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厳寒 シベリア高気圧が要因に

2月27日 19時12分

厳寒 シベリア高気圧が要因に
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この冬は日本やヨーロッパなどで厳しい寒さや大雪に見舞われましたが、気候の専門家で作る気象庁の検討会は、「ラニーニャ現象」など複数の要因が重なって冷たい「シベリア高気圧」が強くなったことが要因だったという分析結果をまとめました。

この冬の寒さの要因

この冬は中央アジアやヨーロッパでは記録的な低温となり、寒さによって多くの犠牲者が出たほか、日本でもたびたび強い寒気が流れ込んで雪が降り、日本海側の多いところでは積雪が平年の2倍から3倍に達する大雪となりました。
専門家などで作る気象庁の異常気象分析検討会は定例の会合を開き、この冬の気候の特徴を分析しました。
それによりますと、この冬は寒気をもたらす「シベリア高気圧」の勢力が過去30年間で最も強くなり、中央アジアだけでなく周辺の日本やヨーロッパにも強い寒気が流れ込んだとしています。
その要因として検討会は、南米沖の太平洋の海面水温が低くなる「ラニーニャ現象」の影響でインドネシア周辺で海面水温が高くなったことや、北大西洋でも別の要因で海面水温が高くなったことから、北半球の上空で偏西風が大きく蛇行し、「シベリア高気圧」を強めたと分析しています。
さらに、地球温暖化の影響でロシアの北西、北極圏のバレンツ海の氷が少なくなったことがシベリア周辺の大気の流れを変え、高気圧を強めることにつながった可能性があると指摘しています。
検討会の会長で東京大学の木本昌秀教授は、「日本の低温や大雪は30年に1度という『異常気象』とまでは言えない」と説明したうえで、「ラニーニャ現象が起きている冬には気温が低くなる傾向が見られるが、この冬は北大西洋やバレンツ海など、複数の要因が重なったために、長期間、低温が続いたと考えられる」と話しています。

日本では広い範囲で平年より気温低く

この冬は断続的に強い寒気が流れ込んだため、北日本から西日本にかけての広い範囲で平年より気温が低くなり、日本海側を中心に全国の19か所で積雪が統計を取り始めてから最も多くなりました。
気象庁によりますと、去年12月以降、日本付近はたびたび冬型の気圧配置が強まり、上空には断続的に強い寒気が流れ込みました。
このため北日本から西日本にかけての広い範囲で平年より気温が低くなり、12月1日から今月26日までの平均気温は、東京の都心で6度、仙台市で1度5分、新潟市で2度4分などと各地で26年前、昭和61年以来の寒さとなっています。
また、気象庁が長期的な気候の変化の指標としている全国17か所の観測点でも、12月から今月26日までの平均気温が平年より0.87度低くなり、26年前以来の低さとなる可能性があるということです。
また、各地の雪は、降った量では6年前の「平成18年豪雪」に比べると少ないところが多いものの、気温が低いために雪がとけにくく、積雪が増える要因となっています。
積雪は日本海側を中心に、多いところで平年の2倍から3倍に達し、山形県尾花沢市では、今月、一時、2メートル38センチとなったほか、北海道岩見沢市で2メートル8センチ、京都府舞鶴市で87センチなどと、全国の19か所で統計を取り始めてから最も多くなりました。