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【社会】

エネ庁ネット監視 原発デマ対策HP 半年経ても未完成

 東京電力福島第一原発事故を受け、放射性物質の健康影響などネット上で飛び交う原発や放射能関連の不正確な情報を打ち消すため、経済産業省資源エネルギー庁が正しい情報を発信するホームページ(HP)が、当初予定から約半年経過しても完成していない。同庁は、正しい情報の確認作業が難航しているためとし、完成を三月末に先送りした。

 食品への不安や風評被害が広がり、国民が正確な情報を求める中で、事故から一年近くたっても提供できない同庁の事業に批判が集まりそうだ。

 同庁をめぐっては、多額の税金を投じ、原発に関する新聞などのメディア情報を監視してきた問題が本紙の調査で判明。今回のHPは、同庁が監視の対象をメディアからツイッターやブログに変更したことに伴い、本年度から着手した。

 昨年五月の一次補正で急きょ予算を計上し、一般競争入札で落札した都内の広告代理店「アサツーディ・ケイ」に八月中旬、約七千万円で委託した。

 入札仕様書には「速やかに正確な情報を提供」することを重要点として明記。デマ情報を集めた上、事業開始から一カ月程度で三十項目以上、最終的には約百項目をQ&A形式でまとめ、昨秋をめどにHPに掲載するよう求めていた。しかし、HPは「現在改定中」とされ、情報提供が一切行われていない。

 エネ庁の担当者によると、広告代理店がデマ情報として集めた大半が放射能の健康影響についてだったが、専門家の助言が人によって見解が異なっている。また、食品規制や除染など国の対応が変遷したことも影響し「正解」の作成に手間取っているという。

 エネ庁原子力立地・核燃料サイクル産業課の武田龍夫原子力広報官は「放射性物質の健康への影響は国民の関心が高く、慎重に対応する方が良いと判断した」と説明している。

◆事業に必要性ない

 法政大の五十嵐敬喜教授(公共事業論)の話 言論の自由の観点から国が情報を監視すること自体、不適切な上、放射性物質が人体にどんな影響を与えるかは定説がなく、ある情報が誤りだと一律に判断するのは難しい。事業の難航は当たり前で、この段階でもホームページが作成できないなら、正当性や必要性がないことは明らかだ。

 

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