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再チャレンジ成功までの記録(2.不合格原因の分析)

発表後一段落して暇だったりするので、書きためた分を連続でアップしておきます。例によって大したことは書いてありません。

*長文なので注意してください
*正直に書いているので、恥ずかしいことも書いてある一方、不快に思われる表現・内容が入っているかもしれませんが、ご理解ください。また、試験に関する分析などはすべて私見なので正確性は保証できません。内容について信じるも信じないも自由です
*個人的には、自分のことを直接知っている人に生で話を聞くのが一番ためになると思っています。自分に合った勉強法を見つけるには、自分のことをよく知っていて、客観的に見てくれる人のアドバイスが有益だからです


2.不合格原因の分析

2.1 論文成績の検討
しばらくして論文の成績が届きました。結果はこちらでご案内の通り、総合でいうと僅差で落ちていたとはいえ、民事系と刑事系の不出来はどうしようもないもので、落ちて当然というべきものです。

僕の得点の特徴としては、公法系がなぜかよくできている一方、民事刑事が不出来である(特に刑事は分かっていたとはいえひどすぎる)というムラのある成績でした。
そのうち、できている方の科目である公法と知財に着目すると、これはどちらかというと他の受験生の勉強が相対的に進んでいない科目であることや、公法にいえるように論点知識そのものがあまり必要でないということから、勉強がおろそかでも勝負できてしまう(とはいえ点数がよかった理由には運のよさもあるだろうが…)という特徴があるように思います。他方、民事や刑事はみんな普通に勉強してくるし、基本的な論点の理解や知識の正確さ、処理パターンの確立などが求められる点で、勉強の積み重ねが必要な科目です。そういう科目で差をつけられているというのは、自分の準備が足りなかったということの表れなんだろうと考えました。

再現した答案も見直してみると、確かに民事と刑事では基本的な理解の欠如が答案に現れており、ウソを書くという悲惨なことになっていました。思い返すと、これらの科目では「どこかで見たことあるけどどうするんだっけ」といった迷いがあって、そこから焦って訳の分からないことを書き綴ったような気がしました。
というわけで、僕が次の受験までにすべきことは、基本的な知識や理解をきちんと定着させ、当たり前のことを当たり前に書けるようにするための対策だろうという結論にひとまず至りました。

2.2 友人への相談
しかし、これだけだと自分の独りよがりな分析になってしまう可能性があります。もしかしたら、知識や理解ではなく、文章力や事案分析のズレなどが問題になっているということもあるでしょう。それらの要素は、自分だけでは気づかないものです。

というわけで、基本が欠如しているという自分の仮説を裏付けるため、一緒に勉強会を組んでいたメンバーや昔からの友人、ローのクラスメイトなどに、僕に足りないものは何だろうと聞いてみることにしました。
文章の問題については、(このブログからも分かるかもしれませんが)一文が長かったり、難しい内容に入ると少し分かりにくくなるところがあるので、整理して書くとよいかもしれないという指摘がありました。確かに、あまり推敲せずに思ったことをざっと書いてしまう性格なので、そのあたりは問題だろうと納得しました。あと、字が小さく詰まっていたり汚かったりして読みにくいということも改めて指摘されました。答練で何度も「字が読めない」と指摘されていたので、それは覚悟してはいました(これは本試験でもまったく改善されていません…)。
そういう指摘はありましたが、普段から僕の答案を読んでもらっていた友人からは、文章力とか事案の把握力のようなもので落ちたという話ではなく、やはり勉強にムラがあったのではないかという意見がありました。他の友人も、僕の普段の姿を見ていたこともあり、受験対策を真剣にやる必要があるということを力説してくれました。

友人には上位合格者やその知り合いが多くいたので、どういうふうに勉強していたのかを聞いてみました。すると、みんな共通して言うのは、すごい答案を書く必要はないし、そんなものを目指して勉強する必要もないということでした。
特に印象に残ったのは、(失礼ですが)普段クラスで授業中あまり目立たなかった人が2桁順位をとっていたということです。その人の答案は法律論の内容についてはかなり淡白らしいのですが、その分とても読みやすい答案らしく、新司ではそういうものが評価されるのではないか…という伝聞情報でした。もちろんその人はその人なりのノウハウを確立していたはずで、それが評価されることは真っ当なことなのだとは思うのですが、少なくとも、学部やローの試験とは全く方向性が違うのだということは感じました。

その関係で指摘されたもう一つの問題は、僕が細かい論点にこだわったりしてバランスを失しがちだということです。理解していたかどうかは別として、法律論を展開することは割と好きなほうだったので、気になるとつい出題趣旨を意識せずに大展開してしまう…ということが、過去にも何度かありました。自分が書きたいことではなく、みんなが書きそうなこと、点数がつきそうなことを書くべきであって、自我を抑えろという、獣をあやすかのようなアドバイスをもらうことになりました。

別に僕の不合格原因が難しいことを書きすぎたからとかそういうわけではないのですが(分かってもいないのに変なことを書いただけです)、法律論で凝っても良い結果にならないというのは、何度も言われたことでした。有名なエピソードとして、憲法の助教になった優秀な方が、総合で見るとよい順位で合格しているものの、公法系では会心の出来の答案を書いたと思ったらひどい点数がついていたといった話があったりするようです。
そこまではいかないにせよ、求める方向性はシンプルで、みんなが書きそうなことをきちんと書く、ということに尽きるのだというイメージを持つことができました。繰り返し書くことになりますが、その後の勉強での僕のテーマは、ずっとこの「みんなが書きそうなことをきちんと書く」という点で一貫させていたつもりです。

なお、「みんなが書きそうなことをきちんと書く」ことで足りるという点については、それなりの裏づけもあるようです。これは伝聞なので証拠能力は保障しませんが、修習に行っている友人が今年(H22)の刑法について採点委員からぽろっと聞いた話によれば、今年の問題は因果関係が一つの山場ではあったが、予想以上に書いている人が少なかったので、配点の見直しがあったそうです。配点表は試験後に作り直すというのは前にも聞いたことがあるのですが、その配点も「みんなが書いているかどうか」を基準にしているらしい…ということです。もっとも、書けたほうがいいのは言うまでもないことでしょうけど。

2.3 上位答案の分析
最後に、実際に上位合格した人の答案をきちんと研究しようということで、出版されている上位答案集や、上位者が書いた答案を個人的にもらったものを読んでみました。

上位答案については前の年にも勉強会で読んだことがあり、そのときには形式の丁寧さなどに感心しつつも法律論のアラが気になってしまい、こんなものなのかなぁという生意気な感想を抱いてしまっていました。
しかし、上述のような反省のうえで読み直すと、細かい部分の議論の不備はむしろどうでもよくて、満遍なく論点を拾えている点や、コンパクトに議論できている点などが素晴らしいと感じました。これは推測に過ぎませんが、上位合格者の中でも特に優秀な方の答案の場合、書けるけど書かなかった部分というのも一定程度あるように思います。そのあたりのチョイスが絶妙というか、みんなが書きそうなことを一通り論じて、一つ二つ出題趣旨との関係で踏み込んだ考察がされているにとどまってはいるのですが、総合すると書けそうで書けない答案になっているという感がありました。実際、一発勝負の制限時間内でこれだけの内容を書くのは、大変なことです。

こうして読み直してみると、論文試験で評価されるのは無難な議論をきちんと積み重ねて展開している答案であるということを再確認することができました。
新司法試験というのは2000人が合格する試験であり、また実務家登用試験である以上、その本質は「特殊な才能」ではなく「実務に必要な基礎理解+処理能力」を測るところにあるはずです。そもそも天才は数が少ないのがその特徴であって…と、刑法の某教授がよく言っているのですが、それは司法試験でも当てはまることで、自分が目指すべきは、淡々と基本理解を示していく答案なのだということだと確信した次第です。本番の極限状況下で、限られた時間の中で答案を作成していくという条件を考え合わせても、それ以上の答案を作りに行くことはなかなかできないし、また逆に「基本」を論じるだけでも十二分に大変なことなのだということに気づくことができました。

2.4 不合格の原因とその対策のまとめ
以上のような過程を経て、自分が不合格だった理由は、(1)勉強不足のために基本的な理解が欠けていたこと、(2)そのため「普通に書くべきこと」が分からず、自分が書きたいことを勝手に書き連ねる独りよがりの答案になっていたこと、の2つが主なものだという結論に至りました。そうなると、あとはこれを修正するだけです。

とはいえ、これは容易なことではありません。基本理解と一口に言っても、その量はそれなりにあります。答案作成上のくせについても、自分を抑えて答案を書くということはこれまでやってこなかったことであり、ある程度意識してトレーニングしないとうまくいかない可能性が高いことは明らかでした。
というわけで、基本理解を定着させること、そしてその範囲で淡々と無難な答案を仕上げていく技術・心構えの習得という2つを目標として、そのための勉強を進めることにしました。

この段階で、僕の目標は「上位合格」ではなく「少しでも合格の確率を高める」ということに固まっています。上位合格を目指すことと合格確率をあげることはかなりの部分で重なるとは思いますが、上位合格という変な目標を立ててしまうと、かえって上記2つの目標からそれたことをしてしまうのではないかという気がしたからです。むしろ、書けそうな論点や気になる部分があっても、時間がかかりそうだったら割り切って省いて先に進むという方針で答案を書こうと心に決めていましたし、それでも平均以上の答案になるくらい基礎的な力をつけるのが勉強の目的なのだと考えました。
昨年度の失敗は、「これまで何とかなってたし、今度も何とかなるだろう」という認識の甘さがその根底にありました。これを払拭するためにも、自分は上位合格を目指すとかそういう立場にあるのではなく、何も分かってないダメ受験生なのだという認識からスタートするよう自分に言い聞かせました。とにかく人並みのことができる実力に達して、何が何でも次に受かるという意気込みです。
そのために、合格に比べれば飾りでしかない順位を目標にするのではなく、確実に合格する1000人くらいの枠に安定して入っていける自分を目標にするというイメージで勉強を進めることにしました。性格上どうしてもどこかで「よいことを書いてホームランを」みたいな欲が出てきてしまうのですが、それは少なくとも再チャレンジ中の自分には許されないことなのだと、本試験の前にも自分に言い聞かせていました。

というわけで、具体的な得点のイメージとしては、特に穴のあった民事刑事について、各科目50点が平均的答案ということで、それより少し良く書けた55点平均くらいの答案が常に書けるような状態を理想にして考えていました。全科目それだけ書ければ500位くらいにはなりそうなので、現実的でもあり、また十分高い目標だと考えていました。失敗の中でもよく出来た公法と選択は、今度は運ではなく確実に同じくらいの点数+αを取れるように抜かりなくやるというのが目標でした。
実際の結果を見ると、ほとんどその通りの成績がついていました。まぁ無難と言ってしまえばそれまでですが、自分のやってきたことの正しさが実証されたようで、その点ではとても満足しています。

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No title

後進のために非常に参考になるエントリーをして頂き、本当にありがとうございました。学部で主領域最優秀、ローで1ブロの人でも落ちうる試験なのだということを実感でき、自分の認識の甘さを痛感させられました。今後、どのような点を意識して試験に臨むべきなのかということがわかり、非常に参考になりました。
このような貴重なエントリーをして頂きながら、さらに情報の提供を求めるような形になってしまい非常に恐縮なのですが、もしよろしければ基本書、演習書等として、どのような教材を用いて勉強していたのかも教えて頂けないでしょうか。
修習の前の多忙な時期に申し訳ありませんが、お手すきの時間にでも教えて頂ければ幸いです。よろしくお願いします。

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No title

返信ありがとうございます。
Tのつくローだから東大か中央かどっちかと思っていましたが、東大だったのですね。
普通自分の合格体験を書く方が多い中、不合格体験を聞けるのは、非常に参考になります。
どうもありがとうございます。

コメントありがとうございます

>nixさま
ローの後輩ということでしょうか?頑張ってください。
よく言われることですが、学部やローの成績は司法試験の成績に直結しません(特に東大は)。無論、きちんと学習して基本から理解している優秀者はそのまま司法試験にも合格されるのでしょうが、基本的に定期試験と司法試験で求められているものは異なるので、付け焼刃で定期試験を乗り切った人間が、同じ調子で司法試験に挑んでも上手く行かないということでしょう。ただ、ローの講義のいくつかには試験的にも助けられていますけど。
使用していた教材などは、また追って記事で書かせていただきますので、そちらを参照していただけましたら幸いです。基本的には多くの人が使っているものと変わらないと思います。

>のりさま
安普請な建物というところで、分かる人には東大だと分かるようになっています。
正直不合格のことを書くのは恥ずかしいのですが、不合格だったときの反省があってはじめて今年合格できたと思っておりますので、そのあたりから正直に書いた次第です。参考になっているのだとすれば幸いです。

返信ありがとうございます

はい。昨年度、東大ローに既修者として入学し、来年度の新司法試験の受験を予定している3年生です。お忙しい中、返信を頂きありがとうございます。
自分のブロックと既修合格率とを対比して、どこかにまぁ大丈夫だろと思っていた自分がいましたが、眠れる豚様のエントリーを読ませて頂き、東大の成績と司法試験の成績は直結するものではないということを実感しました。就活のことも考え、後期はいわゆる楽勝科目と言われている科目を積極的に履修することも考えていましたが、そのようなことはせず真剣に司法試験の勉強に励みたいと思います。
使用教材についてのエントリー、参考にさせて頂きます。東大以外のロー生も含め、このような後進のために非常に役に立つエントリーをして頂き、改めてありがとうございました。眠れる豚様の今後の実務界での更なる活躍を祈念しております。

No title

>nixさま
そうですか。先輩としては恥ずかしい内容を書いてしまっていますが、ご容赦ください。
司法試験対策も無論大切ですが、志望する進路が企業法務である場合などには、ローの成績が極めて重要になってきますので、そのあたりも含めてうまくバランスを取ってくださいね。事務所の先生曰く、GPA的なものは見ているけど科目の詳細まではなかなか見る余裕がないようなので、楽な科目で数字を上げるというのも有効でしょう。ただ、自分の興味に合わせて受講することは将来的にも何かの役にたつだろうし、話のネタにもなるので、そのあたりも含めていろいろ考えてみてください(そろそろ科目選択は終わっているのかもしれませんが)。

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Author:眠れる豚
名前:眠れる豚
2009年度新司法試験で討ち死にしてしまったため、再チャレンジのために淡々と勉強してきた法務博士(無職)。2010年の試験では何とか合格することができました。

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