◇アルガルベ杯 日本2−1ノルウェー
【パルシャル(ポルトガル)原田公樹】サッカー女子国際大会のアルガルベカップが29日、当地で開幕し、1次リーグB組のなでしこジャパンは初戦でノルウェーに、2−1で逆転勝ちを収めた。ロンドン五輪で初優勝を狙うなでしこが2012年のスタートを白星で飾った。1点を追う日本は前半終了間際にFW永里優季(24)=ポツダム=が同点ゴール。後半20分にFW川澄奈穂美(26)=INAC神戸=が勝ち越し弾を決めた。日本は3月2日の第2戦でデンマークと対戦する。
1年前とは立場を変えてこの大会に臨んだ川澄が、決勝弾でチームに五輪イヤーの初戦勝利をもたらした。なかなか流れに乗れず、苦戦を強いられた一戦。しかし、先制されて迎えた前半終了間際にFW永里のゴールで追いつき、さらに後半20分には川澄の一撃で試合をひっくり返した。
ゴール前でボールを持つと、迷わずにゴールを向いて右足を一閃(いっせん)。相手DFに当たったシュートはコースが変わり、GKの指先をかすめるようにしてゴールネットを揺らした。ニッコリとほほ笑んだ川澄の元に、チームメートが安堵の表情で駆け寄った。
前半23分には左CKからヘッドで狙ったが、フリーだったにもかかわらず、枠を外した。同35分にはようやく出た小気味よいパスワークから右足シュートを放ったが、これは相手GKの好守に阻まれた。2度にわたってチャンスを逃して苦笑いを浮かべていたが、三度目の正直でついにゴールを奪って見せた。
昨年のこの大会で代表初ゴール。一気に自信を得た川澄はその後のW杯でもヒロインとなり、国民的な人気を得た。その思い出のポルトガルの地で進化を証明した。
「いいところでボールを持てた。シュートは狙ったところとは違うところに行きましたけど、決まって良かった」と振り返った川澄。試合前には「バイタルエリアでタイミングよく受けて前を向いてゴールを目指す」と話していたが、自分らしさを見事に表現しての価値あるゴールだった。
「なでしこが見ているのは五輪。そこに向けて課題を見つけ、今どういう位置にいるかを感じたい。実りのある大会にしたい」
W杯に続く2冠を目指すロンドン五輪に向け、川澄となでしこが金メダルロードを歩み始めた。
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