「ちびっこギャング」の越川大介さん

＜越川大介さん＞

　８０年代半ば、バラエティーやお笑い番組で活躍したともに身長１６１センチと小柄なお笑いコンビがいた。「ちびっこギャング」だ。そのひとり、越川大介さんは今どうしているのか。

　会ったのは大江戸線西新宿五丁目駅から徒歩７分の越川さん主宰の劇団「Ｄ．Ｋ．ＨＯＬＬＹＷＯＯＤ」の稽古場。

「立ち上げて１８年。ずっとコメディー一本できて、すべてボクが作・演出し、おいしい役で出演もします、ハハハ。現在、劇団員が１０人、スタジオ生も１０人ほどいて、稽古場の維持費や劇団員に払うギャラでいっぱいいっぱいですが、みんなが制作、大道具、宣伝などを請け負ってくれるため、きょうまでやってこられました。公演は新作を年に２本発表するペースで、劇場は３００人くらいの規模が多く、池袋の東京芸術劇場や新宿のシアターサンモールなどによくお世話になってます」

　０５年、ニューヨークで２回の１カ月公演を行うなど海外進出も果たした。

「ストーリー展開をサポートするナレーションを英語で入れたから、日本語で演じても笑いは起き、内容も理解してもらえたと思います。あと、香港と韓国でも公演しました」

　越川さんは鳥取商業高卒業後、劇団青年座の養成所に入り、２年間の選考期間を経て団員になった。ほかに同期で残ったのは竹中直人だけだったとか。もっとも、越川さん、アルバイトを続けながらの団員生活はすさみ、３年で青年座をやめた。

「さて、どうしようかと思案してたら、先に青年座をやめて防水工事会社で働いてた藤井一男に、お笑いをやらないか、って誘われましてね。で、豊島区の大塚ジェルスホールって小さな小屋でお笑いがある芝居をしたところ、当時田辺エージェンシーにいた松田英夫さん（現ケイダッシュ社長）が見に来ていてスカウトされたんです」

　８５年、「ちびっこギャング」でデビュー。たちまち「ハイ！こちら音楽部」（日本テレビ）、「夕やけニャンニャン」「オールナイトフジ」（ともにフジテレビ）など７本のレギュラーを抱える売れっ子になった。

「まだバブル期だったでしょ。営業に行ってもらったお車代が給料より多かったり、宿泊先でコンビでスイートルームが２つ用意されてたり、考えられない時代でしたね」

　しかし、給料が「１００万円台になろうかという頃から」人気は下降線をたどり、９４年にコンビ解散。越川さんはタレント活動を経て、劇団運営に専念するようになった。

「藤井？　１０年以上音信不通だったのが、３、４年前に西新宿五丁目駅でバッタリ会ったんですが、アイツは山口県出身なのに、なぜか新潟で芸能プロをやってると言ってました。お笑い芸人や歌手を育ててるそうですよ」

　２１歳のとき、青年座の先輩で７歳年上の島本須美さんと結婚。「風の谷のナウシカ」のナウシカ役や人気アニメ「めぞん一刻」のヒロイン・音無響子役などで知られる声優だ。

　２５歳になる娘の詩織さんは劇団のスタジオ生。大学卒業後、オーディションを受けて入団した。

「彼女はデビュー作からヒロイン役でした。親バカですかねえ、ハハハ」

　１７日から１９日まで大阪・道頓堀ＺＡＺＡで、劇団初の地方公演となるサスペンスコメディー「ザ・ジョーカー」を上演する。

（日刊ゲンダイ2012年2月15日掲載）

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