ロマンポルノ傑作「ピンクのカーテン」を撮った上垣保朗監督

＜上垣保朗さん＞

　８２年、美保純主演のにっかつロマンポルノ「ピンクのカーテン」が大ヒット。フレッシュでコケティッシュな美保にドキドキしながら、２度、３度と映画館に足を運んだ向きも多かったろう。その「ピンクのカーテン」を撮ったのが上垣保朗監督だ。今どうしているのか。

　上垣監督に会ったのは夕方５時、小田急線参宮橋駅そばの喫茶店だ。

「きょうは６時から１０時まで、ここから歩いて１０分ほどのオリンピック村（国立オリンピック記念青少年総合センター）で芝居の稽古をしているんです。取材が終わったら、ご案内しましょう」

　芝居の稽古？　上垣さん、映画から舞台の監督に転向したのか。

「以前から舞台に興味がありましてね。５０歳のとき、血液透析を受けるために週３回、病院に通わなくちゃならなくなって、映像の仕事は無理になった、という事情もあります。４０歳のとき腎不全を患い、それから１０年は病院ではなく、自分で透析ができる携帯式のモノを使いながら、Ｖシネマとかテレビの連続ドラマといった映像の仕事をしてたんですが、悪化してしまって……。腎不全の原因？過労とアルコールでしょうかねぇ。でも、ずっと好きなことをやってきたので、全然悔やんでいません」

　００年に劇団「染地組」（にっかつ撮影所があった調布市染地にちなむ）を旗揚げし、病と闘いながら芝居を企画・上演。３作目となる今回は２月８日から１２日まで、中野区中野にある劇場ＭＯＭＯで法廷劇「６人のイカレる女」を上演する。

「言葉がドタバタと飛び交うコメディーです。ボクの映像作品に出てくれた、にっかつの女優さんにも出てもらってます」

　なんと、風祭ゆき、水島裕子、三東ルシア、志水季里子といったスター女優がズラリ出演する。監督ならずとも、懐かしい面々だ。

「ええ、ボク自身、彼女たちに会いたかったし、もちろん彼女たちが出れば話題にもなる。捜索の手をあちこちに伸ばして彼女たちの連絡先を捜し出し、出演を依頼しました」

　ハテ、美保純は出ないのか。

「彼女は忙しいからねぇ。でも、見に来てくれますよ。彼女とはメル友なんです」

　へぇ〜。

　さて、兵庫県豊岡市出身の上垣さんは７１年、近畿大学を卒業し日活へ。加藤彰監督らに師事し、８１年、「レイプウーマン　淫らな日曜日」で監督デビュー。とくに「ピンクのカーテン」は大ヒットしてシリーズ化され、全３作品で興行収入４億円を記録した。

「助監督から監督になると社員からフリーになり、専属契約料プラス出来高、という契約に変わります。ただ、３本目までは社員という立場で撮るのが、当時のにっかつの不文律でした。『ピンクのカーテン』は３本目、ボクの映画で２番目に人気のある『女教師　生徒の眼の前で』は２本目。だから、その２作品はヒットしても社員としての給料だけ。残念でした、ハハハ。だけど、ビデオ化されたり、ＣＳなんかでリバイバル上映されると印税が入る。それが大きかった。病気で働けなかった時も、印税のおかげで助かりました」

　８３年、１０歳下のにっかつ女優・小泉ゆかと結婚し、２４歳になる娘が１人。東京・武蔵野市内に暮らす。

（日刊ゲンダイ2012年2月6日掲載）

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