066『局アナ 安住紳一郎』 安住紳一郎 初版2006年
声は届くが 気持ちは届かん
あ~テスト・テスト 只今、私は人生のテスト中
明るいだけでは 未来は暗い
概要
TBSの看板アナウンサーである安住紳一郎アナの初エッセイ本。TBS社員として働くサラリーマンの悲哀や、華やかなテレビ業界の裏側を、ときに真面目に、ときに辛口に綴った痛快エッセイ。『テレパルエフ』2002年11月~05年6月号まで連載したものをまとめる。
読むきっかけ&目的&感想
にち10のラジオ放送は2005年4月から始まっており、ポッドキャスト版の配信は2007年7月から始まっている。にち10(にちてん)は、『安住紳一郎の日曜天国』の略で、毎週日曜日の午前10時から生放送しているTBSラジオの番組だ。あたしはポッドキャスト版を今年(2008年)の春頃から聞き始め、あまりに面白いのでバックナンバーで聞ける分はポツポツと全て聞いた。今やすっかり安住ファンになってしまった。
で、そのにち10を始める前に安住アナが書いたエッセイをまとめた本があると知って読んで見ることにした。
さくら好み ★★★☆☆
あたしはこの本を読んで、あたしは安住ファンではあるんだけど、それは「安住アナの喋り」のファンなんだな、と思った。にち10でのフリートークの構成と比べると、本書に載っているエッセイは(今より若くて慣れていない分、当たり前なんだけど)構成が拙い・・・。サラサラと読めてそれなりに面白くはあるけど、にち10のような印象に残るパンチは無かった。構成云々以外にも、あの安住アナの声と間と鼻息(笑)で聞くからこそ、彼の話は生きてくるのだと思った。
覚書
◆このアナウンスが私の中でのトップ賞
13年前の春3月。私は高校を卒業して田舎から状況する。卒業式の翌日、数少ない東京行きの便には都会で新生活を始める18歳たちでいっぱいだった。僕もその中のひとりだった。希望と不安が入り交ざった機内に、事務的に機長のそのアナウンスは流れた。
「当機は予定より5分遅れで帯広空港を離陸し、現在は福島県沖を順調に航行中です。本日当機は、たくさんの若いお客様にご搭乗いただいております。ふるさとの大地を上空から見つめた気持ちを、いつまでも忘れないでください。地上からの報告によれば、目的地東京・羽田の気温は15度、天候は快晴。皆様の未来も快晴であることを期待しています」
機内がちょっとどよめいたと記憶している。僕は突然投げかけられた優しい言葉に、ビックリしてしまってそのときは正直何も思わなかった。その言葉に感謝する余裕ができたのは、それからずっと後だったと思う。今なら30回は泣ける。このアナウンスが、私の中でのトップ賞。プロジェクトⅩ。
不特定多数の人間に投げかけられていると思っていたアナウンスメントが、時に偶然に、時に意図的に自分に投げかけられていると気づくときがある。そんなとき、なぜだか抱えていた不安が少しうすくなり、勇気を与えてもらった気になる。そんな経験ありませんか?
◆そのうち、どんな人を想定しているのか見えてくる
誰に向けて放送しているのか? 私たちは全国の人々に日々情報を送っているつもりなのだが、しかし実際は、カメラに向かって喋っている。レンズに話しかけるのはおかしいわけで、一応その向こうに誰かがいることを想定している。ではいったい、誰? 研修でよく言われるのは、「テレビの前に三世代家族がいることを想像しろ」と。アナウンサーをじっくり見てほしい。そのうち、どんな人を想定しているかが見えてくる。男性だけを意識しているそこの女子アナさん。目を潤ませてカメラを見るな、俺は嫌い。
ある料理コーナーで「うまい、旨くて死にそうだ」と私はリポートした。深い意味はなかった。何も考えていなかった。すると放送後「病院の休憩室で見ていました。許せないです」という手紙をもらった。ご飯がおいしいだけで死ぬわけがない。本当に“死”と日々闘っている人たちもテレビを見ているのだ。想定が甘すぎる。思い出すと今でも苦しい。
◆生番組打ち切り の後に始めた生番組
4月から新編成が発表された。そして私は懸念していた大きな問題に見事ぶち当たってしまう。『ジャスト』の後枠にはドラマの再放送が決まった。そして残り13ある生番組の枠に私の名前は見当たらなかった。
入局以来“生”を中心にやってきたし、向いていると思っていただけにショックだった。『ジャスト』の打ち切りが決まった翌週から「生を1コマでいいからやらせてほしい」とお願いもしていた。しかし、1件もオファーはなかった。
局アナとは所詮使われる身であり、お呼びがかからない限り出番はない。どうしようもない現実。編集技術が進化した今、収録番組は強い個性を持つタレントのもの。アナウンサーの活躍できる分野はやはり生なのだ。まずいんでないの、俺?
知らない人もいると思うがTBSにはラジオもある。AMでは今話題のニッポン放送とともにトップシェアを誇るJOKR954kHzだ。「生はないかなぁ~」と社内をフラフラ歩いていたら、突然声を掛けられた。私は4月からラジオをすることになった。翌日に決まった。ラジオはすべてが速い。
早速タイトル会議があり「田舎くさいほうが気が楽なんですけど」と伝えておいたら、正式タイトルは『安住紳一郎の日曜天国』に決まった。本当にダサくてビックリしました。私、ラジオ始めました。
◆安住から一言
『連載分を一冊にまとめましょう』これも断ること5回。さすがに手紙は来なかったが今度は偉い人が来た。ラジオの生放送にもリスナーを装いメッセージが毎週届く。リクエスト曲の替わりに打ち合わせの日時がリクエストされていた。あれにはやられた。
◆『安住紳一郎の日曜天国』
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コメント
聞いてみよかな
投稿: nono1 | 2008年11月23日 (日) 06時02分
試しに
投稿: さくらスイッチ | 2008年11月23日 (日) 06時56分
(◎´∀`)ノ
あはは 面白かったよ~
「ばんえい競馬」の語り口!
今ポッドキャスティングで
パンダのお話聞いている
投稿: nono1 | 2008年11月23日 (日) 17時31分
あたしも今聞き終えた
投稿: さくらスイッチ | 2008年11月23日 (日) 23時19分