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枝野幸男経済産業大臣は即刻、不毛な議論に終止符を打つべき〔PHOTO〕gettyimages

 この冬、何度も広域停電の危機に瀕してきた東北電力や九州電力、最終赤字への転落が続出している電力会社経営、秒読み段階に入った電気料金の値上げ、そしてLNGの購入代金がかさんで31年ぶりの赤字に転落した日本の貿易収支・・・。

 冷静に捉えれば、我々はすでに、深刻なエネルギー危機の入口に立っている。原発の運転再開ルールの早期確立を含めた、短期、中期、長期のエネルギー戦略の再構築は喫緊の課題だ。

 しかし、いたずらに国民の不信感を煽り、エネルギー戦略の立て直しの議論の本格化に影を落としているのが、政府と東電が「経営権の取得」を巡って対立の構図を演じている「東電国有化」の茶番だ。

 枝野幸男経済産業大臣は即刻、不毛な議論に終止符を打つべきだ。手始めに、資本主義の原則に従って、東電をきちんと法的整理に処すことを進言したい。

 原子力、火力の主力発電所が東日本大震災の直撃を受けたことから、昨年3月11日以来、電力供給で薄氷の綱渡りを続けてきたのが、東北電力だ。

 河北新報などによると、東北電は暑いさなかの昨年8月8日、午前中に供給余力が2.8%まで低下して、110万キロワットの電力を東電から融通して貰うピンチがあった。

 同社は、冬の暖房需要に備えて、他社からの融通の容量を拡大したり、仙台火力発電所4号機の復旧を急ぐといった対策を講じてきたものの、十分といえず、この冬は最初から余力の乏しい日が続いていた。

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