東和町交差点に計画されている「ラウンドアバウト」のイメージ図 |
飯田市は29日、中心市街地の東和町交差点を、信号機を使わない円形交差点「ラウンドアバウト」にすると正式に発表した。既設の信号機をなくしてラウンドアバウトを導入するのは全国初という。災害で停電してもスムーズな交通を確保できるのが特徴。同交差点はJR飯田駅からも近く、市は新たな市のシンボルとして整備していく考えだ。
ラウンドアバウトは、交差点に向かう車両が左折して円形の「環道」に入り、時計回りに走った後、目的の方向へ抜けていく仕組み。小回りとなる環道では、車両はスピードを出しにくく、速度抑制と円滑な運行につながるという。
記者会見した牧野光朗市長は、停電で信号機が機能しなくなった東日本大震災の事例も挙げながら「ラウンドアバウトは電力を使わずエコ(環境に優しい)。大震災の教訓を生かしたい」と語った。東和町交差点の地元の同意を踏まえて工事を進め、2012年度中の完成を目指す。
同交差点はJR飯田駅の東約300メートルにあり、県道と市道が5方向から交わる。市は09年度から一帯の改良工事を進めており、当初は交差道路を4方向に減らして信号機で制御する方針だった。
市と国際交通安全学会(東京)は10年、同交差点の東約300メートルにある吾妻町のロータリーでラウンドアバウトの社会実験を実施。円滑な交通を確保できることが分かったとし、東和町交差点に導入することにした。市内の他の交差点への設置も検討していくという。