名古屋グランパスのドラガン・ストイコビッチ監督(46)が27日、セルビアの実家に手りゅう弾を投げ込まれた事件について語り、「私は落ち着いている」と平静を強調した。練習後には予定通り熱田神宮へ必勝祈願。夜には名古屋市内のホテルでキックオフパーティーに出席し、後援者にタイトル奪還を約束した。
熱田神宮の境内で神妙にこうべを垂れた指揮官の胸中はいかばかりだったか。母国で暮らす母・デサンカさんを襲った突然の事件に、恒例の必勝祈願を終えたストイコビッチ監督の表情はいまひとつさえない。「事件にショックは受けたが、家族は無事だ。私も落ち着いているし、後は警察に任せたい」と努めて冷静に語った。
ストイコビッチ監督の父はすでに亡くなっており、デサンカさんは実家で一人暮らしをしている。事件を知って、心配が募るのは当然。ストイコビッチ監督は現地の警察署長と直接電話で話し「全力で対応するので、安心してほしい」と約束されたという。
「自由な時間があるなら実家に帰りたいが、私には仕事がある。人はときに理にかなわない行動をする。誰がどんな動機でこんなことをしたのかわからないが、それは警察の捜査を待ちたい」。当面はグランパスの指揮官としての役割を全うすると決めた。
選手からは指揮官を気遣うコメントが相次いだ。FW玉田は「心配ですね」。故郷ブラジルに家族を残すDF闘莉王も「自分には何もできない…」と監督を思いやった。そんな選手たちの気持ちを知ってか知らずか、ストイコビッチ監督はあらためてシーズンへの思いを語った。「選手たちがケガなく100%の力を出すような状況をつくりたい。ベストを尽くせば結果はついてくる」。開幕まで1週間余り。悲壮なまでの決意で、ピクシーはチームを支え続ける。 (木村尚公)
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