講義詳細

6月6日放送

第10回 「アリストテレスは死んでいない」

Lecture19 ゴルフの目的は歩くこと?
アリストテレスは、政治の目的は、市民の美徳を促進し、高めることだと主張する。国家や政治共同体のテロス(目的)は、「善き生」を実現することだ。そして、その共同体の目的にもっとも貢献する市民が、もっとも報いられるべきだと言う。サンデル教授は、アリストテレスの正義論から、現代のゴルフについての議論に展開していく。足に障害のあるゴルファー、ケーシー・マーティンが、ツアーでゴルフカートの利用を拒否されてPGA(全米プロゴルフ協会)を訴えた訴訟を題材に、「コースを歩く」ことはゴルフの目的なのかを議論、アリストテレスの目的論が現代においても大きな意味を持つことを明らかにしていく。
Lecture20 奴隷制に正義あり?
アリストテレスの考える正義とは、「適合」ということである。つまり、美徳や卓越性を備えた者は、それにふさわしい役割を与えられなければならないのだ。アリストテレスは奴隷制を擁護した。政治を論じ合うため、市民は、単純作業や家事から解放されなければならず、その雑用を引き受ける存在が必要だからである。さらには、生まれつき統治されることに適した人間がいるとまで言い切っている。人間には、自分自身の役割を決める自由があるのではないか。サンデル教授は、アリストテレスへの反論を検証しながら、その哲学は本当に、過度に個人の自由を制限しているかを議論する。

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