【新華社通信 郭記者】南京大虐殺について、河村市長の発言は、日本政府の立場とは決して一致していない部分があると思いますが、日本政府はこの河村市長に対して今後どのような対応をとっていくのですか。また、傷つけられた日中関係や、日本と中国の国民の感情についてどのように修復したいと思いますか。
【横井外務報道官】河村市長のご発言について、そのような事実関係については日本国政府としても承知してございますし、日本国政府の立場は、名古屋市と南京市という地方自治体間のあいだで適切に処理・解決されていくという問題であって、可能な限り早く解決されることを期待しております。
南京大虐殺につきましては、その事実関係を巡っていろいろな議論があるということは承知していますけれども、旧日本軍の南京入城の後、非戦闘員の殺害、もしくは略奪行為などがあったことは否定できないというように考えております。我が国としましては、過去の一時期植民地支配と侵略により多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えたことを率直に認識し、戦争は二度と繰り返さず、平和国家としての道を歩んでいくという決意であって、このような立場に一切変更はございません。
今後の日中関係につきましては、本年が特に日中国交正常化40周年にあたるということでもございますし、日中関係が戦略的互恵関係に基づき、ますます発展していくことを切に願っておりますし、その方向に向けて日本国政府としても最大限の努力をしていきたいというように思っております。
【新華社通信 郭記者】発言は残念だと思っているのでしょうか。
【横井外務報道官】河村市長の発言については以上申し上げたとおりでありまして、我々としては名古屋市と南京市の間で適切に解決が図られるということを心より願っております。
【NHK 吉岡記者】米朝協議が本日行われていましたが、その結果について、もし報告等入っていれば、ご認識を伺えればと思います。
【横井外務報道官】昨日に続いて本日も継続して米朝協議が行われ、かつ米朝協議が既に終了したと承知しておりますが、協議に参加しましたデーヴィス特別代表よりの記者会見というのは、その結果については今のところまだ承知してございません。米朝協議の結果については、この後、まだ具体的な日程等々については調整中でありますけれども、この交渉に参加をした米国の代表団が日本に来て詳細なブリーフィングが行われるというように承知しています。
【横井外務報道官】2月23日(木曜日)、マリア・アンヘラ・オルギン・コロンビア外相が外務省賓客として来日します。
オルギン外相は、本邦滞在中、玄葉外務大臣と会談を行う予定です。また、オルギン外相は、21日(火曜日)から23日(木曜日)まで、東京において開催される日・コロンビアEPA共同研究第二回会合の閉会セッションに出席される予定です。
オルギン外相の来日により、我が国とコロンビア共和国との友好・協力関係がより一層強化されることが期待されます。
【横井外務報道官】日本の外交政策について、玄葉外務大臣から直接国民の皆様にご説明する「玄葉外務大臣と語る」を、3月17日(土曜日)午後1時から愛知県名古屋市で開催いたします。
この催しは、日本の外交政策について、玄葉外務大臣が直接、国民の皆様にご説明するとともに、参加者からのご質問にもお答えするもので、テーマは「これからの日本外交」です。国民の皆様とのコミュニケーションを重視した有意義な行事にしたいと考えております。
【日本テレビ 野口記者】中国の東シナ海のガス田についてお伺いしますけれども、本日も朝刊でいくつか書いていらっしゃる新聞社がありますが、中国側が東シナ海でどのようなガス田開発を現在行っているのかという状況の把握はどんな方法で政府は今されているのでしょうか。
【横井外務報道官】ご指摘の件も含め、政府としては必要に応じ情報収集活動を行ってきております。その対応についてはさまざまな方途がありますけれども、もう一度申し上げれば、随時警戒監視の情報収集活動を行ってきているということです。
【日本テレビ 野口記者】その警戒監視というのは、どういった方法なのでしょうか。例えば航空機を飛ばしたりとか、そういうことなのでしょうか。
【横井外務報道官】そういうことも含まれます。
【日本テレビ 野口記者】それはどのようなペースでしょうか。一日1回飛ばしているとか、そのようなペースに関しては。
【横井外務報道官】基本的に情報収集の結果も含め、どのような対応で、どのような活動をしているかということにつきましては、公開についてはそれ以降の我が方の情報収集に支障をきたしかねないという考え方の下、それらの公表については、あるいは発表については差し控えております。
【日本テレビ 野口記者】その情報収集に支障をきたす可能性を恐れて,というのをもっと説明していただくと。
【横井外務報道官】例えば結果の公表、あるいはやり方の公表ということは、公表によって我が国の警戒監視能力を明らかにするという側面があります。そのような監視能力が明らかになった場合には、先方に、それに対する対抗措置をとられるというような可能性もあることから、そういう意味で、以降の情報収集に支障をきたしかねないという考え方から、今言ったようなことについては公表を差し控えているということです。
【日本テレビ 野口記者】公表をしないというのは、これはいつからそのような方針になったのでしょうか。
【横井外務報道官】今ほど申し上げたとおり、必要な事項については日本政府として情報収集をするというのはずっとこれをやってきているわけでありまして、その方針については一貫しております。
【日本テレビ 野口記者】民主党政権になる以前からということですか。
【横井外務報道官】今ほど申し上げたとおり、一貫してこのような方針で臨んできております。
【北海道新聞 相内記者】午前中の大臣の記者会見で、北方領土の国後島における国連機関のアンケートに関して、大臣は「調べる」とおっしゃっていました。その後、今の状況はどうでしょうか。
【横井外務報道官】現在のポジションにつきましては、依然として事実関係について照会中ということでございます。
【北海道新聞 相内記者】北方領土問題にからんで、日本政府は、ロシアのビザをとって四島で行動することを自粛要請していますけれども、そういう日本政府の立場はどの程度国際的に認知されているのかが少し疑問に思ったものですから、日本政府として今までどういうアピールをしてきているのか、わかる範囲で教えて下さい。
【横井外務報道官】北方四島に対する日本政府の立場というのは、ご承知のとおり我々としては、ロシアの管轄権を前提としたあらゆる、そういうような行為については、北方領土に対する我が国の立場と相容れないということで、あらゆるチャンスをとらえて、ただ今おっしゃった国際機関に止まらず外国政府に対しても徹底を図ってきているというところであります。今後とも、必要に応じ必ず機会をとらえて、その努力を継続していくということです。
【北海道新聞 相内記者】徹底を図ってきているということでしたけれども、具体的に私はあまり記憶にないのですけれども、国連の場だとかで日本政府がそういう立場だと最近やっている場面があったかなと。
【横井外務報道官】徹底を図ってきていると申しましても、当然何もないときにいきなりどこかに行って我々の北方領土の立場について言及するということは、必ずしも適当でないので、必要に応じてという前提はつきますけれども、今ほど私が申し上げたとおり徹底を図ってきています。他方で今後とも必要に応じ 必ず機会を捉えてこの努力を継続していくということであります。
【日経新聞 田島記者】政府が進めているEEZの基点となる離島の命名についてお伺いします。命名の対象には尖閣諸島が含まれておりまして、中国では人民日報が「命名は中国の核心的利益を損なう」という論評記事を掲載したり、中国外務省が外交ルートを通じて日本政府に抗議する等反発を強めています。この件が日中関係に及ぼす影響をどのように見てらっしゃるのか、御所見をお願いします。
【横井外務報道官】尖閣諸島につきましては、我が国の立場として、そもそも領土問題はないということについて、これまでも玄葉外務大臣を始め、つとに明らかにしてきているところであります。今ほどご指摘がありましたように、本件につきまして、中国側から、彼らの考え方に基づいた行為が取られているということは承知しておりますが、これについても外務当局として適切に対応してきているというところです。
しかし、こういう個別の問題が戦略的互恵関係の発展を双方の首脳で合意している二国間関係において、マイナスの影響が及ばないよう両国政府ともに努力していくという考え方だと思います。
【読売新聞 中山記者】東シナ海のガス田、いわゆる日本名「樫」で開発が行われていると、炎が出ているという報道がありますけれども、これについて、日本政府として開発が行われているかどうかという状況認識についてと、日本政府としてどのように中国政府に対して対処・対応していくのかというところをお願いします。
【横井外務報道官】ただ今ご指摘のフレアにつきましては、これも外務大臣の方から前に申し上げましたとおり、2005年か2006年から続けて、折々見られる現象だと承知しております。そのたびに日本側としては、中国側に対して、その事実関係について照会し、中国側の説明を求めてきていると。そして、仮にそれがご指摘のような内容であるとすれば、我が国の立場とは相容れないというところを外交ルートを通じて、折々先方に申し入れてきているということです。