【上海・隅俊之】中国江蘇省・南京市政府は21日夜、姉妹都市提携を結んでいる名古屋市の河村たかし市長が「南京事件というのはなかったのではないか」と発言したことを受け、両市間の交流を一時停止すると発表した。河村市長の発言に対して中国側が報復措置を明らかにしたのは初めて。南京市外事弁公室報道官は「(発言は)南京大虐殺の史実を否定し、南京市民の感情を著しく傷つけた」と批判する声明を発表した。
河村市長は20日、市役所を表敬訪問した南京市共産党委員会の幹部らと会談した際、1937年の南京事件について「通常の戦闘行為はあった」としながらも、旧日本軍による虐殺はなかったとの認識を示した。
河村市長は旧日本兵だった父親が終戦時の45年に南京で「温かいもてなしを受けた」と話していたことに触れ、「もしそんなことがあったら、南京の人がなんでそんなに日本の軍隊に優しくしてくれたのか理解できない」などと述べた。
河村市長の発言に対して中国外務省の洪磊副報道局長は20日、「南京大虐殺には動かしがたい証拠がある」と不快感を示した。
毎日新聞 2012年2月22日 8時42分(最終更新 2月22日 10時58分)