名古屋市の河村たかし市長は27日の記者会見で、自身の南京事件を否定する発言について持論は撤回せず、「30万人とされる組織的な大虐殺はなかったのではないかとの趣旨だったが、一部で誤解を招いた」と釈明した。主な質疑は次の通り。
--市長の意見では、虐殺はあったのか、なかったのか。
30万人の非武装の中国の皆さんを日本軍が大虐殺したということはないと思っている。
--犠牲者数に関する認識は。
非常に多くの意見がある。そういうことをぜひ率直に話し合おうではないかということを申し上げている。その時にお話ししたい。
--南京側に誠意ある対応をするのか。
南京市に役所は今でもアプローチしている。おやじが大変世話になっただけの理由で「ない」と言っているのではない。大変世話になって感謝しているという気持ちを中国大使館の人にもお伝えしたいということで今日(担当課に)指示した。
--表敬訪問での発言は適切だったか。
流れの中で決して突然、違和感のある発言ではなかった。
--日本政府見解は市長の意見に沿うか。
(政府見解は)非常に不明確だ。そもそも虐殺という言葉の定義がない。
--「虐殺がまったくない」という立場ではないということか。
虐殺という言葉が、一人二人でも態様によってそうなるのか、それとも一定の数をイメージしなくてはいけないのかはっきりしない。質問に答えるのはなかなか苦しい。
--非戦闘員が亡くなったことはあるが、軍が主体的、組織的に関与したとまでは言えないということか。
南京事件と言ったら30万人の非武装の中国の人を日本軍が大虐殺したということ。それは「ない」と言える。戦闘行為はあったから、非常に残念なことはあったのかもしれない。あったのだろう。それは否定しない。
--混乱した事態について市長としての責任をどう考えるか。
あまり適切な質問ではない。残念だ。一日も早く、こんなこと言ったら、すぐこんなふうになっちゃう時代を打ち破って、本当の日中友好、名古屋と南京の交流が実のあるものにならんかと思う。
毎日新聞 2012年2月28日 地方版