2012年2月28日 20時0分
東京電力福島第1原発事故を調査してきた民間組織「福島原発事故独立検証委員会」(民間事故調)の北沢宏一委員長が28日、日本記者クラブで記者会見し、事故直後の政府対応について「官邸主導による現場への過剰介入があった」と批判したうえで、菅直人前首相について「(原発のバッテリー手配など、政治家が細部に口を出す)マイクロマネジメントに走った結果、国民の評価を失った。危機管理の取り組みとして不合格だった」と酷評した。
一方で北沢氏は「(全面撤退を検討していたとされる)東電を現場に残留させたことが菅氏の最大の功績」とも評価。事故については「最も危険だったのは、原子炉より(むき出しの核燃料を保管する)使用済み核燃料プールだった」と述べた。
事故原因については「国、電力会社とも原発の『安全神話』で自縄自縛に陥り、安全への努力を怠った」と指摘。「みんなが空気を読み合う惰性が続けば、原子力の安全性は望めない。今回、最悪の事態は避けられたが、こうしたラッキーが今後も続くとは保証できない」と警鐘を鳴らした。【中西拓司】