東日本大震災の津波で校舎が壊滅した宮城県南三陸町の戸倉小学校が、震災直後の避難状況や、児童らがこの1年間に感じたことなどを冊子にまとめる作業を続けている。地域住民からは、校舎が津波にのみ込まれる瞬間を撮影した写真も寄せられた。麻生川敦校長は「つらい記憶だが、後世に津波の記憶や教訓を引き継ぐためにも、しっかりと記録に残しておきたい」と話している。
海岸から約300メートルの場所にあった戸倉小では震災前から、避難場所を屋上と高台のどちらにするかという議論が続いていた。地震の後、麻生川校長らの判断で児童91人は高台に避難し、山頂の神社で夜を明かした。すでに下校していた児童1人と、避難後に自宅に戻った教職員1人が亡くなった。
同小は現在、20キロ離れた登米市の廃校で授業を続けている。冊子は約60ページになる予定で、宮城県内の各小学校に配布するという。(三浦英之)