国内の地質学者や地球物理学者らの共同研究チームが今秋、南海地震震源域の南海トラフ海底を約7キロ掘削して岩石を採取する調査を行う。岩石を分析することで南海地震がどれぐらいの巨大津波を引き起こすかを調べる。
研究チームは東大や京大、高知大などの研究者約70人が参加。調査の詳細は高知大で28日開幕する「プレート沈み込み帯の巨大地震に関わる国際研究集会」で発表する。
調査は海洋研究開発機構の地球深部探査船「ちきゅう」を使い、9月19日~来年1月31日に実施。和歌山・紀伊半島の南東沖約120キロの海底に掘削装置を下ろして海面から約10キロ下まで掘り進み、フィリピン海プレートの岩石を取り出す。
採取した岩石の性質や強度を調べることで、南海地震発生のメカニズムや前兆現象、地震発生帯周辺の水圧などを明らかにしていく。
研究チームの1人、高知大の橋本善孝准教授=理学=は「南海トラフの掘削は科学史上初めて。断層に何が起きて巨大地震や大津波が発生するのか、明らかにしていきたい」と話している。【黄在龍】
毎日新聞 2012年2月28日 地方版