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<AIJ>委託の企業年金は84 88万人に影響

毎日新聞 2月28日(火)11時39分配信

<AIJ>委託の企業年金は84 88万人に影響
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AIJ投資顧問の入るビル=東京都中央区で、山本晋撮影
 厚生労働省は28日午前、投資顧問会社「AIJ投資顧問」(東京都)の運用する年金資産が消失していた問題で、同社に運用を委託していた企業年金は10年度末時点で計84、受給者総数は34万4299人、現役世代の加入者数は53万9650人に上ると発表した。計約88万人が影響を受けることになる。同社への委託資産は総額1852億6500万円で、84企業年金の資産総額(1兆9109億7300万円)の約9.7%を占める。

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 同省の調査によると同社に委託していた企業年金84のうち、中小企業などでつくる厚生年金基金が74。地域別では北海道・東北・関東が53、東海・北陸・近畿が23、中国・四国・九州が8だった。中には91億円の資産の57%に上る52億円を委託していたり、61億円のうち30億円を委託するなど、同社への委託割合が2割を超える企業年金が17に上った。積み立て不足解消のため、高い利回りを求めて同社に委託していた状況がうかがえる。

 企業年金の資産運用に関しては、金融自由化の流れを受けて厚労省は97年4月に運用規制の省令を廃止して指針を策定した。外部機関に業務委託する場合でも意思決定は基金自ら行うなど資産運用関係者の役割と責任を明示しているほか、分散投資を求めている。指針が守られていなかった実態が明らかになったことから、同省は分散投資の強化など指針見直しに乗り出す。

 小宮山洋子厚労相は同日の記者会見で「運用手法が多様化・複雑化し、金融市場の変動幅も大きくて、資金運用のリスクが高まってきている」と指摘。省内に有識者会議を設置し、夏をめどに指針の見直し案をまとめる意向を示した。【鈴木直、山田夢留】


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最終更新:2月28日(火)12時27分

毎日新聞

 

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