鹿屋市内の中学に通っていた元女子生徒(19)が当時の校長にわいせつ行為を受けたとして、市と元校長に損害賠償を求めた訴訟で、元生徒側は25日までに控訴する方針を固めた。今月15日の鹿児島地裁判決は、市に約67万円の支払いを命じる一方、元校長個人への請求を棄却していた。
判決によると、元校長は07年6月、当時中3だった元生徒をドライブに連れ出し、車内で体を触るなどの行為をした。元校長側は「相談を受けていただけ」などと否認したが、判決ではわいせつ行為を認定。計約1700万円の請求に対し、市に約67万円の支払いを命じた。元校長については「公務員の行為は公共団体が賠償の責任を負う」とする最高裁判例を引き、個人への請求を棄却した。
元生徒側の弁護士は「重大な過失や故意がある場合、公務員個人に責任を負わせる判例が多くあり、今回は責任を負わせるべき事例。また女性の人生の一部を奪った責任として、今回の賠償額は少ない」と話している。【黒澤敬太郎】
毎日新聞 2012年2月26日 地方版