことを今は書いていますが、私も暇ではないので飽きたらやめます(笑))


最後にひとつだけ公務員の給与削減に対する今の報道なり政治家の説明なりに意見を言いますとよく

「野田首相は消費税増税に向け、公務員給与を削って身を切る改革をした」

という報道を散見するのですが(また某幹事長もそういうことをいっていますが)

○今回の国家公務員給与削減は震災復興予算をひねり出すためであって、消費税増税はなんにも関係ないこと。(僕だって官僚ですが国民です。当然増税は嫌です)
○「身を切っている」のは我々省庁職員であって、国会議員の方がは全然「身を切っていない」こと。
(別に議員は自分の財布は全然痛まないんだから、身も痛まない)

を考えるとこの主張はおかしな話です。言うなれば親が家計が厳しいから自分の使うお金は減らさずに子供の小遣い減らして「我が家は節約している!!」と自慢げに周りに言いふらすようなもので、子供からしてみれば「お前、ちょっww」って感じです。


あんまり公務員が政治的な発言をしないほうがいいことは分かっているのですが、こと自分の生活に直接関わることなのでこれくらいは言っても許されると思います。

政治家が「身を切る」改革ってのは議員歳費の削減とか政党助成金の削減のことを言うのでしょう。(私個人は議員歳費の削減には反対なのですが)

では本日は以上で。
次回以降は自分の仕事か給与についてでも書きます。