100兆円にもおよぶ借金を抱える日本について、いよいよ国家破綻の可能性が語られ始めた。だが、そもそも国家破綻とは何なのか? その最初の引き金になるのは、円の信用喪失だ。ジャーナリストの須田慎一郎氏が説明する。
「もともとお札や国債というのはただの紙切れ。その紙切れに国が『価値がある』と信用を与えているのです。そう考えると、国の信用力がなくなり、通貨や国債が暴落して紙くず同然になるのが国家破綻のイメージです」
つまり、個人の破産も国家破綻も仕組みは同じ。対外的信頼をなくし、お金を借りられず、破産に至るのだ。では、国家破綻は具体的にどう起こるのだろうか?
「国債の償還日にお金を返せなければ、国債も円も暴落して世の中が一変します」(第一生命経済研究所主席エコノミスト・永濱利廣氏)
そんな国債暴落の兆候はすでに表れている。永濱氏は「格付け会社が格下げするときがシグナル」と言うが、昨年8月、3大格付け会社のひとつ、ムーディーズは日本の国債を先進国で最低の「Aa3」に。また、今年2月2日付の朝日新聞は1面トップで「日本国債急落シナリオ 三菱UFJ銀が対応策」と報じたばかり。世界や市場のみならず、国内金融機関も日本の国家破綻を現実視しているのだ。
EU設立の“陰の立役者”といわれるジャック・アタリ氏は著書『国家債務危機』で、1800年から2009年までに計318回のデフォルト(国の債務不履行=財政破綻)があったと記している。近年では、01年にアルゼンチンが債務不履行を宣言。韓国もアジア通貨危機の97年、そして世界金融危機不安による11年と2度もデフォルト寸前に追い込まれた。
08年のリーマン・ショックで世界中が金融不安に陥ったように、グローバル経済の現在、いつどこで何が起きても不思議はない。EUはギリシャ危機で解体も議論され、中国のバブル崩壊も危惧されている。そんななか、世界が警戒し始めているのがいまの日本だ。
「GDP世界第3位の日本がデフォルトしたら、その影響がほかの国に波及する可能性は大いにあります。市場の金融商品からお金が引き揚げられ、リーマン・ショックみたいな状況になるかもしれません」(永濱氏)
もし財政破綻すれば、「日本はIMFの管理下に置かれるでしょう」(永濱氏)。破綻後のシナリオは、97年にIMFの管理下に置かれた韓国を例にとればわかりやすい。経済アナリストの森永卓郎氏が言う。
「韓国の場合はその後、株式市場の4割が外資に買われ、残りの6割も韓国の経済強者が買い占めました。日本も同じようになると思います。従来の、みんなで仲良くという社会は壊れる。金持ちが貧乏人を札束で引っぱたいて奴隷のように使う社会になります」
そうなれば、もう“絆”どころではなくなってしまう。韓国は97年、デフォルト寸前になった後にV字回復したが、日本の場合はどうだろうか。
「当時の韓国は固定相場制に近かったけど、日本は完全変動相場制。IMFが介入できる余地はほぼありません。市場のメカニズムに委ねるしかないんです」(須田氏)
当然ながら、市場の論理は“弱肉強食”だ。それでも「目を背けるな」と須田氏は言う。
「ある日、急にそうなっても慌てないように、デフォルト後をイメージしておくことが大事です」
個人には国家破綻を止める術(すべ)はない。だからこそ最悪の状況にいまから備えておくべきなのだ。
