財団法人「日本漢字能力検定協会」(京都市)に多額の損害を負わせたとして、背任罪に問われた元理事長の大久保昇(76)と長男で元副理事長兼事務局長の浩(48)の両被告に対し、京都地裁(笹野明義裁判長)は29日、ともに懲役2年6月(求刑・いずれも懲役4年)の実刑判決を言い渡した。
起訴状などによると両被告は04~09年、いずれも昇被告が代表、浩被告や親族が役員を務める広告会社「メディアボックス」と調査会社「文章工学研究所」に、「進行管理費」「年間プロモーション企画費」「調査研究費」の名目で計42回、架空の業務を発注し、協会に約2億8700万円の損害を負わせた、とされた。
検察側は、両被告が実態のない両社に発注を繰り返したのは、報酬や給与、株主配当などで自分や親族が利益を得るためだったとして「財団法人を私物化した」と指摘した。一方、弁護側は「両社はそれぞれ協会に関する広報や調査の活動をしていた。正当な対価で、協会に損害を与えていない」と全面的に無罪を主張していた。【成田有佳】
毎日新聞 2012年2月29日 13時42分(最終更新 2月29日 13時59分)