今回は、化学のとっかかりでつまづきやすいところ
「物質量」とか「モル」「mol」について、勉強しましょう!
塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を中和させる反応は、小学校か中学校でやったと思います。二つ混ぜるだけです。
ね。「塩」ができる、って奴です。
「しお」じゃないですよ、「えん」です。
いや、まあ確かに、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和反応では、「塩(しお)」ができるんですけど
これが勘違いのもとでして
酸と塩基が中和してできるものは、「塩(しお)」とは限りません。
酢酸ナトリウムだったり、塩化マグネシウムだったり、青酸カリだったりします。
で、こういう「酸と塩基が中和してできるやつ」をまとめて「塩(えん)」って呼ぶんですよ。
酸と塩基が中和すると「塩(えん)」ができる。
だから、塩酸と水酸化ナトリウムの反応では
酸と塩基が中和してできる「塩(えん)」として、たまたま「塩(しお)」ができる、っちゅーことです。
…話が横道にそれましたがー
今回はモルの勉強ですね。
ここで断っておきますと、以下、この記事の中では
「塩」と書いたら「塩(えん)」を指すことにします。
で、「塩(しお)」は、「塩化ナトリウム」って書くことにします。ね。化学っぽくなったね。
さて。さて。
塩酸や水酸化ナトリウム水溶液の「濃さ」って、どうやって表すか知ってます?
小学校や中学校で習う「濃さ」つまり「濃度」としては
「1グラムの食塩水のうち何グラムが塩化ナトリウムか?」っていう値を使ってたと思います。
「(溶けてるもの(塩化ナトリウム等)質量)÷(溶液全体の質量)」を計算して、それを100倍して「%」をつけた
「質量パーセント濃度」のことです。
さて。ではここで、塩酸と水酸化ナトリウム水溶液を丁度中和させることを考えてみます。
今ここに、質量パーセント濃度1%の塩酸100mlと
同じく質量パーセント濃度1%の水酸化ナトリウム水溶液100mlがあるとします。
同じ濃度で、同じ量。この二つを、混ぜ合わせます。
さて、丁度中和するか、いなか!!
…実は、ちゃんと中和してはくれないんです。
それは、何故か。
この反応を化学反応式で書くと、どうなるか。
塩酸は、塩化水素HClの水溶液です。水酸化ナトリウム水溶液はそのまま水酸化ナトリウムNaOHの水溶液。
なので、中和反応は
HCl+NaOH → NaCl+H2O
です。塩酸に溶けてるHClと、水酸化ナトリウム水溶液に溶けてるNaOHは、同じ数ずつ反応します。
ここで大事なのは、「数」が同じってことです。
さっきの例では、質量パーセント濃度が同じ二つの溶液を、同じ量ずつ混ぜました。
この時、何が同じだったかというと
塩酸に溶けてるHClと、水酸化ナトリウム水溶液に溶けてるNaOHの、「質量」が同じだったんです。つまり、「重さ」が同じだった、っていうこと。
「質量」「重さ」が同じだと、「数」が同じなのか。
実は、1個のHClより1個のNaOHのほうが質量が大きい、つまり重いんですよ。
ちなみにその比率は HCl:NaOH=36.5:40 です。
ということは、同じ「質量」「重さ」のHClとNaOHを混ぜた場合
「数」を比べると、HClのほうが多いんですよ!
ということはですよ。
「質量パーセント濃度」では、中和反応とかしたいときに、全然参考にならんのですよ!
「1リットルの水に、いくつの粒が溶けてるのか」という
「数」に注目した濃度で考えれば
同じ濃度の水溶液を同じ量混ぜれば中和する、とか、考えることができる。
ということで。
数に注目した濃度を作ってみましょう!
58.5グラムの塩化ナトリウムに、ジャーッと水いれて、1リットルにします。家庭でもできそうですね。
このとき、質量パーセント濃度は、5.85パーセント前後になります。
「前後」っていうのは、ここでは温度を指定してないので、1リットルの水の質量が温度によって変わったり、水が食塩水になったことで密度が変わったりといった影響を考慮してってことですがまあここではどうでもいいです。とりあえずね。
では、これを、「数」に注目した濃度で表してみましょう!
塩化ナトリウム58.5グラムには、
大体600000000000000000000000個ずつ、NaとClが含まれてます。
なので、これを1リットルの水に溶かしたとき、その濃度は
約600000000000000000000000個/リットル
と表すことができます!
ね!これでオッケー★
・・・・というわけにはいかないですね。
数が大きすぎます。超絶に、面倒くさい。
表し方をかえて、有効数字も考慮して
6.0×1023個/リットル
としても、まだ若干面倒くさい。
「個/リットル」なんていう単位使ってたら、使うたびにいちいち「×1023」とか書かなきゃいけない。
普通に目に見える量の物質を用意したら、そこには分子とかの粒子が何千垓(せんがい)個っていう規模であるわけですよ。
(ちなみに 1千垓=1023)
じゃあ、もっと、便利な単位を用意しよう。
どうすればいいのか。
今、僕の目の前に、カスタードケーキがあります。昨日その辺のスーパーで買ってきた奴です。
このカスタードケーキ、1個1個包装されたものが6個入って一箱です。
一箱買ってくると、それは、カスタードケーキを6個買っていることになる。
6個を一まとめにして、「一箱」と呼んでいる、というわけですね。まあ厳密には「箱」がくっついてくるからちょっと違いますが、まあ、とにかく「ひとまとめにする」っていう感覚をつかんでください。
6千垓個もね、ひとまとめにしちゃえばいいんですよ。
で、「一『箱』」みたいな名前をつけよう。
っていうことで。理由は知りませんが、6千垓個をひとまとめにして「1モル」って呼ぶことにしました。
こうすると、さっきの
約600000000000000000000000個/リットル
の塩化ナトリウム水溶液は、1モル/リットル と表すことができます!
もっとそれっぽく書くなら、
1mol/l
となるわけです。
これを使うと、さっきの塩酸と水酸化ナトリウムの中和も
「同じ濃度の奴を同じ量混ぜる」でちゃんと中和するようになります。
1.0mol/lの塩酸1.0lと、
1.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液1.0lを 混ぜます。
1.0mol/lの塩酸1.0lには、1.0molのHClが
1.0mol/lの水酸化ナトリウム水溶液1.0lには、1.0molのNaOHが入ってます。
個数に直すと、どちらも6.0×1023個、つまり約6千垓個ずつ。
これを混ぜると、
HCl + NaOH → NaCl + H2O
の反応により
6千垓個ずつの粒が丁度反応します!
要するにmolってのは、「個数」を表してるんですね!
・・・・さて。
molが個数を表してる、ってことはわかりました。
が
残る疑問は、何故「1mol」が「6.0×1023個」なのか。
これ実は、「原子量」とか「分子量」とか「式量」とか言うあのあれに関係があるんですねー
NaClの式量は58.5です。
理由は、原子量が Na=23 Cl=35.5 だからです。単に、足しただけ。
さて。 気づきました?
上の例で、食塩水作ったときに、58.5グラムの塩化ナトリウムを使いました。
で、そこには6千垓のNaClがある、っつって、それを「1mol」とした。
じゃあ、Na原子を、6.0×1023個集めたら、その質量は何グラムになると思います?
Na=23 ですよ?
・・・答えは、23グラムです。
じゃあC=12 としたら、C原子を1molつまり6.0×1023個集めたら、質量は何グラムになるか?
答えは、12グラムです。
じゃあさらに、O=16 として
CO2を2mol集めたら、質量はどれだけになるか?
(12+16×2)× 2 =88 なので
88グラムです。
もうわかりましたね!
つまり、ある物質を6.0×1023個集めると、丁度その物質の原子量だの分子量だの式量だのに「グラム」をつけた質量になるんです!
なので、その数6.0×1023個を、1molってまとめて呼ぶことにしたわけです。
大体のイメージとしては、陽子か中性子を1mol集めたら1グラムになる、っていう感じ。
では最後に用語を2つ説明しておきます。
「アボガドロ定数」
6.0×1023 のことです。まあ、厳密にはもうちょっと細かいですが、大体このくらいの値。
単位は「/mol」です。「個/mol」にすればいいのに、なんてふうにも思いますが、「個」はこういうアカデミックなあれの単位には入ってこなさそうな感じもなんとなくしますよねw
「物質量」
何モルか、ってことです。
問. 58.5グラムの塩化ナトリウムがある。この塩化ナトリウムの物質量はどれだけか。
答え. 1.0mol
〜本日のまとめ〜
「モル」とは、「個数」を表したもので、
1mol=6.0×1023個
言い方を変えると、1モルとは6千垓(せんがい)個のこと。
原子量nの原子を1mol集めると、質量の合計はnグラムになる。
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2009年07月02日
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molをすらすらと理解していくためには、「割合」をマスターしておくことが不可欠ですよね。やっぱり、ゆとり教育の影響で「割合」があやふやになり、それがmolでつまづく大きな理由になっているんじゃないでしょうか。
まぁ、僕の勉強不足をゆとり教育のせいにしてみただけですが…(´・ω・`)。
真田正大
ありがとうございます!わかりやすさを目指しているので、わかりやすいと言っていただけるととてもうれしいです!
molでつまづく原因については、僕も考えてみたのですが、いまいち結論に達していません。
割合の理解があいまいだから、という可能性もありますね。2つの分子の分子量の比が同じなら、それぞれが同じ個数(例えば1mol)集まったときも同じ質量比になるために、「その数だけ集めると分子量に『グラム』をつけた質量になるような数」である「1mol」を定義できるわけですしね。
ちなみに、僕が今まで考えていた「モルでつまづく原因」のひとつとしては、「mol」という新進出単語から漂う仰々しい雰囲気が、単なる「個数」という感覚を持ちにくくさせ、molをとっつきにくいものにしてる、という考えがあります。
ゆとり教育については今でもいろんな意見があるみたいですが僕にはよくわかりません(笑
真田正大
ホントだ!申し訳ありませんでした。訂正しておきました。
ご指摘ありがとうございました!
とてもわかりやすく
大学生になってから
化学の復習をするのに
勉強させていただいています。
取り急ぎお礼まで
真田正大
ありがとうございます。
わかりやすさは当サイトが追求するテーマの一つでございますので、
そう言っていただけると大変ありがたく思います。
またお越しください。
化学と数学はさっぱりだったんですが
こちらにお邪魔するようになってから
すっかりラクになりました。笑。
高校の化学のレポートをまとめるさいにも
参考にさせていただいています。
(おかげでいつもいい点が取れます!)
モルについてもわけわかんなくて
すごく困ってたんですが
今回本当に助かりました!!
あらためてありがとうございます。
そしてこれからもお邪魔させていただきます!
真田正大
お役に立てているようで大変嬉しいです。
是非これからもご活用ください!
化学の先生の言っている意味が
いまいち分らなかったので
困っていました;;
一度分らなくなったら終わりと
聞いたので焦って探してみたら
すごーーく分りやすかったです!!
ありがとうございましたッ
これからもお世話になります(^∧^)
真田正大
お役に立てたようで、良かったです。これからもよろしくお願いします。
ありがとうございます♪
明日テストなので、助かりました^^;
真田正大
ありがとうございます。テストはうまくいきましたか?
化学は、苦手分野だけに
こういうページがあるとすごく助かります♪
今後もお邪魔させていただきます!!^ω^◎
真田正大
ありがとうございます!そう言っていただけて大変ありがたいです。是非これからもよろしくお願いします!