友人たちと路上強盗を繰り返したとして、強盗致傷などの罪に問われた福岡県宗像市の少年(19)の裁判員裁判で、福岡地裁は24日、事件を福岡家裁に移送する決定をした。最高検によると、少年事件の裁判員裁判による家裁移送決定は3例目。検察側は懲役4年以上7年以下の不定期刑を求刑していた。
野島秀夫裁判長は「被害結果は軽視できないが、ゲーム感覚で路上強盗を繰り返し人格の未成熟さが表れた事件」と指摘。公判で不利益な事実も隠さず反省の態度を示したことなどから「少年院での手厚い教育で改善させることが十分に期待できる」と述べた。
判決言い渡し後、野島裁判長は「自分の未熟さによる多くの被害者を忘れないように。挫折をこれから味わうことがあるかもしれないが、家族を支え、道を誤ることなく進んでほしい」と少年に諭した。
決定によると、少年は他の少年らと共謀し昨年2~3月、福岡市や北九州市などで20代の男性4人に殴るけるの暴行を加え、現金計約9万円を奪うなどし、うち2人に1週間のけがをさせた。
逮捕された少年グループのうち4人が福岡家裁から逆送され、昨年12月以降、福岡地裁の裁判員裁判でそれぞれ裁かれた。より多く暴行を加えた2少年には懲役4年以上7年以下の不定期刑が言い渡され確定。暴力が少なかった少年2人が家裁移送になった。1人については家裁が21日、少年院送致の保護処分を決定している。
少年事件厳罰化の流れがある中、裁判員裁判で相次いだ家裁移送決定に、今回の裁判を担当した弁護士は「逆送が正しかったのか、家裁関係者に考えてほしい」と話した。【岸達也】
毎日新聞 2012年2月25日 西部朝刊