Tips for Runners お役立ち情報

東京マラソン2012 本番まであと1ヶ月を切りました!
そこでがんばるランナーの皆様に、ランニングプロコーチ 猪瀬祐輔氏監修のもと、効果的なランニングのトレーニング方法をご紹介します!


ランニングトレーニング

理想は週3回、メリハリ付けて楽しく

3日(土日と平日1日)が理想的

仕事と両立する市民ランナーにとって、平日に何時間もランニングに費やすことはできません。週3日走ることが理想ですが、距離をかせぐトレーニングだけでなく、筋力トレーニングなども活用し、楽しく走り続けるためにスケジュールを組みましょう。

トレーニングに強弱をつけよう

平日は短く、週末は長く

トレーニングにはメリハリが大切です。平日にもしっかり走るスケジュールを組むと、結局疲労が抜けず、週末は休養という結果になりかねません。例えば週にトータル15kmを走るなら、7.5km-7.5kmよりも、5km-10kmというように強弱をつけたほうが、気持ちのメリハリも生まれ、楽しく走ることができます。

時にはLSD、時にはペース走

マラソンの練習には、持久力とスピードの両方が必要です。
持久力を養う方法のひとつがLSD(Long Slow Distance)で、長い距離をゆっくり走る練習です。ランニングに使われるエネルギーには糖質と脂質がありますが、ゆっくり長く走るとカロリーの高い脂肪が消費されはじめます。つまり食事でとったエネルギーだけでなく、体内の脂肪を消費しやすくなれば、それだけ長時間動けるということ。LSDはそのシステムをつくるためのトレーニングなのです。
LSDを行う場合、呼吸が苦しくなるほどペースを上げないように注意しましょう。また「まだまだ走れる」くらいの体力的余裕を残して終えるのが理想的です。距離を決めてしまうとペースが速くなりがちなので、距離よりも2、3時間、リラックスして走ってください。
同じく持久力をつけるトレーニングとして距離走があります。20~30km、比較的長い距離を走りますが、LSDとの違いは、距離の前半をレースペースより20%遅いタイム、後半部分を10%遅いタイムで走ります。例えばフルで4時間30分を目指す場合、1km6分20秒のペースで走ることになります。その際、

前半を6分20秒×1.2=7分36秒
後半を6分20秒×1.1=6分58秒

が目安になります。前半をより落とすのは、ペースを上げ過ぎることのダメージを防ぐためです。距離走では、設定ペースをあげないことが肝心です。
一方、スピードを養うためのトレーニングがペース走です。10km、15kmといった距離をレースペースで走り通す練習です。LSD、距離走、ペース走の目的をよく理解し、メリハリをつけて組み合わせることで走力がついてきます。

走る距離を伸ばそう

フルマラソンを走るには、動き続ける身体を作らなければなりません。1週間のうち、例えば平日にペース走、週末の土日のどちらかでLSDか距離走を行えばスピード、持久力ともにアップします。もし疲労が残るようであれば、平日はジョギングのみ、週末に距離走を行うようにしましょう。
週末だけ20km走るだけでも月間80km、平日にジョギングを取り入れれば月間100kmに届くはずです。ひとつの目安ですが、月間100~150kmでも距離走やペース走、筋トレを取り入れることで、サブ4(フルマラソンで4時間未満完走)は達成できます。サブ3.5(3時間半未満)を目指すのであれば、200~300kmの走り込みが必要だといわれます。
フルのレースに出場するのであれば、定期的に長く走る練習を行うのが理想です。1人では長い距離を走れないという人は、ランニングクラブなどに参加してみてください。仲間といっしょに走ると楽しく走れるものです。

フルマラソン•完走、4時間を目指す1週間トレーニング例(週合計30km)

フルマラソン•完走、3時間30分を目指す1週間トレーニング例(週合計50km)

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トレーニング前後+オフトレーニング

日頃からランナー的な生活を心がけよう

走る前後のストレッチング

ストレッチには、関節や筋肉の可動域を広げる役割があります。前もも、太もも裏、お尻、股関節回り、背中、アキレス腱をそれぞれ20~30秒ずつ伸ばしておきましょう。各部をじっくり伸ばしたあと、ジャンプやスキップなどの動的ストレッチを取り入れると、じんわりと汗をかき心拍数も上がるので、スムーズに走り出すことができます。 走り終わってからのストレッチは、筋肉の緊張をほぐし、疲労回復を促します。呼吸を止めず、気持ちいいと感じるくらいにしっかり伸ばしましょう。

効率的で簡単なストレッチ(ランニング前後同じメニューでOK)
  1. お尻周りのストレッチ1. お尻周り
    地面に座り、片方のひざを曲げて反対側の足首をのせ、身体を前に倒します。椅子などに座ってもできます。左右20~30秒ずつ。
  2. 2. 股関節、太もも裏
    無理のない範囲で脚を前後に開き、前方のひざを曲げてゆっくり腰をおとす。左右20~30秒ずつ。
  3. 3. 前もも
    立ったまま足首をつかみ、かかとをお尻のほうに近づける。左右20~30秒ずつ。前ももをしっかり伸ばすことでひざの故障を予防します。初心者はぜひ行ってください。
  4. 4. 背中
    うつぶせの状態で手を床につけ、えびぞりのようにぐっと背中を反らせる。20~30秒。

簡単にできる補強運動

補強運動を取り入れることで、走れない日でも筋力を維持することができます。

  1. 相撲のそんきょの姿勢1. 相撲のそんきょの姿勢
    ランニング中は骨盤が前傾する姿勢が基本です。上半身と体幹を鍛えることで、上半身を使った推進力が生まれます。
    1. (1) つま先を外側に脚を大きく開く
      前かがみにならないように、上半身を起こしてしっかり胸を張ります。骨盤がしっかり前傾するのを感じてください。
    2. (2) 姿勢を保ったまま、お尻を上下させる
      股関節、背筋、腹筋、でん部、太ももの筋肉などを同時に鍛えます。上下運動は20回1セットが目安。無理のないペースで続けましょう。
  2. 壁押し2. 壁押し
    まず壁にまっすぐ立ち、手で壁を押してみてください。押した力がそのまま跳ね返り、後に倒れそうになりませんか?ランニング中も、直立姿勢ではなかなか前に進みません。走るための推進力を鍛えるのが壁押し運動です。
    1. (1) 壁から離れて足をそろえて立ち、身体を倒して壁に手をつける。背中からお尻、足首まで一直線になることがポイントです。
    2. (2) 壁を押す
      脚の力ではなく、上半身で押すことを意識します。腹筋、背筋、腕の筋肉など、前に進むための筋肉が同時に鍛えられます。

ランナー的な生活を送ろう

日頃から姿勢に気をつける:駅間を歩く、階段利用

簡単ですが、なかなか意識できないのが姿勢です。毎日5分でも10分でもいいので、駅までの歩きや通勤電車のなかで姿勢を意識してみましょう。姿勢を良くすると、腹筋や背筋、お尻の筋肉をしっかり使えるようになります。トレーニングの一環として駅間を歩いたり、階段を利用したりする場合も、姿勢を意識するだけでより効率的に鍛えられるという好循環が生まれます。

食事をきちんととる

3食きちんととることが基本です。そのうえで、これから活動する朝食は炭水化物多め、あまり活動しない夕食は炭水化物を少なめにするなど、バランスを工夫してみましょう。
トレーニング後はタンパク質をとることも忘れないでください。筋肉の栄養となるタンパク質は傷んだ筋繊維の修復を促進するので、より高いトレーニング効果が見込めます。目安は、トレーニング後30分以内。プロテイン入りのゼリーなどサプリメントを活用してもいいでしょう。

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目標タイムを目指す

ランナーズウオッチを使おう

フルマラソンのトレーニングでは、体調や仕事の忙しさに合わせてペース走、時間走、スピード走を組み合わせます。フルの目標タイムを決め、ペース走やスピード走のラップを計測することで、走力のレベルアップが把握できます。

ペース走をしよう(1kmラップを計る)

レースペースで10km程度走るトレーニングです。トラックなど距離がわかるコースで1kmごとにラップを計り、ペースを確認しながら走ります。ペース設定は、フル5時間を目指すなら7分/kmです。このペースで走り続けることができれば、4時間55分22秒でゴールできます。

時間走(1時間~2時間)をしよう

距離を気にせず、余裕のあるペースで走るトレーニングです。とくに初心者の場合、フルを走りきるためにはまず、動き続ける身体づくりが大切になるのでぜひ取り入れてください。フル5時間であれば、7分30秒/kmくらいのペースで走り続けることが目標です。
時間走や距離走のように長く動き続ける練習を取り入れれば、サブ4達成は夢ではありません。4時間を切るためには平均5分40秒/kmで走る必要があり、スピードを養う必要があると思うかもしれませんが、ジョギングのペースを上げていくことで十分対応できます。

たまにはスピード走

あらかじめ設定したペースで1km-休憩-1kmというように5~10本走るトレーニングです。急走と緩走を繰り返すインターバルの要領だと考えてください。フルの完走ペースよりも速いペースを設定するため、ハーフマラソンの自己ベストタイムを基本に算出します。例えばハーフ2時間であれば、5分40秒/kmです。慣れてきたら、5km-休憩-5kmのように、距離をのばしてください。
スピード走は、サブ3.5を目指すレベルから取り入れましょう。4分55秒/kmのペースを身に付けるには、ジョギングだけでなく、スピード練習で身体を慣れさせる必要があるからです。
スピード練習を取り入れたくても、どれくらいのペースで走り始めればいいのか分からないという人もいます。そういう場合、200mなど短い距離から始めてラップをとると(5分/kmの設定であれば200m1分)、ペース感覚をつかみやすくなります。
フル4時間くらいまでのランナーがスピード練習をする場合は、ジョギングの最後に50m~100mくらいスピードを上げるといった方法が身体への負担が少なく、取り入れやすいでしょう。100mの距離が測れなくても、電信柱2~3本分という方法で代用できます。レースペース(サブ4の場合100m34秒)を想定し、ラップをとりましょう。

フルマラソン完走ペース(レースペース)

トレーニング監修:猪瀬祐輔(ランニングプロコーチ)

猪瀬祐輔(いのせゆうすけ):1984年生まれ。栃木・作新学院高校卒業後、東洋大学では2度箱根駅伝メンバーに選出される(当日は補欠)。現在は、リスタートランニングクラブ、よしもとナショナルチーム、パライーゾ国分寺ランニングクラブ等でコーチを務める。ハーフマラソン1時間4分59秒、フルマラソン2時間32分50秒の記録を持つ。

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