政府は2日、少年院の収容少年の権利などを明記した少年院法改正案と、新設する少年鑑別所法案を閣議決定した。少年院法が改正されれば、施行以来約60年ぶりの抜本改正。両法案は、収容少年が「更生や社会復帰に資する」と認められる場合、家族などと電話で通信できると規定。施設内での処遇に不満がある場合は、法相に救済を申し立てられる新制度も盛り込んだ。
また、外部の有識者らが施設の運営状況をチェックし、施設長に意見を述べられる「視察委員会」の設置も定めた。収容少年に対する教育や指導の充実を図るため、個々の特性に応じた具体的な「矯正教育計画」を立てるシステムも明記。16歳を境に年齢で分けていた初等少年院と中等少年院を「第1種少年院」に統合し、犯罪傾向が進んだ少年が入る「特別少年院」と、心身に著しい障害のある少年が入る「医療少年院」もそれぞれ、「第2種」「第3種」と名称変更する。
少年院法は1949年の施行後、大幅な改正はなかったが、09年に広島少年院で法務教官らが収容少年に暴行を繰り返していたとして逮捕される事件(4人の有罪が確定)が発生。事件を受けて設置された「少年矯正を考える有識者会議」が10年、適正処遇のための法的整備を求める提言をまとめていた。
少年院法は現行の28条を147条に拡大。家裁で審判を受ける非行少年が一時的に入る少年鑑別所についてはこれまで、独立した法律がなく、少年院法に3条の関連規定があるだけだったが、単独の法律案として提示された。【伊藤一郎】
毎日新聞 2012年3月2日 10時27分(最終更新 3月2日 11時00分)
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