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上空から福島第一原発周辺を撮影

2月26日 17時3分

上空から福島第一原発周辺を撮影
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東京電力福島第一原子力発電所上空の飛行禁止区域が半径3キロに縮小されたことから、26日、NHKのヘリコプターが原発近くの上空を事故後初めて飛行し、上空から、水素爆発で骨組みがむきだしになった原子炉建屋や作業員の様子がはっきりと確認できました。一方、原発周辺の立ち入りが制限されている警戒区域では、住宅などがそのまま残されていますが、住民の姿はなく、暮らしが消えた町並みが続いていました。

福島第一原発上空の飛行禁止区域は、これまで半径20キロとされていましたが、国土交通省が上空の放射線量を測定した結果、飛行の安全性に問題はないと判断し、25日から半径3キロに縮小されました。NHKのヘリコプターは、26日午前、福島第一原発からおよそ4キロの高度700メートル付近を事故後、初めて飛行しました。
上空からは、水素爆発を起こした3号機の原子炉建屋の骨組みがぐにゃりと曲がっている様子や、爆発で壁が崩れ落ちた4号機の原子炉建屋の中から、格納容器の黄色い上ぶたがむきだしになっているのがはっきりと見え、建屋の5階付近を防護服を着た作業員が歩いている姿も確認できました。また、原発の専用港では、クレーンがついた作業船の上に白い防護服を着た10人ほどの作業員が乗り込み、海底の泥に含まれる放射性物質が沖合に広がるのを防ぐため、海底をセメントや粘土で覆う工事が進められていました。福島第一原発は、去年12月に政府が「冷温停止状態」を宣言したあとも、原子炉の注水ポンプや配管などで水漏れが相次いでいますが、原発の敷地西側には汚染水を保管する灰色や青色の鋼鉄製のタンクおよそ1000基が立ち並び、大量の汚染水を処理する困難な作業の一端が伺えました。
一方、原発周辺の、立ち入りが制限されている半径20キロの警戒区域では、住宅や店舗などがそのまま残されていますが、住民や働く人の姿はなく、暮らしが消えた町並みが広い範囲で続いていました。このうち、福島第一原発がある大熊町の町営の野球場は、国の事業で行った除染で発生した土などを保管する仮置き場になっていて、シートを引いた地面の上で、作業員が土を積み上げる作業を続けていました。また、原発の南側の富岡町では、住宅や大型店舗それに学校などが無人のまま使われない状態で残れていたほか、JR常磐線の富岡駅の周辺でも、崩れた建物や草に覆われた状態の線路が、放置されていました。さらに、原発の北側の浪江町の請戸漁港周辺では、津波の被害を受けた施設や陸に乗り上げた船がそのままになっていて、原発事故の被害の大きさを改めて感じさせていました。