「早稲田の学生だったころ、高麗大のサッカー部と一緒に韓国国内を巡業したことがある。釜山の試合では空き瓶と缶と罵声を投げつけられてショックを覚えた。でも、普段一緒に旅をしている高麗大の学生とか関係者とは違和感なくつきあえた。このギャップは何? とその時感じた。日本と中国も政治とか上のレベルではいろんな駆け引きがあってごたごたしているのかもしれないけれど、大半の国民同士はもっと普通につきあえるのではないか。そんなことを確かめたいと思った」
「それがなぜ杭州なのかというと、実はどこでも良かった(笑)。最初にオファーをくれたということと、実際に訪れてみたら、街のたたずまいが素晴らしいんだ。今は杭州にして良かったと思っている」
■子どもたちに何を残してやれるか
「ハンチントンの『文明の衝突』じゃないけれど、日本と中国と朝鮮半島の情勢というのは、これから緊張を増していくかもしれない。そうしたときに政府レベルでは解決できない問題の糸口を、人と人のグラスルーツの小さな絆によって見つけられるのではないか」
「北京でチョウが羽ばたくとニューヨークで嵐が起こるバタフライ効果のようなことも、ネットの時代では起こり得るかもしれない。自分にできること、サッカーを通じて何かできるのかを考えたら、自分の子どもたちに何を残してやれるかといえば、そういうものしかないという思いもある」
――監督として円熟の境の仕事を日本で見られないのは残念。岡田さんは今年20周年を迎えるJリーグについて、最初の10年で選手のプロ化が進み、次の10年で指導者のプロ化が進んだ。これからの10年は経営のプロ化がカギになると言っている。
「経済環境が悪い、チームの成績も下がる、動員力も下向き。そんなときにこそ夢を語らないと。リスクがあっても、やってみようという部分がないと、人は集まってこないんじゃないかな。登るべき山をしっかり示して……」
「東日本震災後、目に見える資本主義から目に見えない資本主義にパラダイムはシフトした感じがする。量から質への転換というか。信頼とか絆(きずな)を結ぶのを怠って、経営の安定が必要、そのためにはスポンサー集めをこれくらいやらないと、とか……。そんなことばかり追っていくと、衰退していくような気がする」
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