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「マルモリ」人気の理由は「支え合う社会」を求める時代感

オリジナル コンフィデンス 7月22日(金)13時56分配信

 ある意味、「メッセージソング」としてのヒットなのかもしれない。7/25付のオリコンランキングでついにシングルセールス20万枚を突破した「マル・マル・モリ・モリ!」。フジテレビ系ドラマ『マルモのおきて』に出演した子役の芦田愛菜と鈴木福の2 人が「薫と友樹、たまにムック。」名義で歌う主題歌だが、子供が歌う楽曲としては久々のヒットを記録している。

「黒ネコのタンゴ」からポニョまで、子供が歌ってヒットした主な作品

『マルモのおきて』は、亡くなった親友の双子の姉弟を引き取り育てる独身男(マルモ)の子育て奮闘記。同ドラマが放映された日曜夜9時台は、平均視聴率が20%を超えたTBS系『JIN−仁−』や、日本テレビ系『行列のできる法律相談所』、テレビ朝日系『日曜洋画劇場』などの人気番組がひしめく激戦枠。その中で同ドラマの視聴率は初回こそ11%台だったが、その後、じわじわと上昇。子役の2人が主題歌を踊りながら歌うエンディング直前になると、視聴率が急上昇するという現象も起きて話題を呼んだ。

 同曲を制作した宮下浩司氏は、「覚えやすさ」「楽しさ」を念頭に置いたという。歌詞では、ドラマに登場する要素や、子どもが喜ぶ擬態語を取り入れ、「言葉遊び」しながら制作する過程は「とても楽しかった」と振り返る。

 明るく楽しく、そしてちょっと切ない印象的なメロディーもさることながら、子どもたちを夢中にさせたのは、子役の2人が踊る“マルモリダンス”。振付した濱田美和子氏は、「子どもたちが自然に体を動かせる」ことを第一に考えたという。2 人の踊りが微妙に合っていなくても「それは子どもたちの個性」と捉え、曲に対する想像力もかきたてる「余白のある振付」を心掛けた。

 血がつながっていなくても身を寄せ合い助け合う「家族」、そして彼らを支える人々。そんな助け合い、支え合える社会でありたいと願い、ドラマの内容に共感した視聴者は多かったのではないだろうか。「マル・マル・モリ・モリ!」はドラマが内包するメッセージを子ども目線で見事に表現した。ユニバーサル ミュージック・村上葉子氏は「説教くさく言うのではなく、子ども目線で大人にも伝わるメッセージを、子どもたちが愛嬌のある声で一生懸命に表現できたことが、多くの方々に響いたと思う」と語る。

 家族で、学校で、地域社会で「皆で歌い」「皆で踊る」ことによって得られる一体感。それを共有する時間を与えてくれた「マル・マル・モリ・モリ!」のヒットは、まさに今の時代に求められたものなのかもしれない。


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最終更新:7月22日(金)13時56分

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