総理大臣

日韓首脳会談(概要)

平成23年10月19日

  • (写真)日韓首脳会談-1
    (写真提供: 内閣広報室)
  • (写真)日韓首脳会談-2
    (写真提供: 内閣広報室)

 10月19日(水曜日)午前10時20分から約80分間,野田総理大臣は,訪問中の韓国ソウルにおいて,李明博(イ・ミョンバク)韓国大統領と日韓首脳会談を行ったところ,概要以下のとおり(同席者:日本側から,齋藤官房副長官,長島総理大臣補佐官,武藤駐韓大使ほか,韓国側から,ミン・ドンソク外交通商部第2次官ほか)。

 なお,両首脳は本首脳会談に続いて,共同記者会見を行った後,青瓦台内の別棟の昼食会場に二人で徒歩で移動し,大統領主催の午餐会が行われた。

1.日韓関係総論

(1)今回の訪韓は,野田総理にとって総理大臣としてはじめての二国間会談のための外国訪問。本会談では,最初の少人数会合で,両首脳は,日韓両国は基本的価値を共有しているのみならず,政治家としての信念を共有していることをお互い確認し,二人の首脳の間の心から信頼感をもったやりとりから始まるという,大変良い雰囲気の下で行われた。

(2)李明博大統領は,1)野田総理の来韓につき歓迎の意を述べるとともに,経済,安保,国際舞台での協力について,緊密に協力したい,2)日韓間には時に難しいことがあるが,野田総理と共に未来に向かって協力したい旨の発言があった。これを受けて,野田総理より,1)ニューヨークでの首脳会談以来,早々に大統領と再会できて嬉しい,2)今般の李明博大統領の訪米のご成功をお祝い申し上げる,3)日韓両国は,共に米国の同盟国であり,基本的価値,東アジア地域の平和と繁栄の確保等の利益を共有している旨述べた。

(3)両首脳は,日韓関係には時折難しい問題が起きることもあるが,両国が未来志向の考えの下,日韓関係全体に悪影響を及ぼすことがないよう,大局的な見地から協力していくことで一致した。

2.要人往来等

(1)両首脳は,首脳・外相を含む両国の人物往来を活発化させ,緊密に意見交換をしていくことで一致した。この中で,両首脳は,首脳レベルでの「シャトル外交」の活性化,出来るだけ早期の李明博大統領の訪日に合意した。

(2)両首脳は,「第2期日韓新時代共同研究プロジェクト」(注)の開始について合意した。
(注)第1期共同研究は,2008年4月の日韓首脳会談で合意し,2009年2月に開始。「国際政治」,「国際経済」及び「現在及びこれからの日韓関係」をテーマに両国の専門家が共同研究を行った。2010年10月に第1期の報告書を発表・提言。同報告書には,日韓両国が協力して取り組むべき協力内容を記述(例:日米・韓米同盟と日韓安保協力の強化と発展,域内の金融危機再発防止及び金融秩序安定のための協力)。第1期日本側座長は,小此木政夫 慶応大学名誉教授,韓国側座長は河英善(ハ・ヨンソン)ソウル大学外交学科教授。本首脳会談で第2期プロジェクトの開始について合意・発表した。

3.図書の引渡し等

 図書の引渡しについて,李明博大統領は,今回,野田総理に図書を持ってきてもらったことは韓日関係の未来のため象徴的な意味合いがある旨述べ,野田総理は,今回の訪韓に際し,本年発効した日韓図書協定で引渡すこととなっている図書のうち一部(注)を持ってきた,残余の図書については適切な時期に引き渡せるよう調整したい旨述べるとともに,日本由来の文書のアクセスの改善について要請した。

(注)今次引渡しの対象となった図書は,王世子嘉礼都監儀軌(おうせいしかれいとかんぎき)2冊,大礼儀軌(たいれいぎき)1冊,正廟御製(せいびょうぎょせい)2冊の合計5冊。

4.日韓EPA,日韓通貨スワップを含む日韓経済関係等

(1)野田総理から,最近の民間企業の連携を後押しし,地域における基本的なルール作りを日韓で主導していくためにも,可能な限り早期に日韓EPA交渉再開に合意できるよう,交渉再開に必要な実務的作業を本格的に行わせたい旨発言し,李明博大統領から賛同を得た。

(2)日韓通貨スワップについて,両首脳は,金融市場の安定の確保が日韓両国経済の安定的な成長に大変重要であるとして,総額700億ドルに拡充することで一致した。

(3)野田総理から,東北地方の復興は引き続き日本の最重要課題であり,復興・観光・風評被害対策等について,韓国と協力して取り組みを進めていきたい,これが人的交流のさらなる活性化につながることを期待する旨述べ,李明博大統領は,5月に大統領自身が被災地を訪問した際の経験を踏まえ,被災地の方々のご努力を評価し,そうした方々から学ぶべきことが多い旨述べた。

5.北朝鮮問題等

(1)両首脳は,北東アジアの安保情勢等にかんがみ,また,直前の李明博大統領訪米の際の韓米首脳会談を踏まえ,日韓関係及び日韓米関係はこれまでにも増して重要であり,引き続き緊密に意見交換をしていくことで一致した。

(2)北朝鮮問題について,両首脳は,北朝鮮によるウラン濃縮活動を含む核開発やミサイル問題への対処において日韓及び日韓米が緊密に連携すること,南北対話・米朝対話を引き続き実施し,北朝鮮の具体的行動に繋げていくことが重要であることで一致した。また,野田総理から,拉致問題に関し,総理は被害者全員の一日も早い帰国を目指して全力で取り組んでおり,韓国と連携していきたい旨述べた。そして,野田総理から,拉致問題に係る韓国側の理解と協力に感謝し,李明博大統領から改めて支持と協力する旨の表明があった。

6.その他

 両首脳は11月のG20サミット,来年3月のソウル核セキュリティサミット等国際場裡での日韓の協力の重要性等についても一致した。


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