鹿児島県立奄美高校(奄美市)の3年の学級担任が「PTA会費や教材費を納めない生徒は卒業させない」と生徒に発言していたことが27日、分かった。これを信じた生徒の母親の一人が借金し、1年間の未納分約7万円の全額を納めた。生徒の家庭は父親が病気で生活保護を受けている。県教委の本村誠人指導監は「未納でも卒業でき、不適切な指導。ただ、払うべきもので関係者の処分はしない」と話している。
県教委や同校によると、担任は1月、受け持つ学級の生徒全員に発言した。学級には未納の生徒が複数いた。母親は生徒から発言を聞き、知人に相談。知人が同校に問い合わせたところ、事務職員が「1月中に納めないといけない。分割払いも認めない」と返答したため、母親は働いている生徒の兄に借金して納めたという。
学校教育法の卒業要件に教材費納付の規定はない。九州大学人間環境学研究院の八尾坂修教授(教育行政学)は「生徒の受けた心の傷が心配だ。卒業と教材費は別問題で担任は配慮すべきだった」と指摘している。
=2012/02/28付 西日本新聞朝刊=