宮市　４・９五輪予行演習

　日本代表のＦＷ宮市亮（１９）＝ボルトン＝、ＭＦ香川真司（２２）＝ドルトムント＝ら海外組が１日、中部国際空港から欧州へ出発した。宮市は前日２月２９日のＷ杯アジア３次予選ウズベキスタン戦（２月２９日、豊田）で代表デビューはかなわなかったが、戦闘モードに切り替えた。ボルトンの月間最優秀選手にも選ばれ、気持ちは３日のイングランド・プレミアリーグ首位のマンチェスターＣとの大一番。気合を入れ直し、ロンドン五輪出場も誓った。

　宮市に失意の色はなかった。むしろ、胸が高鳴っている。ウズベキスタン戦では出番がなかったが、マンチェスターＣ戦が３日に控える。首位を走る“超”ビッグクラブとの対決に目を輝かせた。「土曜日にすごい大きな試合が控えている。コンディションを整えて、今できる最大限の力を出したい」。重低音の声に決意を込めた。

　注目を集めるのは、日本だけではない。１９位と低迷するボルトンでも救世主としての期待を背負う。クラブのフェイスブックの公式サイト上での投票で、２月のクラブ月間最優秀選手に選出された。「本当ですか？うれしいですね。でも、日本でこれだけ騒がれるとは正直、思わなかった…」。“宮市フィーバー”にはにかみ、１９歳の一面も見せた。

　勝負師の顔も見せた。「毎試合、インパクトを残す。結果にこだわってやりたい」。そのための備えもしている。１月にロンドンを本拠地とするアーセナルから、北部の都市ボルトンに期限付き移籍した。日本食が手に入りにくくなったが、インターネットでロンドンから納豆やうどんを取り寄せて体調を維持しているという。

　ブレークして今夏のロンドン五輪出場へ。描く青写真もある。快足ストライカーには、Ｕ−２３日本代表の関塚監督も熱視線を送る。ウズベキスタン戦の前日練習に直接足を運び、「頑張れよ」と声を掛けたという。この日、宮市も「五輪は呼ばれれば出たい。ロンドンでやれるのは楽しみですからね」と笑顔を浮かべた。歩みを止めない−。衝撃を与える。大志を抱く１９歳は、再び決戦の地イングランドへと飛び立った。　（占部哲也）