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【社会】

有料のバーベキュー広場 全国のモデルに 大学生研究

2012年3月2日 11時28分

バーベキューの利用者でにぎわう、川崎市高津区の多摩川河川敷(昨年10月撮影)

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 川崎市高津区瀬田の多摩川河川敷に有料のバーベキュー広場が開設されて、まもなく一年になる。市内在住の大学生が同施策について研究リポートにまとめ、三日、横浜市都筑区の東京都市大学で開かれる環境行政改革フォーラム(青山貞一代表)研究発表会で発表する。マナーが改善され家族連れで利用しやすくなったなど、バーベキュー場の整備は、市民から支持される身近な施策として高い評価を受けているようだ。 (山本哲正)

 有料化以前の多摩川河川敷は、バーベキューの場としてにぎわっていた半面、地元にとっては利用者のごみ投棄や騒音が問題になっていた。市は約四ヘクタールを国土交通省から借り受けてトイレなどを整備し、昨年四月から利用を午前九時〜午後六時と制限、一人五百円の利用料も徴収している。

 この施策を、身近な問題として卒業研究のテーマにしたのは、東京都市大環境情報学部四年の竹森菜津子さん(22)。一昨年九月の試行期間を含め主に昨夏までの状況を、現地調査も含め調べた。

 市による試行時の近隣住民へのアンケートで、利用者の迷惑行為が「改善された」の回答が約77%に上り、「悪化した」との回答がなかった点をとらえ、竹森さんは「近隣住民への迷惑行為が減る試み」と高く評価。有料とはいえ市民のバーベキューの場を奪わなかった手法を「何でも禁止すればよいというのではなく、多摩川の自然に接する機会を守った意義もある」と評した。「バーベキューを家族で楽しんで家族円満になる」との持論も盛り込み、「河川敷利用の一つのモデルとして全国に普及させてほしい」と話している。

 川崎市建設緑政局によると、秋以降も利用は伸び、二月二十九日現在で利用者は十一万五千二百四十九人。まだ会場と最寄り駅の間の通行マナーなどに課題は残っているが、「大音響を響かせるなどわがもの顔だった利用は規制され、『落ち着いた雰囲気で、家族で来やすい』と喜ばれている」としている。

 研究発表会は午前十一時〜午後六時。発表は約四十五件で、環境アセスメントに詳しい東京工業大の原科幸彦教授や、ジャーナリストのまさのあつこさんらも参加。原発問題に特化した分科会もある。参加には予稿集代として千円が必要。

(東京新聞)

 

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