新たなメニューも続々、チキンブームの理由
東洋経済オンライン 2月29日(水)10時39分配信
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世はチキンブーム |
空揚げ専門店も増えている。日本唐揚協会によると、都内の専門店の数は現在、60店以上と、2009年から6倍強に増えた。
もともと鶏肉は淡泊な味が日本人好みのうえ、安定的な調達ができることから外食店での取り扱いが拡大。08年以降、マクドナルドのチキン商材の強化に伴って、KFCとのメニュー開発合戦が加速したうえ、09年に大分県の空揚げ専門店が東京に相次ぎ上陸したことで、チキン商品への関心が高まった。
また、10年に口蹄疫で牛が敬遠されたこともあり、「鶏料理が全体的に見直されるようになった」(日本唐揚協会の八木宏一郎専務理事)。東日本大震災以降、「余震懸念から家庭で油料理を控え、専門店で空揚げなどを買う人が増えている」(同氏)という。
さらに、ここへ来て一段と増えた背景には、東日本大震災で主要生産県の岩手県が被災したことがある。供給不足を懸念した食肉商社などが、国産の代わりにブラジル産を大量に輸入。ところが、出荷回復が想定以上に早かったうえ、昨年11月の暖冬の影響で鍋商材が苦戦。ブラジル産在庫が瞬く間に膨らんでしまった。
農畜産業振興機構の推計によると、国産・輸入鶏肉を合わせた在庫量は昨年11月末時点で前年同月末比3割増の14・8万トンに拡大。大量在庫を抱えた食肉商社が、「処理のため、外食や小売り企業を走り回っている」(関係者)。
在庫が膨らむ中、鶏肉価格は下落傾向にある。ブラジル産鶏肉価格も1月末時点で前年同月末比25%下落したほか、国産鶏も同1割強値を下げている。実際、ファミレスチェーンのブロンコビリーは「価格が安いブラジル産鶏肉を100トン買い付けた」(竹市靖公社長)。
2月は外食にとって閑散期ということもあり、ブームに乗じて商品を拡充しやすい。当面、チキンフィーバーは続きそうだ。
(松浦大、平松さわみ 撮影:今井康一 =週刊東洋経済2012年2月18日号)
記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。
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最終更新:2月29日(水)10時39分
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