J1サガン鳥栖の北京五輪代表FW豊田陽平(26)が沖縄キャンプ最終日の11日、韓国Kリーグ、水原との練習試合(45分×2本)で圧倒的な存在感を発揮した。後半に相手選手から殴られてダウンさせられる乱闘事件がありながら、その後もめげずに攻撃の要としてチャンスを演出。昨季J2ランクトップの23点を挙げた絶対的エースが、今年も大黒柱としての地位を確立した。試合は0-1で敗れた。
鳥栖の大黒柱は不死身だった。後半30分。鳥栖の選手と接触して倒れた水原の選手が、まったく関係なかったFW豊田の左肩付近に突然右ストレートを見舞った。被害を受けた豊田はダウン。常軌を逸した不意打ちに、ピッチでは両チームのイレブンが入り乱れて騒然とした。
韓国チームは毎年シーズン前の練習試合で乱闘事件を起こすものの、あからさまに殴るのは珍しい。起き上がった豊田はさすがに退場となった相手に詰め寄るなど怒り心頭だったが、試合が再開されると再び大黒柱に徹した。「どういう状況で起こったかよく分からないけど、痛みは大丈夫だった」と変わらず前線で体を張ってプレー。同44分には途中出場のFW岡田にスルーパスを送り、決定機をつくった。
チームでは一番体を鍛え抜かれているといわれ、その体つきからコートジボワール代表FWドログバとかけて「トヨグバ」とも言われている。もっともこの日見せたのは、精神面での強靱(きょうじん)さだ。
われを失わず試合を続行できたことで、岡田や練習参加しているブラジル人FWトジンとのコンビも試せた。「課題も見つかったが、昨年鳥栖がやってきたサッカーを変える必要はない。あとは、自分が期待されている得点を取りたい」と豊田。鳥栖に帰ってからは味方との連係を高めつつ、より貪欲にゴールを狙って開幕モードに突入していく。 (末継智章)
=2012/02/12付 西日本スポーツ=