「止まった原発を1基も動かさないことが私たちの使命」--。日本原子力発電東海第2原子力発電所(東海村)のある原電正門前で26日、県内外から駆け付けた約700人による「人間の鎖」が作り上げられた。主催の茨城平和擁護県民会議関係者に加え、ツイッターなどで情報を得て参加した若者の姿もあり、廃炉を目指す草の根の動きは、着実にすそ野を広げつつある。
「原電は断固として再稼働に歩もうとしている。圧倒的な再稼働反対、廃炉の動きを作り出していこう」。同日午後1時半、阿漕ケ浦公園で始まった集会で、「東海第2原発ハイロアクション」実行委員長の相沢一正・東海村議が呼び掛けると、会場は熱気に包まれた。
参加者の中には「あいうえお、かくきけん」と書いたオリジナルのマスクをつけた女性の姿も。水戸市の男性公務員(40)は「市民が動かないと行政も変われない」と、長女(6)と長男(3)の手を引きながら行進。ツイッターで情報を得て参加したという造園業、梁田幹治さん(38)=石岡市=は、原発事故までは関心がなかったと話し、参加動機を「原発は怖いのでなくしたい」と語った。
参加者数は実行委が目標とした1000人には届かなかったものの、実行委員の一人は「交通の便が悪いのに、これだけ参加したのはすごいこと」と強調。「東海村民も参加してくれたし、原発に対して危機感は強くなっている」と話した。JR水戸駅などで参加を呼び掛けてきた鉾田市の山口秀樹さん(31)も「着実に広まっていると思う」と話した。その後、参加者たちは急きょ、近くの真崎コミュニティーセンターに集まり、情報交換や各団体の連携を深めた。村上達也東海村長も飛び入り参加。村上村長は人間の鎖について「勇気付けられた。若い母親の動きが大きなうねりになっているし、原子力政策を変える力になると思っている」と語った。【杣谷健太】
毎日新聞 2012年2月27日 地方版
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