◇W杯アジア3次予選 最終戦 ウズベキスタン1−0日本
攻めたが、逆に喉元を突かれた。日本の守備は、お手本のような速攻を止められず決勝点を献上した。後半9分、長友が攻め上がって空いた左サイドからクロスが上がる。FWナシモフのヘッドをGK川島が一度は防いだが、こぼれ球をFWシャドリンに押し込まれた。
ザック監督就任後、日本国内では初黒星。終盤には猛攻も受けた。惨敗−。だが、長友の思考は違った。「ネガティブになることはない。きょう負けて良かった。そう思わないと。このまま行っていたら、(最終予選で)気持ちに緩みが出る。最終予選では許されないからね」。次へ−。「(敗戦を)成長に変えることの方が大事」。目線は先を見据えていた。
長友の武器であるオーバーラップを逆利用され、失点した。それでも引く気はない。「アジアの中では攻撃的にいかないと。ゴール前に引いていても成長はない。攻撃的に行って、みんなでスペースを埋める。でも、きょうはみんな動けていなかったね」。自らも中2日の強行軍、左脚が悲鳴を上げた。
指揮官に「×」のサインを送って、後半38分に交代を申し出た。「左脚全体に違和感があった。(けがが)大きくなる前にと思って言った。(次は)イタリアに戻って様子を見てからになる」。長友は凜(りん)として言った。そして、「成長」というキーワードを何度も繰り返した。敗戦。けが。それでも、長友の心は折れるどころか、上を目指す野心に満ちあふれていた。 (占部哲也)
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