福島第1原子力発電所の放射能漏れ事故からまもなく1年。正確な情報が乏しいことに加え、除染が進まないこともあって、放射能汚染の恐怖にさいなまれている人びとは少なくない。だが、そんな不安に付け込んだ詐欺事件も発生するなど、“わるいやつら”が跳梁跋扈している。
Photo:AP/AFLO
2011年秋。千葉県北西部に位置するベッドタウンに、放射線量測定器がずらりと並べられたレンタルスペースが現れた。
ここでは、家庭や店舗などから食材を持ち込み、自ら放射線量を測定することができる。料金は、測定器の精度によって1件当たり980円と3980円だ。
じつは、この地域周辺では放射線量が周囲よりも高い、いわゆるホットスポットが発見されていた。そのため開設当初から、子どもを持つ主婦など危機感を抱いた人たちが長蛇の列をつくっていた。
こうした“市民測定所”は、福島第1原子力発電所の放射能漏れ事故以降、地元の福島県はもちろん、東日本を中心に雨後のたけのこのようにあちこちで設置された。
しかし、事故からまもなく1年を迎えるに至り、市民有志の場が、いつしか新たなサービスを展開する“ビジネス”へと姿を変えつつある。
たとえばある測定所では、市民が持ち込む商品だけでは飽き足らず、スーパーマーケットなどで食品を自ら買ってきて放射線量を測定している。
コメから乳製品、インスタント食品や菓子に至るまであらゆる食品が対象で、これまで測定した商品はじつに1000あまり。結果をデータベースにまとめ、独自の基準をクリアした商品をインターネット上で公開、商品に“お墨付き”シールまで貼っている。
ところがである。ホームページを見てみると、首をかしげざるをえない文言が至るところにちりばめられている。