政府は、女性の皇族が結婚後も皇室にとどまれる「女性宮家」の創設について、29日から有識者へのヒアリングを始めました。
出席した2人の有識者からは、皇室を安定的に維持していくためには、「女性宮家」の創設が望ましいという意見が示されました。
ヒヤリングは、園部逸夫内閣官房参与と衆参の官房副長官らが中心になって行い、第1回目の29日は、皇室の歴史に詳しい帝京大学の今谷明特任教授とジャーナリストの田原総一朗氏から話を聞きました。
このうち、今谷特任教授は、「女性宮家」の創設について、「幕末以前にも例があり、さもあるべきことだ。ただ、内親王に限るなど、できるだけ小規模にとどめ、内親王と結婚した夫は、一代限りの準皇族にしてはどうか。結婚で皇室を離れられた黒田清子さんには、天皇陛下が非常に頼りにしておられるので、是非、お戻りいただきたいと思う」と述べました。
また、田原氏は、「戦後、時代は大きく変わり、今は男女同権の時代だ。そういう時代の状況から見ると『女性宮家』がないのが不思議であり、天皇制を存続させようと思うならば、創設を認めるべきだ。また、『女性宮家』は一代限りとせず、夫との間に生まれた子どもも宮家の一員とすることが無難だ」と述べました。
このほか、今谷特任教授は、「天皇陛下は忙しすぎて、痛ましい。国事行為はしかたないが、祭祀行為などは、皇太子が代行していた例は歴史的にもある」と述べ、天皇陛下の公務の負担軽減を急ぐべきだという考えを強調しました。
一方、田原氏は、「旧皇族の方々に皇室復帰してもらうことも反対はしないが、『女性宮家』の創設が不要だということではない」と述べ、女性宮家の創設の是非にかかわらず、旧皇族の皇室への復帰も検討課題の1つだという考えを示しました。
政府は、来月以降も、一定の期間、月1、2回の頻度で有識者へのヒアリングを重ね、国民の意見も聞くなどしたうえで、政府の見解をまとめることにしています。
藤村官房長官は、記者会見で、今後、ヒアリングを行う有識者の人選について、「賛成だとか、反対だとかということを念頭に人選をするのでは全くない。さまざまな方から意見を拝聴するという方針で、結論ありきでヒアリングを行っている訳ではない」と述べました。
また、今後の検討スケジュールについて、藤村長官は、「野田総理大臣も、ある程度スピード感を持ってやるという考えを示しており、延々と時間をかけてやるということではない。ただ、お尻をきって、いつまでにまとめるということでも現時点ではない」と述べました。
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