長い冬眠でご迷惑をおかけしました。申し訳ありません。
しかしただ惰眠を貪っていたわけではありません。
一昨年来、御書研鑽のための便利なソフトを作ろうと、仕事や家事の傍ら、プログラムに取り組んでおりましたが、このたびようやく完成させることができました。今後、コンテンツの著作権関係の処理やらマニュアル作成を経て、春にはリリースしたいと考えております。ただし、本ソフトは著作権、編集権が存在するコンテンツを内蔵しているため、有償配布になると思います。

というわけで、昨年12月以降、ソフトの仕上げその他に忙殺されて、ネットの方は全くご無沙汰しておりましたが、今日からまた復活です。溜まっているブログ上の宿題やら某所での論争など、やるべきことがあまた残っておりますが、今日はひとまず、御書研鑽&検索ソフト「蘭室之友」のご案内。

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御書検索ソフトといえば学会員有志による「満月城岡山 ネット御書検索」というオンライン検索ソフトがすでにあります。満月城ソフトはネット上で簡便に御書検索できる便利なツールですが、以下のような不満点があります。

1)AND検索(複数キーワードによる絞り込み検索)ができない。
2)OR検索(指定した語群のいずれかを含む検索)ができない。
3)NOT検索(不要語排除)ができない。
4)ヒット数の集計が不正確である。
5)文字化けするJISコードがある。
6)ヒット文の前後文脈を御書原文で確認するためのクリックリンク機能はあるが、原文表示が検索結果リストと同じ窓を使っているため、切り替えが煩わしい。

また、創価学会のオフィシャルサイトSoka-netにも御書のオンライン検索があり、こちらはAND,OR検索はできますが、3)のNOT検索ができない、6)の「原文参照が煩わしい」という問題はなお存在します。

原文参照が面倒なのは我慢できるとしても、NOT検索は絶対必要。なぜ必要かというと、

かつて巌虎氏のサイトで、光日房御書にある「本国」は一体どこを指すのか、ということが議論になったことがあります。その際、他の用例と見比べるために、満月城ソフトで「本国」を検索してみたところ、547件(Sokanetの検索ページでは464件)ヒットしましたが、そのほとんどは「日本国」を拾ったものでした。暇で根気強い人なら、それら膨大な結果群からピュアな「本国」例(実は9件しかない)を頑張って見つけ出そうとするかも知れませんが、せっかちな私にはとうてい無理。

そこで必要なのがNOT検索です。「本国」は含むが「日本国」や「本国土妙」は含まない、という条件設定ができれば、ピュアな「本国」のみが抽出できます。手前味噌ですが「蘭室之友」はそれができます。(実例は後述の検索結果画面のところで図示紹介)。

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これ↑はソフト起動時のタイトル画面です。(クリックすると拡大表示します。以下同)


下図は「蘭室之友」起動直後の画面。
初期画面

これが「蘭室之友」の基本レイアウトです。
・左側は御書が常に開かれている状態です。起動直後は、起動時の月日と同じかそれに近い月日の御書が表示されます。この原文窓では、《富士宗学要集》や《法華経》を閲読・検索することもできます。

・右側は操作パネル。起動直後は扉絵として上のような富士山画像と、要文(重要な御文)が表示されます。要文は起動のたびにランダムに変わります。画像は季節ごとに自動的に変わる予定です。(自分の好きな画像に入れ替えることも可)。

・下部の細長いのは簡易年表です。表示御書が切り替わるたびに、その著述時期が年表上で★印で示されます。表示中の御文が大聖人の御生涯のどの時点で書かれたものかを直感的に知ることができます。
また、この年表には御書研究のための便利な機能があり、ある用語を検索した際、その用語の出現時期がすべて年表上にプロットされますので、用語の時系列的分布の考察に役立ちます。

右の操作パネルには7つの切り替えタブがあり、「全文検索条件設定」「検索結果画面」「対告衆別索引」「年月日指定索引」「要文一覧」「栞(しおり)&読了管理」「扉絵」を必要に応じて選択できます。
順に簡単に紹介しましょう。

全文検索条件設定パネル
検索設定(本国)

上図は、前述の「本国」をピュアに検索するための、「本国」は含むが、「日本国」と「本国土妙」は除外、という設定です。
検索実行すると、次のような画面になります。

リンク説明(本国)

右側の検索結果で任意の行をクリックすると、左の御書窓が該当御文に切り替わり、該当行にジャンプし色分けされます。満月城やSokanetで感じた原文参照の煩わしさが全くありません。

なお、検索結果はキーワードの前後の文字でソート(並べ替え)できるので、結果が多い時などに、整理、分析がしやすくなります。下図は、「事」「理」の2語が対比的に用いられた(とおぼしき)文を検索した後、キーワードの右1文字でソートした例です。類似用例がひと塊になっています。(一般的にはあまり使わないと思いますが、コーパス言語学ではよく使われる手法で、御書研究には一定役立つと思います)

(「理」を軸とし、その右の文字でソート)
事と理1

(「事」を軸とし、その右の文字でソート)
事と理2

検索に関しては他にもいろいろ便利な機能がありますが、これくらいにして、他の操作パネルを簡単にご紹介。

・対告衆別索引
対告衆

↑対告者を指定し、その人に与えられた御書のみに限定して拝読することができます。
対告者は別称でも検索できます。

・年月日指定索引
年月日

元号、年、月、日の全部あるいは一部を指定できる御書索引です。リストで御書名をクリックすると、該当ページにジャンプします。
上図は弘安2年に著された御書の一覧。右側には、選択された元号の期間の出来事が表示されます。

・要文集
要文

重要な御文を500件以上登録しています。
クリックすると原文の該当箇所にジャンプし、文脈の流れの中で要文を拝することができます。

・栞(しおり)と読了御書一覧
しおり

実際の御書に栞や付箋をつける感覚で、お気に入りのページや好きな御文に栞をはさむことができます。(原文右上の[栞]ボタンで)
栞にはメモを書き込むことができます。栞一覧表で任意の栞をクリックすると、左の御書窓に該当ページが表示されます。

右下の表は、読了御書の記録です。一篇を読み終えて原文右上の「了」ボタンをクリックすると、ここに日付が記録されます。私もこれを機に100%目指して頑張ろうと思っております。

・その他
「蘭室之友」は御書や富士宗学要集専用ソフトですが、「ファイル検索」ボタンを押せば、パソコン内の全テキストファイルを対象としたキーワード(複数指定可)検索もできます。

有償配布になるとしても、それほど高額にはなりませんので、よろしかったら御書研鑽の友として活用していただけると幸いです。