脱北者送還国連に提起　韓国

　【ソウル＝辻渕智之】中国が北朝鮮脱出住民（脱北者）を難民と認めずに拘束、送還している問題で、韓国外交通商省の金奉〓（キムボンヒョン）調整官は二十七日、ジュネーブで開かれた国連人権理事会の閣僚級会合に出席し、「すべての関連国が強制送還禁止の原則を順守する」よう要請した。同省が二十八日発表した。

　中国による脱北者の送還に対し、韓国国内で抗議デモが続く中、同国政府は国際社会の関心を高めるため、同理事会で初めて問題提起した。金調整官は基調演説で「（脱北者が北朝鮮に）送還された場合、生命を脅かすほど深刻な迫害を受ける恐れがある」と述べ、人道的配慮から強制送還の禁止を訴えた。ただし、中国の名指し批判は避けた。韓国の国会議員や民間団体によると、判明分だけで二月に中国国内で脱北者約九十人が拘束され、近く送還される。韓国在住の脱北者らは「金正恩（キムジョンウン）新体制下で初の大量送還になるため、一罰百戒の意味で公開処刑される可能性が高い」と懸念している。

　金調整官は旧日本軍の従軍慰安婦問題についても、「人道に対する犯罪」と指摘。日本を名指しはしなかったが、被害者への賠償や責任者の処罰を国連機関と加盟国に求めた。

※〓は、火へんに玄