政府と東京電力の福島第一原発の廃炉に向けた中長期対策会議が27日、開かれ、原子炉建屋からの放射性物質放出は先月の7分の1に減ったことなど、作業の進捗(しんちょく)状況を明らかにした。放射能汚染水を海に放出できるぐらいにまで浄化できる設備を9月までに新たに設置。3月上旬に工業用内視鏡による2号機格納容器内の2度目の調査をするという。
炉心溶融事故を起こした1〜3号機の原子炉建屋からの新たな放射性物質の大気への放出量は毎時約1千万ベクレルで、先月の7分の1に減った。放出源のほとんどが、爆発で原子炉建屋が激しく破損した状態がそのままになっている3号機からの放出だった。津波で破損した大物搬入口を塞いだことなどが理由としている。
対策会議では、東電が東芝製浄化装置の多核種除去設備「アルプス」の基礎試験結果を公表。現在の浄化装置はセシウムの除去が主だが、セシウム以外の核種も取り除くことができるという。試験ではガンマ核種45種類で、法的に海に放出できる限度以下に減らすことができた. −−−朝日新聞
東京電力福島第一原発事故に関する独立検証委員会(民間事故調、委員長=北沢宏一・前科学技術振興機構理事長)は27日、菅前首相ら政府首脳による現場への介入が、無用の混乱と危険の拡大を招いた可能性があるとする報告書を公表した。 報告書によると、同原発が津波で電源を喪失したとの連絡を受けた官邸は昨年3月11日夜、まず電源車四十数台を手配したが、菅前首相は到着状況などを自ら管理し、秘書官が「警察にやらせますから」と述べても、取り合わなかった。
バッテリーが必要と判明した際も、自ら携帯電話で担当者に連絡し、「必要なバッテリーの大きさは? 縦横何メートル?」と問うた。その場に同席した1人はヒアリングで「首相がそんな細かいことを聞くのは、国としてどうなのかとゾッとした」と証言したという。
翌12日朝、菅氏は周囲の反対に耳を貸さず、同原発の視察を強行。この際、同原発の吉田昌郎前所長(57)が東電本店とのテレビ会議で、「私が総理の対応をしてどうなるんですか」と難色を示す場面を目撃した原子力安全・保安院職員もいたという。
報告書は、官邸の対応を「専門知識・経験を欠いた少数の政治家が中心となり、場当たり的な対応を続けた」と総括し、特に菅氏の行動について、「政府トップが現場対応に介入することに伴うリスクについては、重い教訓として共有されるべきだ」と結論付けた。 −−−読売新聞 「首相のベント指示、米では考えられない」
国会の「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会」(委員長=黒川清・元日本学術会議会長)は27日、国会内で第5回委員会を開き、リチャード・メザーブ元米原子力規制委員会(NRC)委員長から参考人聴取した。 メザーブ氏は、東電福島第一原発事故で菅首相(当時)が放射性物質を含む蒸気を外部に放出する「ベント」の実施などを指示したことに言及し、「米国では考えられない。そんな決定を大統領がすることはない」と述べた。また、米国での原発事故発生時の対応について「規制当局(NRC)と事業者が緊密に連携する。基本的に責任を取るのは事業者というのが徹底されている」と指摘。米国では原発事故対応で政治家が関与するケースは限定的との見解を示した。 −−−読売新聞
東京電力福島第1原発の事故原因を、民間の立場で独自に検証してきた「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」が27日、報告書をまとめた。政官業とは一線を画した立場からの報告は、菅直人前首相の行動を「混乱や摩擦のもとになった」と批判する一方、東電の事前対策の不備を「人災」と断罪。他の事故調が出した報告書とは異なり、当事者責任に深く踏み込み、「第三の事故調」の存在感をアピールする内容だ。
民間事故調の最大の特徴は、しがらみがない、自由度の高い調査だ。政府が設置した事故調査・検証委員会(政府事故調)や国会が設置した事故調査委員会(国会事故調)とは異なり、特定の機関から調査を委託されていないためだ。
これまでに公表された政府事故調や東電の中間報告は、「原発内で何が起きたのか」という物理的事実の解明が中心だった。
事故対応について、政府事故調は「官邸内の連携が不十分だった」と構造的な問題点を指摘したものの、政治家個人の責任追及はしておらず、東電は「厳しい環境下での対応を余儀なくされた」と自己弁護に終始している。
「政府と東電が『国民を守る』責任をどこまで果たしたか検証する」と掲げた民間事故調は、菅前首相ら政府関係者の聞き取りを重視し、事故対応に当たった官邸の問題点を精力的に検証した。
報告書は、事故直後の官邸内の政府首脳の言動や思考を浮き彫りにすることで、「官邸による現場介入は無用な混乱を招いた」と厳しく指摘。さらに、他の事故報告書が触れていない「最悪シナリオ」にも言及し、政府が情報を隠蔽(いんぺい)してきた側面も強調した。
東電に対しても、国際原子力機関(IAEA)の原則を引用して「第一義的な責任を負わなければいけない」として追及しており、過酷事故への備えがなく、冷却機能喪失に対応できなかったことを「『人災』の性格を色濃く帯びる。『人災』の本質は東京電力の過酷事故の備えの組織的怠慢にある」と言い切った。
東電が「国と一体となって整備してきた」と釈明し、政府事故調が「極めて不十分だった」とするにとどめた姿勢とは対照的だ。
ただ、課題も残った。国政調査権に基づく調査や証人喚問が要請できる国会事故調、公的な後ろ盾があるため「調査協力を拒まれた例はない」とする政府事故調と違い、民間事故調の調査は任意のため、相手の同意を得られなければできない点が、今回はネックとなった。東電に調査協力を拒まれ、技術的な問題点については、政府事故調の結果をほぼ追認する格好になってしまった。 −−−産経新聞
ひたすら続く菅直人首相(当時)の怒声、困惑する官邸スタッフら…。東京電力福島第1原発事故をめぐり、民間の有識者による「福島原発事故独立検証委員会(民間事故調)」が27日に公表した事故報告書。政府の対応を「稚拙で泥縄的な危機管理」と指弾した内容からは事故直後の緊迫した状況の中、政府首脳が右往左往する当時の様子が克明に浮かび上がった。
報告書評価《首相の要請がベントの早期実現に役立ったと認められる点はない》
混乱が際立ったのは昨年3月11日午後9時ごろだ。原子炉の冷却ができなくなったことから圧力が上昇。官邸と東電は炉内のガスを放出する「ベント」の準備を始めた。しかし、12日午前5時になってもベントが実施されないことを知った菅首相は、自衛隊ヘリで福島第1原発に向かう。
枝野幸男官房長官(同)は「絶対に後から政治的な批判をされる」と反対したが、菅首相は「政治的に後から非難されるかどうかと、この局面でちゃんと原発をコントロールできるのとどっちが大事なんだ」と反論。枝野氏は「分かっているならどうぞ」と送り出した。
この頃、福島第1原発では、菅首相の突然の訪問について、吉田昌郎所長(同)が東電本店に難色を示した。「私が総理の対応をしてどうなるんですか」
午前7時すぎ、菅首相が現地に着くと、いきなり武藤栄副社長(同)に詰問調で迫った。「なぜベントをやらないのか」。電力がないことを説明した武藤副社長に菅首相は「そんな言い訳を聞くために来たんじゃない」と怒鳴り散らした。
菅首相を鎮めたのは吉田所長の一言だった。「決死隊をつくってでもやります」。納得し、官邸へ引き揚げる菅首相。「吉田という所長はできる。あそこを軸にしてやるしかない」
しかし実際にベントが行われたのは午前9時を過ぎてから。東電は10キロ圏内の住民避難完了後にベントをすることにしていたが、枝野官房長官がこの事実を知ったのは数カ月後だった。
報告書評価《官邸の中断要請に従っていれば、作業が遅延していた可能性がある危険な状況であった》
同12日午後3時36分、1号機原子炉建屋が水素爆発する。約1時間後、首相執務室に寺田学首相補佐官が駆け込んできた。テレビのチャンネルを変えると、建屋が爆発、白煙が上がる映像が流れた。
「爆発しているじゃないですか。爆発しないって言ったじゃないですか」。驚く菅首相に、そばにいた原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長は「あー」と頭を抱えるしかなかった。
同午後5時55分に海江田万里経済産業相(同)は原子炉冷却のために海水注入を指示し官邸の会議で報告。ところが菅首相は「分かっているのか、塩が入っているんだぞ。影響を考えたのか」と議論を引き戻した。
さらに班目氏に対して核分裂が連鎖的に起きる「再臨界」の可能性を問いただすと、返答は「ゼロではない」。菅首相は「大変じゃないか」と再臨界防止方法の検討も指示した。
会議参加者の間では既に、早急な海水注入が必要との認識で一致していた。「今度失敗したら大変なことになる」。菅首相に疑念を抱かせないように、次の会議に向け、各自の発言内容の確認と入念なリハーサルが行われる“茶番”も繰り広げられた。
このとき、既に福島第1原発では海水注入が開始されていた。東電本店は電話で吉田所長に「首相の了解がまだ取れていない」と、中断を要請したが、吉田所長は独断で海水注入を継続した −−−産経新聞
民間事故調の報告書は、長年にわたって醸成された原発の「安全神話」が事故の遠因となったとした。規制当局や電力事業者だけでなく、原発立地を受容してきた自治体の住民、ひいては国民全体が神話を受け入れたことで、事故の可能性を論じることが難しい状況が生まれたと指摘。一方で、イデオロギー的な反対運動が“反作用的”に働き、それを強化する土壌をつくったと分析している。
報告書は、安全神話の背景となった2つの「原子力ムラ」の存在に言及した。原子力行政・産業に加え、財界・政界・マスメディア・学術界を含めた「中央の原子力ムラ」と、積極的に原発との共存を選び続けて自らも安全神話を構築してきた「地方の原子力ムラ」だという。
報告書は、中央のムラは原発導入の初期、リスクを明示せずに安全性と技術的先進性を強調し、原発を受け入れる素地を作ったが、反原発運動が盛り上がると、さらに神話を強化する方向に動いた−とみる。
事業者が事故対策を取れば、反対派が訴える安全性への疑念を肯定することになる。それを否定するため、ムラは「原発の絶対的な安全性」を唱え、事故想定を許さない環境ができたと、報告書は説明。「原理原則に基づくイデオロギー的反対派の存在が『安全神話』を強化する土壌を提供した」と指摘した。
一方、一般の国民についても「原発は複雑で難解な技術的問題として認識され、無知・無関心であることを問題視しなくなった」と、その責任を付言した。
報告書は、原発の再稼働ができない状況の中、少なくない地元自治体が再稼働を望む現状も紹介しつつ、「中央の原子力ムラによる、安全対策が不十分なままの原発再稼働と、地方の原子力ムラによる原発依存経済の継続がなされ、一般国民による無関心が続く限り、再び過酷な事故を引き起こす可能性は常に存在する」と警告した。 −−−産経新聞
民間事故調の報告書は、原発事故対応で「政治主導」が混乱を招いた点を厳しく指摘した。事故対応で、政治家がどう関わり、その判断が事故にどのような影響を与えたかについては、これまでの東電、政府事故調の中間報告ではあまり踏み込んでいなかった。独自の視点により、新たな“真実”を浮かび上がらせた点は評価できる。
一方で、東電が民間事故調に協力しなかったことは、「役所よりも役所っぽい」と揶揄(やゆ)される東電の権威主義的な体質を露呈させたといえる。協力しなかった東電の真意は不明だが、政府や国会事故調のように後ろ盾のない民間事故調を軽視する姿勢は明らかだ。
事故で検証しなければならない事項は、事故時の対応に始まり、設備の状況、政治判断の妥当性、事故前の安全規制のあり方など多岐にわたる。調べれば調べるほど新事実や新たな疑問点にぶつかり、検証課題が増えていく−というのが各事故調の実情だろう。
これだけ多くの被害を出し、多くの人が関わっている事故である。1つの事故調だけで検証しきるのは不可能だ。事故の全容解明には、さまざまな視点による多角的な検証が不可欠で、民間事故調の最大の存在意義もそこにあるといえる。
東電に民間事故調の聴取に応じる「義務」はないかもしれないが、事故の当事者として、国民に説明する「責任」は負っているはずだ。真摯(しんし)な姿勢で説明責任を果たすことが求められている。 −−−産経新聞
原子力事故が起きた際に放射性物質の拡散を予測するシステム「SPEEDI」は、開発・運用に120億円の費用が投じられながら、去年3月の原発事故で住民の避難に生かされず、政府の対応に批判が出ています。これについて、28日に公表される民間事故調の報告書の中で、事故対応を中心になって行った菅前総理大臣ら5人の政治家が「所管する文部科学省などから説明がなく、事故から数日たってもその存在すら知らなかった」と証言していることが分かりました。調査の対象となった5人のうち、当時の枝野官房長官と福山官房副長官は、2号機から大量の放射性物質が放出された去年3月15日ごろ、マスコミからの指摘で初めてSPEEDIの存在を知ったと話しているほか、当時の海江田経済産業大臣は「存在すら知らなかったので、データを早く持ってこいと言うことができなかった。本当にじくじたる思いだ」と述べたということです。SPEEDIの説明がなかったことについて枝野前官房長官は「予測の計算に必要な放射性物質の放出に関する数値が得られなかったためデータの信頼性が低く、説明の必要はないと判断した」と文部科学省から報告を受けたと話しています。これについて民間事故調は、28日公表する報告書で「SPEEDIは原発を立地する際、住民の安心を買うための『見せ玉』にすぎなかった」と厳しく批判したうえで「住民の被ばくの可能性を低減するため、最大限活用する姿勢が必要だった」と指摘しています。 また、災害時の情報発信に詳しい東京女子大学の広瀬弘忠名誉教授は「原子力災害が起きている最中に指揮官である官邸の政治家が存在さえ知らないというのは通常は考えられない。SPEEDIの存在を政治家に報告しなかった官僚も問題だが、官邸にも危機管理能力がなかったと言わざるをえない」と話しています。 −−−NHK
福島市が独自に導入した「ホールボディーカウンター」と呼ばれる放射線の測定機器で、内部被ばくを調べる検査が始まり、27日は、市内でも放射線量が比較的高い地域の小学校の子どもたちが検査を受けました。
福島市が導入したのは、体内から出るごく僅かな放射線を測ることのできる「ホールボディーカウンター」と呼ばれる測定機器で、車に搭載されています。検査は、市内でも放射線量が比較的高い地域を優先して行われることになっていて、27日は大波小学校で22人の児童が検査を受けました。内部被ばくの値を正確に測るため、市の担当者はまず、子どもたちの洋服など体の表面に放射性物質がついていないか、別の測定器を使って調べました。このあと、子どもたちは駐車場に止められた車に乗り込み、ホールボディーカウンターによる3分程度の検査を受けました。検査結果は、専門家が健康への影響などについて検討を行ったあと、およそ1か月後に通知されるということです。 市民からは、内部被ばくの検査を早く行ってほしいという要望が多く寄せられているということで、福島市は、福島県とも協力して、平成25年度をめどに18才以下の検査を終え、その後、検査対象を市民全体に広げていきたいとしています。 −−−NHK
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東京電力福島第一原発が立地する福島県双葉郡の8町村長と、細野環境相、平野復興相が復興について話し合う意見交換会は26日、双葉町の井戸川克隆町長ら3町長が急きょ欠席し中止されるという異例の事態となった。 欠席した双葉町の井戸川町長 意見交換会が流会、平野復興相(左)と細野環境相 国との意見交換会を欠席した井戸川克隆・双葉町長は26日、住民らが避難する埼玉県加須市で記者会見し、「信頼関係に問題が生じた」などと国への不信を語った。
「話し合いの場を設けたのに、一方的に決めて説明するということは、あってはならない。やり方が非常に恐ろしい」。井戸川町長は、中間貯蔵施設の用地を国が原発事故前の実勢価格で買い取ることを検討しているとの一部報道を引き合いに、国を批判した。
双葉郡内への同施設建設は「先祖伝来の古里に住めなくなるような決断をする、大変重い話だ」とし、今後の国との意見交換については「もう一度、冷静な判断の下で内容を検討し、会議を設けたい」と話した。 −−−読売新聞
東京電力福島第一原子力発電所周辺の上空を26日朝、本社機「みらい」で飛んだ。
国土交通省が25日、飛行禁止区域を半径20キロから3キロに縮小したのに伴い、飛行が可能になった。
原発に向かって北上し、6キロまで近づいた。高度300メートル。爆発で上部が骨組みだけになった4号機と3号機の原子炉建屋が見えてきた。敷地全体が白い雪で覆われている。4号機建屋内に、原子炉格納容器のふたがはっきり見えた。
海側に回ると、爆発しなかった2号機の原子炉建屋も圧力を逃がすパネルが落下し、壁にポッカリと穴が開いている。海岸沿いの建物の壁も吹き飛んでいる。
4号機の西側には、事故後に設置された青や灰色のタンク約1000基が整然と並んでいた。地下水の流入で増え続け、約12万トンに達した低濃度の放射能汚染水を貯蔵するタンクだ。
周辺の街に人影はない。住宅地の路地も雪に埋もれたままだ。機内の放射線量は原発の北西方向が最も高く毎時0・9マイクロ・シーベルトだった。 −−−読売新聞
東京電力福島第一原発の事故で放射能に汚染された土壌などを保管する中間貯蔵施設について、環境省は用地を事故前の実勢価格で買収する方針を決めた。設置を要請されている福島県の双葉地方町村会が26日に開く会合で概要を説明する。立ち退きなどに伴う補償も確約し、双葉郡8町村が施設を受け入れやすいよう、条件を整える。
政府は施設の建設地として、3月末の避難区域見直しに伴って居住が長期間、事実上禁止となる年50ミリシーベルト以上の「帰還困難区域」を想定し、不動産の買い取りを検討するとしてきたが、具体的に売買価格の基準などを示すのは今回が初めて。
中間貯蔵施設には最大2800万立方メートルの土壌を収容する。敷地は3〜5平方キロが必要とされる。建設場所にもよるが、土地の買い取り価格は事故前の相場から、市街地で500億〜1千億円と見積もられるという。 −−−朝日新聞
東京電力は25日、福島第一原子力発電所の汚染水処理装置「サリー」(東芝製)の配管から、約10リットルの高濃度汚染水の水漏れがあり、装置を停止させたと発表した。 昨年8月から運用を始めたサリーで、水漏れが起きたのは初めて。外部への流出はないが、2系列あるサリーの一方は再稼働のめどが立っていないという。
東電によると、同日午前8時半頃、作業員が配管の溶接部付近から1秒に1滴程度の水漏れがあるのを見つけた。汚染水の濃度は、セシウム134が1立方センチ・メートル当たり13万ベクレル、セシウム137が18万ベクレルと高濃度だった。
東電は、溶接部が劣化した可能性があるとみている。停止させた系列の配管を交換して再稼働をめざすが、もう一つある米キュリオン社製の処理装置の稼働率を上げれば全体の汚染水処理に大きな影響はないという。 −−−読売新聞
「除染情報プラザ」は、環境省と福島県が先月20日に福島市に設置し、25日から一般の人向けに除染に関する情報の提供や相談の業務を始めました。住宅などの除染に必要な放射線量の測定器や高圧洗浄機などの機器が展示され、効果的な除染方法をまとめた国や県の手引き書なども用意されています。相談窓口も設けられ、専門家から住宅などの除染を個人で行うためのアドバイスも受けられます。施設を訪れた福島市の男性は「放射線量が高い地区に住んでいるので除染には関心があります。行政などが除染をどう進めているのか知りたいと思って来ました」と話していました。 環境省の除染推進チームの森谷賢チーム長は「福島県民にとって最も関心が高い放射線の問題にどう立ち向かえばいいか、正確な知識を持ってもらえるようにしたい」と話しています。 −−−NHK
農林水産省系独立行政法人傘下の中央農業総合研究センター(茨城県つくば市)などは24日、放射性セシウムで汚染された水田でも、肥料のカリウムの投入量を増やせばコメ(玄米)へのセシウム移行を大幅に減らせるケースがあるとの実験結果を発表した。
研究チームは東京電力福島第一原発の事故を受け、福島、茨城、栃木、群馬の各県でイネの作付け試験を実施。肥料などの条件を変え、セシウムの移行しやすさへの影響を調べた。
その結果、カリウムのうち、作物に吸収されやすい形の「交換性カリ」が土壌100グラムあたり25ミリグラム程度になるように肥料で調整すると十分な効果が得られることがわかった。またこれ以上カリウムを増やしても、それ以上の効果は期待できないという。 −−−朝日新聞
文部科学省などは24日、東京電力福島第一原子力発電所から20キロ・メートル以内の警戒区域などで航空機から測定した放射線量の最新値を公表した。
大まかな傾向を示す測定値だが、政府はこれを踏まえ、同区域などを3区域に再編する予定。「帰還困難区域」となる年間推定被曝(ひばく)量50ミリ・シーベルト(毎時9・5マイクロ・シーベルト)超の地域は、原発から主に北西方向へ帯状に広がっている。 −−−読売新聞
東京電力福島第一原子力発電所の事故後の安全対策について、国の原子力安全・保安院は、今月、法律に基づく保安検査を行った結果、おおむね適切だったと評価したことを明らかにしました。
保安検査は、福島第一原発の安全に関わる施設や設備などが、適切に維持管理されているか確認するため、原子力安全・保安院が今月6日から24日まで、およそ3週間にわたって行いました。検査では、冷温停止状態の維持に必要な原子炉の冷却装置など7つの設備について、国の検査官が現場を確認するとともに、施設の運転状態の監視が、手順どおり行われているかなどをチェックしました。その結果、今月、原子炉の温度上昇が問題となった2号機で、注水量を変更した際、必要な通知が文書でされていないなど、一部で不十分な対応が見つかりましたが、保安院は、安全に関わる問題はなく、「おおむね適切だった」と評価したことを明らかにしました。 保安院は今後、2週間程度で最終的な評価結果をまとめることにしています。 −−−NHK
国が直轄で除染を行う福島県の避難区域で、環境省が100メートル四方ごとに行った詳細な放射線量の調査の中間報告が公表されました。 今後、除染計画の策定や避難区域の見直しに活用されることになります。
放射線量が高い福島県の警戒区域と計画的避難区域は、国が直轄で除染を行うことになっていて、環境省はそのために必要な放射線量の詳しい調査を去年11月から始めました。調査はこれまでの国の調査よりきめ細かい100メートル四方ごとに行われ、7963地点の結果が中間報告として公表されました。全体的な傾向としては、原発の北北西の方向に年間の放射線量が50ミリシーベルトを超える地域が広がっていて、文部科学省が上空から行った調査結果と合う一方、上空からの調査では飯舘村の中央部一帯が20ミリシーベルトを超えるとされていましたが、今回の詳しい調査では、一部の地域が20ミリシーベルトを下回っていました。また、最も放射線量が高かったのは双葉町の山田地区で、1時間当たり89.9マイクロシーベルト、年間に換算して472.5ミリシーベルトでした。環境省は最終的な測定結果も来月公表し、自治体ごとの除染計画の策定に生かすほか、政府が来月末をめどに行う避難区域の見直しにも活用される見通しです。 中間報告が掲載された環境省のホームページのアドレスは、http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=14870です。 −−−NHK
東京電力福島第一原子力発電所で放射性物質の大量放出が始まった昨年3月12日、放射能の拡散を空からすばやく把握する「航空機モニタリング」が、省庁間の連絡の行き違いで実施できなかったことが分かった。自衛隊が人命救助に使っていたヘリコプターを回したにもかかわらず、測定担当者が来なかった。同日は住民の大量避難が続き、最も放射能の拡散方向を知る必要があった時期。まさにその時期に、情報を入手する絶好の機会を逃していたことになる。
■ヘリと要員、行き違い
「航空機モニタリング」は、放射線検出器、全地球測位システム(GPS)、ノート型パソコンを組み合わせたシステムを、測定員が航空機に手荷物として持ち込んで実施する。高度数百メートルを飛んで測定し、電子地図に放射線量の分布を表示する。「航空機サーベイシステム」と名付けられ、機材を文部科学省所管の財団法人「原子力安全技術センター」が青森県六ケ所村の出先で管理している。 −−−朝日新聞\
東京電力は23日、福島第一原子力発電所2号機の原子炉圧力容器底部の温度計3個のうち故障していない2個の温度差が12度まで拡大したと発表した。
東京電力福島第1原発事故の原因を調べている政府の事故調査・検証委員会(畑村洋太郎委員長)が24、25の両日、海外の専門家5人を招いて国際会議を開き、昨年12月にまとめた中間報告をたたき台に意見交換する。事故調は「世界の人々の疑問に答える」ことを方針の一つに掲げており、7月末にまとめる最終報告書が、国際的な評価に耐えうるものにするため、助言を求めたい考えだ。(原子力取材班)
事故調の中間報告では、同原発の津波や全電源喪失への備えがないことを「不適切」と断じ、日本の規制機関の態勢が不十分だったと言及した。畑村委員長は「(報告書が)世界の人が納得するものにするため、国際的に信頼される専門家の検証が必要だ」としており、海外の規制機関トップらが、事故調の中間報告をどう評価するのかにも注目が集まる。
仏原子力安全庁(ASN)のアンドレ・クロード・ラコステ長官は2007年に、国際原子力機関(IAEA)調査団の団長として来日。今回の事故で規制当局としての力不足を指摘された原子力安全委員会、経済産業省原子力安全・保安院について「役割を明確にすべきだ」との勧告をまとめるなど、日本の安全規制態勢の不備をいち早く指摘した一人だ。
ASNは複数省庁にまたがる規制機関が再編され、06年に大統領直轄で発足した。ラコステ氏はその初代長官。08年以降はIAEAの原子力の安全基準などを制定する安全基準委員会の委員長も務めた。日本の規制行政のあり方に対して厳しい指摘がなされることも予想されるが、保安院幹部は「助言は4月に発足する原子力規制庁にも参考になる」と期待を寄せる。
米国から参加するカーネギー研究所のリチャード・A・メザーブ理事長は、1999〜2003年に米原子力規制委員会(NRC)の委員長を務めた。01年の米中枢同時テロ以降、原発のテロ対策を主導し、全電源喪失対策などの設備強化を求める命令も出した。04年以降は、IAEAの活動に助言を行う国際原子力安全諮問グループの議長も務める。
今会議では、「米国の原発の安全基準に携わった豊富な経験に基づく助言が期待できる」(関係者)といい、国会が設置した事故調(黒川清委員長)も27日の委員会にメザーブ氏を招き意見交換する予定だ。
2氏の他にも、スウェーデンや中国、韓国からも専門家を招いており、中間報告で得られた知見が広く海外の原子力開発に生かされることも狙っている。 −−−産経新聞
米原子力規制委員会(NRC)は21日、東京電力福島第一原発の事故が起きた昨年3月11日から10日間の対応について、会議や電話などでの職員らのやりとりを公開した。ヤツコ委員長は1〜3号機で炉心溶融が起きた懸念を抱いていたほか、4号機の燃料プールの水がなくなっているとの判断が、80キロ圏内の米国人への退避勧告につながったことが記録されていた。
3千ページを超える公開文書によると、NRC関係者らは昨年3月16日の時点で4号機の使用済み燃料プールの壁が爆発でなくなったと推定。水が失われて大量の放射性物質が放出される事態を懸念している。
関係者らの一部は来日して東電本店での会議に参加。会議では水の代わりにプールに砂を入れる意見が出たというが、「明らかに必要なのは水、水、水だ」と感じたと報告した。 −−−朝日新聞
東京電力は、福島第一原子力発電所で、港の海底にたまった泥などに含まれる放射性物質が、沖合に広がるのを防ぐため、海底をセメントや粘土で覆う工事を、22日から始めることになりました。
福島第一原発では、1号機から3号機の原子炉で核燃料がメルトダウンしたうえ、放射性物質を含む水が海に流れ出て、港の海底の泥や砂から極めて高い濃度の放射性のセシウムが見つかっています。今後、溶けた核燃料を取り出すといった廃炉に向けた作業が本格化し、港に船が出入りすると、放射性物質を含む海底の泥や砂が舞い上がり、港の外や沖合に広がる恐れがあります。このため、東京電力は1号機から6号機の「取水口」と呼ばれる施設周辺の6メートル前後の海底で、7万平方メートル余りの範囲にセメントと粘土を流し込む工事を22日から始めることになりました。海底では、泥や砂を厚さ60センチ前後のセメントと粘土で覆う計画で、50年ほどは泥などが舞い上がることを抑える効果があるということです。 東京電力は、22日から作業のための船を港に入れて試験的な工事を行ったうえで、今月下旬から本格的な工事を開始し、4か月程度で作業を終えたいとしています。 −−−NHK
東京電力福島第一原子力発電所が20日、昨年12月の「冷温停止状態」の達成以来初めて、報道陣に公開された。
連日3000人以上の作業員が依然、炉心溶融を起こした原子炉の監視やがれき撤去などに当たる厳しい現実を目の当たりにすると、野田首相が宣言した「事故収束」が空疎に思えた。
同原発では、今年に入っても2号機の温度計の故障や、凍結による配管・弁の破損で汚染水漏えいなどが相次いだ。公開は、今月から始まった国の検査に合わせたもので、約40人がバスで、昨年11月の初公開時の逆回りコースをたどった。 4号機、作業員が見える
原子炉の監視を行う免震重要棟近くには、原子炉の注水ポンプ6台がトラックの荷台に搭載され、荷台は、凍結防止対策として、保温カバーで覆われていた。
注水ポンプからは、プラスチック製の配管が数百メートル以上離れた原子炉に延びる。総延長4キロ・メートルの仮設ホースは順次、強度の高い配管に交換されているが、原子炉冷却は、循環注水冷却システムに依存する状況は変わらない。
水素爆発による破壊が大きい3号機にバスが近付くと、車内の放射線量も急上昇し、同乗した東電社員が「毎時1500マイクロ・シーベルト」と叫んだ。4号機から約340メートル離れた高台で、今回初めて、バスから降りることが許された。4号機5階では、1535本の使用済み核燃料の取り出しに向け、作業員が貯蔵プール周辺のがれきを撤去していた。原子炉の無残な姿は、6年前に訪れた旧ソ連・チェルノブイリ原発と重なった。4時間余りの取材で被曝(ひばく)量は79マイクロ・シーベルトだった。 −−−読売新聞
福島第1原発にたまった高濃度の汚染水は、放射性物質を取り除いて原子炉への再注水に使われている。浄化システムは短期間で完成させた急造設備で、部品劣化や凍結が原因とみられる水漏れが相次いでいる。耐震性も万全とはいえず、今後もトラブルが発生する可能性のある「アキレス腱(けん)」となっている。
破損した原子炉から注入した冷却水が漏れ、汚染水となって増え続けるのを防ぐために導入されたのが「循環注水冷却」。その中核となる汚染水浄化システムは、昨年6月の運転開始時から、水漏れや装置の停止など、再三トラブルを繰り返した。
国産装置の導入で処理が安定、建屋内にたまった汚染水の量も減らすことに成功し、昨年12月に冷温停止状態の宣言にこぎつけた。
ところが、本格的な冬を迎え、凍結による水漏れが続発し始めた。今月3日には、高濃度塩水タンクで水漏れが見つかり、タンク底部で毎時2千ミリシーベルトの高いベータ線が検出された。1月にも同型のタンクでボルトの緩みが原因の水漏れがあった。
いずれも気温の低下で鋼板が縮むなどして継ぎ目のパッキンが緩んだのが原因とみられ、東電は保温材を配管に巻いたり、ヒーターを導入するなどの対策を取ったが、抜本的な解決策にはなっていない。 −−−産経新聞
出発したのは、千葉工業大学の研究グループが開発した遠隔操作のロボット「クインス」の2号機と3号機です。 20日午後、千葉県習志野市の大学のキャンパスからトラックで現地に向かいました。 「クインス」は、原発事故のあと、唯一の国産ロボットとして、1号機が建屋の中の撮影や放射線量の測定に当たってきましたが、去年10月に通信ケーブルが絡まって動けなくなり、研究グループは改良を加えた後継機の開発を進めてきました。 完成した2号機と3号機は、ケーブルが絡みにくくする工夫が施されたほか、1号機が残したケーブルが走行の妨げになるのを防ぐため、ケーブルを切断する刃が取り付けられています。 このうち2号機は、使用済み燃料プールの内部をのぞき込んで撮影できるよう、カメラを高い位置に取り付けています。 千葉工業大学未来ロボット技術研究センターの小柳栄次副所長は、「原発の廃炉に向けて、これからどうしても人が入らなければならない作業が出てくる。そのために、ロボットで内部の放射線量などをきめ細かく調べ、できるだけ被ばくの少ない場所などを見つけたい」と話していました。 「クインス」の2号機と3号機は、今月中にも現地で作業を始めることになっています。 −−−NHK
東京電力は16日、福島第1原発2号機原子炉圧力容器下部で、一時400度超の異常値を示した温度計について、故障したとの評価結果をまとめ、経済産業省原子力安全・保安院に提出したと発表した。故障した温度計は今後、監視対象から外し、冷温停止状態については、周辺の温度計や放射性物質の濃度などで総合的に判断するという。
東電によると、格納容器内で高温多湿にさらされ、温度計の配線が断線気味になったことが故障の原因とみられるという。温度計の配線の一部をむき出しにして塩水をかけるなどの実験したところ、指示値の上昇が再現できた。
また、実際に温度が90度まで上昇したケースを調べたところ、溶けた燃料の約6割が壊れた温度計周辺に集中する必要があり、東電は「考えられない」と結論づけた。 −−−産経ビジネス
福島第1原発2号機で原子炉圧力容器下部の温度計が温度上昇した問題で、東京電力は13日、温度計の故障とほぼ断定し、昨年12月に宣言した冷温停止状態は維持されているとした。温度計を点検したところ通常より電気抵抗が大きく、400度超の異常値も示した。東電は原子炉内の高温多湿の影響で、温度計の配線が断線したとみている。
温度計は今月初めから上昇を続け、12日午後に保安規定上の管理目標上限の80度を超え、13日正午には94・9度を示した。東電は注水量を増やし、保安規定の制限を満たさないとして経済産業省原子力安全・保安院に報告していた。
しかし、同日午後に温度計を点検したところ、電気抵抗が通常より大きいことが判明、計測値上昇の原因と断定した。点検後には、計測限界の400度を振り切る「通常ではあり得ない値」(東電)も示した。
他の2つの温度計は33度前後で安定しており、溶融燃料が連続して核分裂反応を起こす「再臨界」は起きていないという。
東電は今後、温度計の評価結果をまとめた上で保安院に報告し、保安規定上の「運転上の制限の逸脱」の状態から復帰させる。 −−−産経新聞
京電力福島第一原子力発電所2号機で温度が上昇していた温度計について、東京電力は故障していると断定し、国の原子力安全・保安院に報告しました。今後は、ほかの温度計の値や、放射性物質の濃度などから、冷温停止状態にあるかを総合的に判断するとしています。
福島第一原発2号機で原子炉の温度計の1つが高い値を示した原因などについて、東京電力は詳しい解析や実験を行い、その結果を原子力安全・保安院に報告しました。それによりますと、まず、問題の温度計だけが高い値を示す可能性を解析したところ、温度計の近くに溶けた核燃料の60%以上が集まっていないとこうした温度にならないことから、このケースは考えにくいという結論になりました。また、問題の温度計の電気抵抗が通常より高くなっていることがわかっていることから、同じような状況を作って実験したところ、温度が上昇する傾向を示したということで、東京電力は、これらの結果から、問題の温度計を故障と断定しました。故障した温度計は、保安規定で冷温停止状態を維持できているかどうか判断する指標の1つとなっていて、東京電力は、この温度計を監視対象から外すとともに、今後は、ほかの温度計や、格納容器の放射性物質の濃度などを総合的に検討し、冷温停止状態にあるかを判断するとしています。さらに、長期的には、より信頼性の高い方法で、原子炉の温度を把握するために、原子炉につながる配管に温度計を入れる方法などを検討するとしています。東京電力は、原子力安全・保安院が報告を妥当と判断した場合、原子炉への注水量を温度計の値が上昇する前の量に減らすことにしています。
福島第一原発2号機で原子炉の一部の温度計の値が上昇している問題で、東京電力からこの温度計が故障しているとする報告を受けたことについて、原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は「温度計が故障しているという評価が妥当かどうか専門家に意見を聞きながら、できるだけ早く判断したい。また今後、長期的に原子炉の状態をどのように把握していくかという課題があるので、報告内容をしっかり確認し、東京電力が示した対策が適切か判断したい」と話しています。 −−−NHK
国会が設置した東京電力福島第1原発事故調査委員会(委員長・黒川清元日本学術会議会長)の第4回委員会が15日、国会・衆院別館で開かれ、原子力安全委員会の班目(まだらめ)春樹委員長と経済産業省原子力安全・保安院の寺坂信昭前院長が、原子力の安全規制当局として事故を防げなかったことについて陳謝した。 東電福島原発事故調査委員会で参考人として、答弁する前原子力安全・保安院長の寺坂信昭氏,2月15日午後、国会・衆院第16委員室
班目氏は津波や全電源喪失に備える原発の安全指針について「瑕疵(かし)があったと認めざるを得ない。おわびしたい」と謝罪。指針が改善されなかった背景について「低い安全基準を事業者が提案し、規制当局がのんでしまう。国がお墨付きを与えたから安全だとなり、事業者が安全性を向上させる努力をしなくなる悪循環に陥っていた」と言及し、「わが国は(対策を)やらなくてもいいという言い訳に時間をかけ、抵抗があってもやるという意思決定ができにくいシステムになっている」と述べた。
寺坂氏は平成16年の美浜原発配管破断事故などを挙げ、「(保安院は)安全規制を進めようとしていたが、個別の問題の改善や安全確保に相当な時間や人員をとられた」と釈明した。
官邸への助言など、事故当時のそれぞれの行動について、班目氏は「1週間以上寝ていないのでほとんど記憶がない。私がいた場所は固定電話が2回線で携帯も通じず、できる助言は限りがあった」と説明。寺坂氏は「私は文系なので、官邸内の対応は理系の次長に任せた」と述べた。
また、放射性物質の拡散予測システム(SPEEDI)を避難に活用しなかったと政府事故調などで指摘されていることについて、班目氏は「SPEEDIがあればうまく避難できたというのは全くの誤解だ」と反論。寺坂氏は「避難方向など何らかの形で有用な情報になったのではないかという思いはある」と述べ、異なる認識を示した。
黒川委員長は委員会後の会見で「安全委員会と保安院は安全を担う使命を持っているが、緊急時の備えができておらず、事故がない前提で原子力行政を推進するなど、国民の安全を守る意識が希薄だ」と批判した。 −−−産経新聞
東京電力福島第一原子力発電所2号機の原子炉圧力容器底部の温度計が300度超まで上昇した問題で、経済産業省原子力安全・保安院は13日、原子炉等規制法に基づき、東電に対して原因究明と圧力容器の温度上昇を監視するための代替手段を確保するよう指示した。 枝野経産相が14日、閣議後の記者会見で発表した。
この温度計は、東電が13日に電気回路を点検した結果、故障の可能性が高いことが判明している。 −−−読売新聞 号機原子炉温度計「確実に故障」…回路に異常
東京電力は13日、温度上昇を示していた福島第一原子力発電所2号機の原子炉圧力容器底部の温度計が同日午後の点検後、記録上限の400度を超えて振り切れるなど、異常な数値を示したと発表した。
東電は「ほぼ確実に故障している」とみている。温度計は炉心溶融で高温にさらされた後、湿度の高い環境に置かれていた。
東電は同日午後2時頃から、中央制御室内で温度計の電気回路の点検を実施。回路の電気抵抗が通常より大きく、温度計の指示値が高く出やすいことが判明した。検査直後、回路を元に戻した際には342度を示し、一時振り切れるまで数値が上昇した。
温度計は、2種類の金属を接合したセンサー(熱電対(ねつでんつい))で温度を検知する。センサーが熱を受けると電流が流れる仕組みで、回路に異常が生じたために電圧が変化し、極端な値が表示された可能性がある。 −−−読売新聞
原子炉圧力容器底の温度計の値が急上昇している東京電力福島第一原発2号機の温度は13日午後、400度を超えて測定不能になり、東電は温度計が故障しているとほぼ断定した。上昇を示しているのは約35個ある温度計のうちの1個だけで、核分裂反応が連鎖する再臨界を示す放射性物質の検出もないという。
東電によると、13日午後6時現在の温度は272.8度。一時は表示できる最高値400度を振り切った。東電は温度計につながるケーブルが断線しかかっているのが原因とみている。同じ高さにある別の二つの温度計は31.5度、32.3度と安定している。故障したとみられる温度計のすぐ下にある別の温度計は38.4度。仮に400度の高温であればほかの温度計の値にも影響が出る。
圧力容器(高さ約22メートル、内径5.6メートル)の外側の壁には計測可能な温度計が約35個ある。急な温度上昇を示しているのは一つだけで、それ以外は低下傾向か横ばいだという。溶けた燃料に近い圧力容器の底にある温度計は注水量を増やした影響で低下気味。燃料から遠い圧力容器上部の温度計は注水を増やした影響を受けにくいので横ばいの値を示しているという。 −−−朝日新聞
東京電力福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部にある温度計の一つが保安規定の制限値80度を超えた。東電や政府は温度計自体の不良との見方を強めているが、原子炉の安定冷却の大きな指標となる温度データすら信頼性を欠き、炉内の状況を把握できないままの「冷温停止状態」の危うさを露呈した形となった。
東電によると、問題の温度計の表示が上昇し始めたのは1月末。この時点では実際に温度が上がっているのか、温度計の不良かは判断できず「念のため」(東電)注水量を増やしたという。だが、12日午後になり、短時間に75〜90度の間を乱高下するようになったことなどから不良の可能性が高いと判断した。
温度計は、温度によって電気抵抗の変わる金属を利用し、電流から温度を算出するタイプ。東電は電気抵抗の再測定などで温度計の状態を確認する。
しかし、そもそも野田佳彦首相が昨年12月に福島第1原発の冷温停止状態を宣言した最大の根拠は、1〜3号機の圧力容器底部の温度が100度を切ったと判断されたことだった。当時から温度計には最大で20度もの誤差があるとされていたが、今になって故障の可能性に言及することは、これまでよりどころにしていたデータの信頼性に疑問を抱かせかねない。
工藤和彦・九州大特任教授(原子炉制御工学)は「炉内の燃料の分布を把握できていない以上、局所的に高温になっている可能性も完全に排除すべきではない。高線量のため、新たに温度計を設置することは不可能で、もし残りの二つにも異常が出た場合には深刻な事態になる」と指摘している。 −−−毎日新聞
福島第1原発2号機の原子炉圧力容器下部の異常な温度上昇の原因は、温度計の故障であることがほぼ確実になった。だが、信頼性に不安が残る計器が頼りで、原子炉内の様子を把握し切れていないことが露呈。「完全安定」には程遠い状況が改めて浮かび上がった。(原子力取材班)
2号機原子炉には、下部に水をためやすい給水系、中心部にかける炉心スプレー系と呼ばれる2系統の配管で注水されている。
配管関係の工事のため、1月下旬から2系統の流量バランスの変更を重ねたところ、圧力容器下部に3つある温度計のうちの1つが温度上昇を示し始めた。
東電は流量変更が原因とみて注水量を増加したところ、いったんは低下傾向をみせたものの再び上昇。さらなる注水増などの対応に追われたが、結局、東電が「流量変更とはまったく因果関係がなかった。総合的に分析する仕組みが必要」と釈明するに至った。
今回の事故で、政府と東電が決めた冷温停止状態の条件の1つは、圧力容器下部の温度が100度以下。東電は、温度計に20度前後の誤差があるとみており、80度以下に保つことが必要とされてきた。
東電と原子力安全・保安院は「故障」が判明する前から、「原子炉全体は冷やされ、冷温停止状態は維持できている」と繰り返してきたが、誤った原因推定に基づく対応を取っていただけに、そうした説明には不信感も生まれかねない.
また、原子炉内には溶融した燃料があり、高い放射線量のため、温度計の修理や交換は難しい。内部の状況を知る貴重な手段が1つ失われたことで、廃炉に向けた状況把握が一層困難さを増すほか、残る2つの温度計が今後も正常である保証はない。
大阪大学の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は「他の2つの温度計は現在は正常だが、(故障の原因になる)湿度が高い状況では今後の信頼性に不安が残り、点検する必要がある。原子炉内の状態が分からない中で、完全に安定した状況にあるとは言い難い」と指摘している。 ―――産経新聞
福島県は12日、福島市で収穫された大根を使った切り干し大根から、国の暫定規制値(1キロ・グラムあたり500ベクレル)の6倍にあたる3000ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。 すでに、JA新ふくしまが経営する同市内の農産物直売所5か所で計102袋(1袋50グラム入り)が販売されており、県は同JAに対し、自主回収と出荷自粛を要請した。
商品名は「干し大根」。福島市の「ここら吾妻店」「ここら黒岩店」「ここら清水店」「ここら大森店」「ここら矢野目店」で販売された。 −−−読売新聞
東京電力福島第一原子力発電所2号機の原子炉圧力容器の底部温度が保安規定で上限と定めた80度を上回ったことを受け、経済産業省原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は12日夜、臨時の記者会見を開き、「原子炉全体としては冷却されている。放射性物質の放出量にも変化は無く、安全性に問題はない」と述べ、昨年末に政府と東電が宣言した「冷温停止状態」について、変更する必要はないとの認識を示した。 保安院によると、複数ある温度計のうち上昇傾向を示しているのは1か所だけで、温度も激しく変化していることから、故障の可能性もあるという。保安院は同日、東電に対し、圧力容器の温度の把握方法や、故障した温度計の保安規定上の取り扱いについて検討し、報告するよう口頭で指示した。 −−−読売新聞 コメント:安全性に問題ないと表明したが、原因も判らないのに何を根拠にしているのか、根拠の説明もなく、安全を担保ずる保安院の発言は可笑しい。--国民の心配より自己弁護が優先しているのではないだろうか。
東京電力は12日、上昇傾向を示している福島第一原子力発電所2号機の圧力容器底部の温度が同日午後2時20分に約82度に達し、保安規定で温度管理の上限として定める80度を超えたと発表した。 これを受け、同日午後3時30分、原子炉に注入する冷却水を毎時約3トン増やし、計17・4トンに変更した。午後5時の温度は81・1度。
ただ、圧力容器や格納容器内のほかの温度計が示すデータは、全体的に原子炉温度の低下傾向を示している上、問題の温度計は同日正午頃から、75度〜90度超の間を激しく上下するようになった。こうしたことから東電は、温度計が故障した可能性が高いとの見方を強めており、当面17トン以上の注水を維持しながら監視を続ける。2号機は先月、工業用内視鏡を入れた際、天井から雨のように多量の水滴が落下し、湿度が高いことが判明している。
昨年末に政府と東電が宣言した「冷温停止状態」は、原子炉の温度が100度以下であることなどが条件で、東電では測定誤差を考慮して、80度以下に維持すると定めている。 −−−読売新聞
東京電力は12日、福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部にある温度計の一つが午後2時過ぎに82度を示し、80度以下に保つとする保安規定に定めた制限を超えたと経済産業省原子力安全・保安院に報告した。昨年12月の「冷温停止状態」宣言後で最高値。温度計の誤差を考慮し80度を超えると「冷温停止状態」の条件を満たさなくなる。だが東電は他の温度計との比較から温度計の不良が原因との見方を強めており「冷温停止状態は維持できている」としている。
圧力容器底部の温度は1月下旬から上昇傾向で、この温度計も6日午前7時に73.3度に上昇。7日に原子炉への注水量を毎時3立方メートル増やし、一時は約64度まで下がった。しかし再び上昇傾向を示し、11日午後9時に73.3度になり、さらに注水量を毎時1立方メートル増加させた。それでも効果がみられず12日午後2時15分には82度に到達。東電は同日午後3時半、注水量をさらに毎時約3立方メートル増やして同17.4立方メートルとした。だが午後6時現在で83.9度を示している。
東電が温度計の不良とする根拠として、同じ高さにある別の二つの温度計がいずれも35度前後を示し低下傾向で、1.5メートル下の3カ所の温度計や格納容器の温度も低下傾向であることを指摘。また、問題の温度計の値の振れ幅が12日正午以降、約2倍になったことも故障との見方を強めた要因に上げた。
松本純一原子力・立地本部長代理は会見で「ほかの温度計の傾向と完全に異なるし、温度のばらつきの度合いも顕著に大きくなったことから、相当な確信をもって温度計の不良と判断した」と述べた。東電は今後、さらに温度の推移などを分析し、温度計の不良と断定した段階で、保安院などに再び報告する方針。 −−−毎日新
東京電力は12日未明、炉心溶融事故を起こした福島第一原発2号機の原子炉圧力容器の底の温度が一時約75度に達したと発表した。11日午後10時45分に原子炉への注水量を毎時1トン増やし同14.6トンにしたことで、温度上昇は止まると見ているが、依然として原因はわかっていない。
東電によると11日午後5時の温度は69.5度。午後11時に74.9度まで上がった。午前9時は71.3度だった。ただ、同じ高さには別に二つ温度計があり、こちらは35度近くで推移している。
圧力容器下部温度は6日には一時73.3度に達したが、原子炉への注水量を増やした7日未明以降、64〜71度の間で推移していた。圧力容器下部の温度が80度を超えると「冷温停止状態」の条件を満たさなくなる。 −−−朝日新聞
国内の商業用原発全54基のうち5基で、原子炉圧力容器の脆(もろ)さの指標となる「脆性遷移(ぜいせいせんい)温度(関連温度)」が、予測値を上回っていたことが読売新聞社の調査でわかった。 炉が予測より早く脆くなっている可能性がある。予測値のズレは圧力容器の劣化の正確な把握が困難であることを意味するだけに、古い炉の運転延長に向けた国の基準作りなどに影響を与えそうだ。
原発を持つ電力会社10社に関連温度などをアンケートで尋ね、取材で補足した。
鋼鉄製の圧力容器は、原発の最重要機器だが、中性子を浴びて次第に脆くなる。関連温度が高いほど、衝撃に対する強度は低い。関連温度は対象に衝撃を与えて破壊する実験で推定するため、圧力容器本体での測定はできない。電力各社は容器と同じ材質の試験片を炉内に置き、数年〜十数年おきに取り出し実験している。 −−−読売新聞
細野原発相は11日、青森県三沢市で開かれた東京電力福島第一原子力発電所事故に関するパネルディスカッションで、「福島にある原発の再稼働は全くあり得ないということを明確に申し上げたい」と述べ、東電が廃炉を決めた福島第一原発1〜4号機以外の同原発5、6号機や福島第二原発1〜4号機もすべて再稼働させない方針を示した。 福島県は国や東電に対し、県内の原発をすべて廃炉にするよう求めており、これに応えたものだ。福島県内では原発事故の影響で原発に対する反発が依然強く、再稼働について地元の理解が得られる状況にはないと判断したとみられる。
東電は第一原発5、6号機と第二原発1〜4号機の計6基について、まだ明確な方針を示していない。 −−−読売新聞
福島第一原発2号機では、先月下旬から原子炉の底にある温度計の1つの値が上昇し、今月7日に原子炉への注水量を増やした結果、一時低下傾向を示しましたが、11日、再び上昇しました。このため東京電力は、11日午後11時前に、注水量を1時間当たりおよそ1トン増やし、14.6トンにしましたが、その後も温度の上昇傾向は続き、午後2時20分ごろ、初めて80度を超え、82度になりました。政府と東京電力では、去年12月、原子炉の温度が100度以下に下がったとして、「冷温停止状態」を宣言したあと、新たな規定を設け、温度計の誤差が最大で20度あることを考慮して、原子炉の温度を80度以下に維持することを定めています。80度は、冷温停止状態を維持できているかどうか判断する保安上の目安の温度で、東京電力は「運転上の制限を逸脱した」として、国の原子力安全・保安院に報告しました。一方で、ほかの2つの温度計の値が35度程度まで下がっていることや、原子炉周辺の気体の調査から、核分裂が連続して起きる臨界が起きていないことなどから、東京電力は、冷温停止状態を維持できているとするとともに、上昇傾向を示している温度計が故障している可能性があるという見方を示しました。東京電力では、注水量を1時間当たり17.4トンに増やして、慎重に監視を続けることにしていますが、原子炉の内部の様子を十分把握できていない状態が続いています。 これについて、国の原子力安全・保安院の森山善範原子力災害対策監は、「80度を示した温度計は大きく変動を繰り返していて、異常があると考えられる。原子炉そのものは、ほかの場所でも複数の温度計で測っていて、温度は高くなく、今の段階で『冷温停止状態』に問題ないと考えている」と話しています。原子力安全・保安院は、東京電力に対し、原子炉の温度を把握する方法について、80度を超える数値を示した温度計を監視の対象から外すことも含めて検討し、報告するよう指示したほか、専門家からも意見を聞くことにしています。一方、福島県は、東京電力が定めた規定の80度を超えたことを受けて、東京電力に12日午後、しばらくの間1時間ごとに原子炉の温度に関する情報を速やかに提供するよう申し入れました。 そのうえで、原子炉内の状況を把握し、外部へ影響が起きないように全力で取り組むことや、今後発生するおそれのあるリスクについて、県民に迅速で分かりやすい情報提供を行うことを求めました。 −−−NHK
福島県の民家で使われていた薪(まき)ストーブの灰から高濃度の放射性セシウムが検出された問題で、環境省は10日、福島県境に近い宮城県南部の仙南地区(白石市など9市町)の薪ストーブの灰からも、1キロあたり最大で5万9千ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。
同省が1月下旬、9市町の一般家庭の薪ストーブの灰を検査した。最小値は角田市の1180ベクレルで、最大値5万9千ベクレルは丸森町で検出された。この民家の薪は地元の森で伐採され、屋外に置かれていたという。
5万9千ベクレルは、通常のゴミと同様に埋め立てられる環境省基準(8千ベクレル以下)の7倍を超すレベル。木材は焼却時の濃縮率が高く、灰に含まれる放射性セシウムの濃度が高くなったとみられる。 −−−−朝日新聞
岩手県山田町で10日、静岡県島田市に向け、震災がれきの搬出が始まった。11日にかけ、チップ化した木材計10トンをコンテナ車で運び出して試験的に溶融する。放射線量などのデータを公開し、住民理解が得られれば、4月以降、同町と大槌町の角材、柱材などの本格搬出をめざす。岩手県からの広域搬出は東京都に次いで2番目。
島田市では放射能汚染を心配する声は少なくない。このため、運び出し直前にチップを積んだコンテナの周辺で放射線量を測定。1時間あたり0.06〜0.07マイクロシーベルトで、チップを積む前の0.08マイクロシーベルトとほぼ同じだと確認してから送り出した。同市は溶融の前後にも計測しデータを公開する。
岩手県の震災がれきは、年間処理量の10年分に当たる435万トン。東京都が目標1万1千トンで昨年11月に受け入れを始めたが、ほかにはまだ本格的な搬出先はない。 −−−朝日新聞
沖縄県内の飲食店で製造された沖縄そばから、1キロ当たり258ベクレルの放射性セシウムが検出されていたことが分かった。製麺時に、福島県産のまきを燃やした灰でろ過した水を使ったのが原因とみられる。林野庁は10日、福島など17都県で東日本大震災以降に伐採、生産された調理用のまきや木炭の灰は、まきや木炭自体が国の定めた指標値(まき1キロ当たり40ベクレル、木炭同280ベクレル)以下でも、調理用に使用しないよう都道府県に通知した。
同庁によると、そばからのセシウム検出は今月7日、沖縄県の検査で判明。同じルートで流通したまきの一部から、同468ベクレルのセシウムが検出された。
国は昨年11月2日、まきや木炭を燃やしてセシウムが濃縮しても処分場で埋め立てが可能な濃度(同8000ベクレル)を超えないよう指標値を設定。ただ、検査法を定めたのは同18日で、問題のまきは同7日に出荷された。
林野庁は「(指標値の設定時は)灰が食品加工の際に使用されると想定していなかった」と説明。灰は製麺のほか、こんにゃくや山菜のあく抜きに使われる場合があるという。 −−−毎日新聞
東京電力は10日、福島第1原発4号機の燃料貯蔵プールの動画を公開した。9日に水中カメラを使い、プール内の状況や水の透明度を調べた。
映像には、プールの底にある燃料の上に、多数のがれきが落ちている様子が写っている。燃料を持ち上げるための取っ手の周辺にも細かいがれきが散乱。プール内の視界は約5メートルだった。東電は今後、燃料取り出しに向け、ロボットや水中掃除機などを使いがれきの撤去を進める方針。
4号機のプールには1〜4号機で最多の1535本の燃料があり、廃炉工程表では平成25年末までの燃料取り出し着手が目標となっている。 −−−産経新聞
東京電力福島第一原発の放射能汚染水の処理水を流す塩化ビニール製ホースで昨年7〜12月、水漏れが22件相次いだ問題で、東電は9日、イネ科の雑草「チガヤ」がホースに穴を開けたのが原因だと発表した。
ホースは、原子炉を冷やした後に漏れ出る放射能汚染水を浄化し、原子炉に戻す「循環注水冷却」の装置やタンクを主に屋外で全長4キロにわたりつないでいる。4層構造で、チガヤを使った実験で、先端が細くとがった芽が内側に貫通する可能性があることを確かめた。芽が出てホースに刺さった後、秋ごろ枯れて、ホースから抜けて水漏れが相次いだらしい。東電はすでに丈夫なポリエチレン製の配管に取り換えている。
ホースに長さ数センチの亀裂ができる現象も2カ所起きたが、強い力でねじれや引っ張りを加える実験では、亀裂は生じなかった。ただし、元々ホースに傷があれば亀裂が起きる可能性はあるという。 −−−朝日新聞
放射線量が高い福島県内の警戒区域と計画的避難区域では、国がことしの夏から本格的な除染を始める方針です。 環境省によりますと、住宅の除染では放射能による汚染の状況に応じて敷地内の土を取り除いたり、庭などに植えてある樹木の葉や枝、さらに幹まで切り取ったりする可能性がありますが、庭の木を切る場合は補償してほしいという要望が住民から寄せられているということです。 これを受けて環境省は、除染のために庭の木を切った場合は国が補償する方針を決め、木の種類に応じた補償額や申請の手続きを来月末をめどにまとめることになりました。 避難区域で住宅の除染をする場合は、汚染の状況や、地震による建物の傷み具合を踏まえた具体的な方法を住民に示したうえで、同意を得ることになっていて、環境省はこうした機会に庭の木の扱いについて住民の意向を十分確認したいとしています。 −−−NHK
東日本大震災で被災した東京電力福島第二原子力発電所(福島県楢葉町、富岡町)が8日、震災後初めて報道陣に公開された。 報道陣の質問に答える福島第二原発の増田尚宏所長
震災当時から現場を指揮してきた増田尚宏(なおひろ)所長(53)は、報道陣に対し、「(大惨事を招いた)福島第一原発と同様の事態まで、紙一重だった」と震災直後の緊迫した状況を振り返った。
第二原発とメルトダウン(炉心溶融)に至った第一原発の距離はわずか約12キロ・メートル。襲来した津波は第一原発の13メートルに対して第二原発は9メートルだったが、海岸近くにある原子炉を冷却するための海水ポンプの機能が奪われ、原子炉4基中3基が一時危険な状態に陥った。しかし、外部からの高圧送電線が1回線生き残り、中央制御室で原子炉の温度や水位などのデータが把握できた。必要な対策を見極め、事故4日後の3月15日までに全号機で冷温停止にこぎ着け、放射性物質は外部に漏れなかった。「原子炉の状態をつかめなかった第一原発とは大きく違った」と増田所長は指摘する。ただ、復旧までの道のりは険しく、総力戦だった。 4号機の圧力容器底部。第一原発では、ケーブルがついている中性子の計測管などから燃料が落下したとみられる −−−読売新聞
東京電力福島第一原子力発電所で、甲状腺被曝(ひばく)を防ぐための安定ヨウ素剤を大量服用した作業員のうち3人の甲状腺機能が低下し、副作用と疑われたことが分かった。
報告した菊地央(ひろし)医師によると、合計で20錠(1グラム)以上を服用した229人の血液を検査した結果、20歳代2人と30歳代1人の甲状腺ホルモン濃度が正常値より低かった。服用をやめると正常値に戻った。
同原発では、昨年3月13日〜10月12日に、作業員ら約2000人に約1万7500錠のヨウ素剤が提供された。放射線量の測定や汚染水処理などにかかわった作業員は服用量が多く、最多では1人で計87錠を服用していた。 −−−読売新聞
東京電力は8日、福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部の温度が、同日午後5時現在で65.4度になったと発表した。前日比では約3度下がったものの高温傾向を維持しているため、東電は監視を続けている。
東電によると、ほぼ同じ位置にある二つの温度計は38〜39度で、低下傾向を示しているという。また、2号機の原子炉格納容器内にある気体をサンプリングして分析した結果、核分裂が連鎖的に起こる「再臨界」の際に発生する放射性キセノンはほとんど検出されなかった。東電の松本純一原子力・立地本部長代理は記者会見で「温度は低下傾向にあるが、もう数日様子を見極める必要がある」と述べた。
また東電は8日、第1原発内に設置した汚染水貯蔵タンク990基を点検した結果、新たに計4基で汚染水の漏れなどを見つけたと発表した。ボルトの緩みなどが原因。これまでに2基で水漏れが見つかったため、経済産業省原子力安全・保安院が全タンクの点検を東電に求めていた。 −−−毎日新聞
東京電力福島第一原子力発電所2号機の原子炉圧力容器底部の温度が再上昇していた問題で、東電は7日、午後5時に68・5度に下がったと発表した。
東電の松本純一・原子力立地本部長代理は、同日午前4時半に注水量を毎時3トン増やして13・5トンに変更した効果が出たとみており、「(温度上昇は)ほぼ頭打ちの状態になり、低下傾向になった」と説明した。
しかし、12月の事故収束宣言の根拠となった「冷温停止状態」は、原子炉の温度を100度以下に維持することが条件で、東電は測定誤差も考慮して、80度以下に保つと定めている。燃料が溶融した原子炉内の様子が把握できず、温度上昇の原因も特定しきれないままで、今後も慎重に推移を見守る必要がある。 −−−読売新聞
東京電力福島第一原発事故を受け、福島県各地で測定されている空間放射線量が1月下旬に大幅に減少し、その後もほぼ同程度の数値で推移している。
文部科学省などの測定では、特に計画的避難区域になっている浪江町赤宇木(あこうぎ)地区と飯舘村長泥地区の減少幅が大きい。1月18日午前と同25日午前で比べると、赤宇木地区は毎時30マイクロ・シーベルトから同19・7マイクロ・シーベルトに、長泥地区では同10マイクロ・シーベルトから同5・9マイクロ・シーベルトに低下した。18日以前と25日以後は大きな変化はないという。
同省原子力災害対策支援本部によると、両地区で除染活動は行われておらず、「原因は積雪ぐらいしか考えられない」としている。福島地方気象台では、両町村で積雪の観測は行っていないが、気温などから20〜22日は雪が降ったと推測されるという。 −−−読売新聞
東京電力福島第1原発2号機の原子炉圧力容器底部の温度が急上昇した問題で、東京電力は7日、同日午前に72.2度を記録した温度計が同日午後5時現在で68.5度まで低下したと発表した。東電は同日未明、再臨界を防ぐためのホウ酸水を原子炉内に注入。原子炉内への注水量を増やして温度を下げる作業を続けている。
圧力容器底部の残る二つの温度計は同日午後5時現在で約41度だった。会見した松本純一原子力・立地本部長代理は「8日も引き続き監視を続けたい」と話している。 −−−毎日新聞
東日本大震災の発生からはや11カ月になろうとしているのに、福島県の約6万世帯に上る人たちはいまだ故郷に戻ることができない。東京電力福島第1原発事故で発生した放射性物質に汚染された土壌などが取り除かれていないためだ。たとえすべて取り除かれたとしても、汚染土壌やごみを長期間保管できる中間貯蔵施設の設置が不可欠になる。だが、この施設の計画がなかなかまとまらない。このやっかいな施設をどこに置くのか、国は頭を悩ませている。
放射性物質の除去(除染)は、玄関などのコンクリート部分であればタワシでごしごしこすったり、落ち葉などは手作業で取り除き、放射性物質が染み込んだ土壌は、スコップやショベルカーなどで表面をはぎ取る。
除染で出たものを、市町村ごとに設けられた仮置き場で一時的に保管するが、国が策定した工程表では、それも3年以内と決められている。最終処分にめどがつくまでは、長期に保管できる中間貯蔵施設を造ることが必要だ。
中間施設は福島県内に1カ所建設予定。国が直接除染しようとする11市町村の地域は合計約2万7千ヘクタールもある。このため、施設の容量は最大で東京ドーム23杯分にもなり、敷地は約3〜5平方キロとなる大型の施設と予想される。
保管は最長で30年間。放射性物質が漏れないように頑丈に造らなければならない。高濃度の場合は、密閉性の高い袋に収納した上で、鉄筋コンクリートで仕切りをし、搬入後はふたで覆う。常に放射性物質を監視する装置を備え、雨が降っても漏れ出ないようにする。 −−−産経新聞
東京電力福島第一原子力発電所2号機の原子炉圧力容器底部の温度が再上昇している問題で、東電は6日夜、温度は依然70度前後の横ばい状態が続いていると発表した。 温度上昇の原因は不明だが、ほかの温度計の温度上昇が確認されないことや、原子炉内の気体分析で、核分裂で発生する放射性物質キセノン135が検出されなかったことから、東電は再臨界の恐れはないとしている。
温度は、5日午後11時に70・3度に達し、東電は6日未明に注水量を1トン増やし、毎時10・6トンにした。温度は6日午前7時には73・3度まで上昇した後、同日午後5時には69・2度まで下がった。東電は、今後注水量を3トン増やすが、念のため、核分裂を抑制するホウ酸の注入を開始した。 −−−読売新聞 2号機建屋(23.12)
東京電力福島第1原発2号機の炉内温度が70度以上に上がった問題について藤村修官房長官は6日の記者会見で「温度上昇は1カ所だけで、他の部位は安定している」として、昨年12月に政府が出した「冷温停止状態」宣言に影響はないとの判断を示した。
一方、内閣府原子力安全委員会の班目春樹委員長は同日、「溶けた燃料がどこにあるか分かっていない状況では、こういうことは起こりうる。それほど心配する事態ではない」との見解を示した上で、「現状でどういうことが起こりうるか、あらかじめ説明する努力が足りない。何かあるたびに国民は不安になる」と東電の対応に苦言を呈した。 −−−毎日新聞 2号機内部説明(内視鏡撮影時24.1.19)
東京電力は6日、福島第1原発2号機の原子炉圧力容器下部の温度について、70度前後の状態が続いていると発表した。近くの別の温度計は約45度で安定し、大きな上昇はない。炉内のガスを分析したところ、溶融燃料が再び連鎖的に核分裂する「再臨界」となることを示す放射性キセノン135が検出されず、東電は「再臨界は起きていない」としている。
東電は7日未明、念のため核分裂反応を抑えるホウ酸水注入を始めた。引き続き注水量を毎時3トン増加させる。事故後の保安規定では注水量を1日あたり毎時1トン超増やすと「運転上の制限の逸脱」になるため、事前に経済産業省原子力安全・保安院に通報した。
東電によると、水の流れが変化し、溶けた燃料の冷却効果が一部で下がった可能性があるといい、「原子炉全体としては十分冷えており、『冷温停止状態』は変わらない」としている。
東電によると、上昇を示したのは、圧力容器下部に3個ある温度計の一つ。2月1日の52度から徐々に上がり、6日午前7時には73・7度まで上昇した。5日に続いて6日も注水量を増やし、同日午後11時は69・9度に下がった。 −−−産経新聞
岐阜県は6日、同県本巣市の流通業者が福島県の生産業者から購入したまきから、国が示した指標値1キログラム当たり40ベクレルを超え、最大で149・6ベクレルの放射性セシウムが検出されたと発表した。岐阜県が流通業者が保管するまき約20トンを簡易検査したところ判明した。
県によると、流通業者はこれとは別に昨年11月にも同じ生産業者からまき15・7トンを購入、うち約8トンは沖縄県の顧客に既に販売している。岐阜県は、流通業者にまきの出荷停止と、沖縄県の販売先に使用を控えるよう要請することを求めた。調理などで使われた可能性があるという。 −−−産経新聞
東京電力は5日、福島第一原発2号機で、冷温停止状態の判断基準である原子炉圧力容器底部の温度計の一つが上昇し、70度を超えたと発表した。原子炉に注水する配管を切り替えた時、燃料の一部に水が届かなくなった可能性があるという。冷却水を増やしつつ様子を見ている。
東電によると、5日午後4時に71.7度まで上昇した。1日の52度から上がり気味だった。ただ、炉内で同じ高さにある別の温度計二つは約45度で安定している。福島第一原発内の放射線量に変動は見られない。現在は冷却水を1時間あたり1トン増やして9.6トンで注水している。午後5時には69.4度に下がった。注水用の配管は凍結防止のために付け替え工事をしており、注水量を変えていた。
福島第一原発の事故後の保安規定では、この温度計の温度が80度に達するか、注水量を1日で毎時1トンを超えて増やすと「運転上の制限の逸脱」となり、地元自治体に通報しなくてはならない。温度計は最大20度の誤差があるため、80度を超えれば、原子炉の「冷温停止状態」の条件を超えてしまう。そのため、注水量をさらに増やすか様子をみている。東電は、溶融燃料で再び核分裂が連鎖する「再臨界」をしていないかを確認するため、数日以内に、炉内ガスの分析をする。 −−−朝日新聞
東京電力福島第1原発から約20キロ離れた福島県川内村に生息するミミズから、1キロあたり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出されたことが、森林総合研究所(茨城県)の長谷川元洋主任研究員(土壌動物学)らの調査で分かった。ミミズは多くの野生動物が餌にしている。食物連鎖で他の生物の体内に次々と蓄積していく現象が起きている可能性も懸念される。3月17日から大津市で開かれる日本生態学会で発表する。
昨年8月下旬〜9月下旬、一部が警戒区域に指定された川内村、同県大玉村(同原発から60キロ)と只見町(同150キロ)の3町村の国有林で、40〜100匹のミミズを採取した。
その結果、川内村のミミズから1キロあたり約2万ベクレルの放射性セシウムが検出された。大玉村では同約1000ベクレル、只見町で同約290ベクレルだった。調査時の川内村の空間線量は毎時3.11マイクロシーベルト、大玉村で同0.33マイクロシーベルト、只見町で同0.12マイクロシーベルトで、線量が高い地点ほど放射性セシウムも高濃度になっていた。
一方、林野庁が昨年8〜9月に実施した調査によると、川内村で土壌1平方メートルあたり約138万ベクレル、大玉村で約8万〜12万ベクレル、只見町で約2万ベクレルあった。
事故で放出された放射性物質の多くは落ち葉に付着している。落ち葉が分解されてできた有機物を、ミミズが餌とする土とともに取り込んだのが原因とみられる。 −−−毎日新聞
放射性物質の除染に伴って発生する汚染土壌などの仮置き場設置について、南相馬市の大谷和夫・市長公室長は、3日の市議会震災・原発事故対策調査特別委員会で「除染計画を進めるため、地域の実情に応じて数カ所もやむを得ない」と述べ、分散配置を検討する考えを示した。
市は、仮置き場について、原町区と鹿島区に各1カ所(小高区は国が設置)の候補地を示して住民説明会を開いた。だが、特定避難勧奨地点を含む比較的線量の高い地域からの汚染土壌などの受け入れに反発が強かった。
こうした地域は早期の除染を求める声が強く、市は地域内での仮置き場設置を想定している −−−毎日新聞
東京電力は3日、福島第一原子力発電所で、高濃度汚染水の浄化処理後に発生する濃縮塩水用の貯蔵タンク(容量約1000トン)から漏水が起きたと発表した。 漏水量は1リットル以下と見積もっているが、漏れた水が落ちたタンクの土台部では、毎時2000ミリ・シーベルト(ベータ線)という高い放射線量を計測した。東電は、海への流出はないとしている。
漏水はタンクの鋼板の継ぎ目のボルトが緩んで起きた。東電はボルトを締め直して漏水を止めた上で、アクリル板などを設置して、放射線を遮蔽する措置を取った。
ボルトの緩みによる漏水は先月10日に続いて2件目。同型のタンクが100基あることから、経済産業省原子力安全・保安院は3日、点検と再発防止策の徹底を指示した。 −−−読売新聞
東京電力は1日、福島第一原子力発電所4号機で、原子炉から漏水が起きたと発表した。 31日午後10時半頃、原子炉建屋1階で、運転時に炉水を循環させるポンプの流量を計測する配管の弁が壊れ、漏水しているのを作業員が発見した。
漏れた水の放射性物質の濃度は比較的低いが、30日午後4時頃から漏水が起きていた可能性が高く、東電で弁破損の原因や漏水量などを調べている。4号機は事故時、定期点検中で、核燃料は原子炉から取り出され、使用済み燃料プールに移されていた。国と東電が12月に「冷温停止状態」の達成と工程表ステップ2の終了を宣言した後、原子炉からの漏水は初めて。
同原発では、これまでに冷え込みによる凍結が原因と疑われる漏水が26件発生している。 −−−読売新聞
国会が設置した東京電力福島第1原発事故調査委員会(委員長・黒川清元日本学術会議会長)の第3回委員会が30日、原発が立地する福島県双葉町民らの避難先である埼玉県加須市で開かれ、井戸川克隆町長から事故後の状況や政府の対応について意見を聞いた。
井戸川町長は「双葉町はすべてを失った。われわれの苦しみや無念さを晴らす調査をしてほしい」と訴えた上で、政府や東電の情報公開の遅れを指摘し、「隠蔽(いんぺい)や捏造(ねつぞう)には厳正な態度で究明を」と要望した。
委員会後、事故調は町民との対話集会を開き、参加者からは「原発安全神話がなぜ生まれたか追及を」「子供の将来を守って」などの訴えが相次いだ。被災者の声は事故調の報告書に反映させる方針という。
また、政府の震災関連会議の議事録が未作成だった問題について、黒川委員長は会見で「信じられないことで理解不可能」と批判し、会議のメモや資料の提出を政府に要求したことを明らかにした。 −−−産経新聞
東京電力福島第一原子力発電所の事故で、原子炉建屋内の撮影に使われた国産の災害救助支援ロボット「Quince(クインス)」の後継機2台を、開発した千葉工業大学の研究チームが30日、公開した。2月中旬にも現場に投入される。
1台には空気中のちりに含まれる放射性物質を測定する装置、もう1台には立体的な地図を作れるレーザースキャナーを搭載した。初代の1号機が、通信ケーブルが切れて建屋内で立ち往生した経験から、緊急時にはもう1台のロボットを中継し、無線でも操作できるようにした。
現在も原子炉建屋内で身動きが取れないままの1号機は、電子機器への放射線の影響を調べるため、回収せずに残しておく計画だという。 −−−読売新聞
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