business コンビニのガラス面に並んでいる(見せている)雑誌の効果は?
コンビニの窓ガラス面に並んでいる雑誌をご存じでしょうか? 業界的にはあの雑誌の並べ方を「サンプル陳列」と呼びます。サンプル陳列の目的は、「本日発売の雑誌を告知する」ことにあります。コンビニにおける雑誌の売り方成功例は「本日発売する雑誌を当日中に売る」ことで、前日発売商品は売り難い商品となります。
雑誌という商品の性質上一度購入するとお菓子のように「おいしかったからもう一度買おう」という消費行動にはなりません。一度購入するとそれでおしまいです。どこよりも早く売ることが重要となるのです。そのため、コンビニでは積極的に本日発売雑誌をアピールしているのです。
サンプル陳列はそのような雑誌の商品特性を考慮した陳列方法となります。コンビニの店頭を通過する通行人に向けて「本日発売の雑誌です!」と告知しているのですから。
このサンプル陳列が実はくせ者なのです。実際に効果があるのだろうか?とコンビニ店長は不信感を抱いています。
雑誌サンプル陳列の効果が薄いという結果が出てしまうとコンビニの店長としてもサンプル陳列を実施・メンテナンス(毎日入れ替え)することがおっくうになってきます。
そうなると、面倒な作業を軽減しようと考えるので、入れ替える必要のない雑誌(ムック)やポスターの掲示が増えてくることになります。特に入れ替える必要のない雑誌は悲惨な状況になります。日に焼けてしまい白っぽくなった雑誌が長期間陳列され続けているのですから、いくら通行人が見ていないといえども、店舗のイメージが悪くなります。
コンビニの店長がサンプル陳列を嫌う理由がもう一点あります。
それは、「返本作業忘れが発生する」ことです。雑誌は返本ができる商品です。売れ残った商品は取引先に返品できるのです。ただし、ある一定期間を過ぎると返本を受け付けてくれなくなります。
週刊誌だと約2週間経過すると返本を受け付けてくれなくなります。サンプル陳列を行っていると、サンプルに入っていた雑誌を忘れてしまい、返本の処理を行わないケースが発生する可能性が高まります。返本を忘れてしまった場合は店舗の在庫となってしまうので、店舗の負担になってしまいます。
「販売への効果も今一つ」、「店舗のリスク要因にもなる」残念ながら雑誌サンプル陳列に対するコンビニ店長の皆さんの思いは良いものではありません。最近の店舗では、大きなポスターを掲示しているケースが増えてきました。
九州地方のあるコンビニではサンプル陳列スペースに今週の新規商品告知をしていました。私のクライアント企業でも同様の取組を行っている店舗もあります。
コンビニ店頭の活用方法については過去、試行錯誤を繰り返してきました。プロジェクターの映像を窓ガラスに投射する。といった店舗もありました。店頭告知によるお客さまの店内への誘引を目指して各社まだまだ努力をしているところです。
※この記事は、2008年07月30日~2009年12月18日まで日経ビジネスAssocieにて、連載していたものを加筆・修正し掲載しています。
●筆者プロフィール
笠井 清志(かさい・きよし)
船井総合研究所 戦略プロジェクト本部 次長 シニアコンサルタント。
1974年大阪府生まれ。複数の企業にてキャリアを磨き、船井総合研究所の経営コンサルタントとして従事する。コンビニ本部等の多店舗展開チェーン企業へのコンサルティングを中心に活動。クライアント先である「NEWDAYS」の平均日販を日本一に押し上げたことが話題になる。月刊コンビニ(商業界)にて連載を持つほか、著書に『コンビニのしくみ』(同文館出版)や『よくわかるこれからのスーパーバイザー』(どちらも同文館出版)がある。
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