前回のエントリーで 「怒られるかもしれませんが、日本だけ見た場合近い将来本格的に景気が回復する(継続的な成長が実現する)ことはないと思います。それが本当に可能なのは、人口構成がもうちょっとまともになってからだと思います。まあやってみないとわからないとはいえ、いまドメスティックな成長戦略をいくらやっても、中期的な成長につながらない。」 というのを批判を承知で書いてみたら、なんと同じ趣旨のことをもっと学術的にかつグローバルに西村さんが書いておられたのでちょっと安心しました(って安心している場合か)。この辺の論点は藻谷さんが「デフレの正体」で取り上げたのと共通した論点だと思います。 考えれば考えるほど、この問題は、唯一の問題ではないにせよ、大きな問題であることは疑いなさそうです。一言で言えば、「世代間の公平」がないところに希望が生まれないし非生産人口が積極的な成長投資をしなくなるという現実です。 ところが現実にはその問題に政治はきちんと向き合っていないのです。かつてやった年金の物価スライド凍結、医療費のサービスなど、老人すなわち多くが非生産人口である層にこびるような政策ばかりです。また国全体として考えた場合、地方の活性化はもちろん必要ですが、費用対効果を考えない議論も横行しています。その結果非生産人口の比率の高そうな地域に相対的に多くのコストがつぎ込まれていくことになります。 結局政治家というのが当選してナンボの人々である以上、老人も一人一票持っている以上、そして一票の格差が是正されない以上、こういう構造は変わりますまい。 本来であれば老人層に日本の将来のことを考えた自己犠牲を込めた投票行動を期待したいところですが、それもまた困難でしょう。古く凝り固まった考え方だときっと若者が悪いということでおしまい。いまどきの若い者はだらしがないと切って捨てられるかもしれません。 こうした問題の所在がクリアになればなるほど政治の不作為あるいは逆噴射に対するストレスがたまることでしょう。「世代間の公平」を正面に打ち出した政党が出れば意外に票を集めるかもしれません。大胆に福祉に切り込み、一票の格差を是正し、極端に言えば将来を担う人々の意見がより政治に反映するシステム作りに特化する。自分自身もう少し若かったらやってみたかったと思うのですが、まもなく自分が「老いぼれ」といわれかねない状況ではちょっと説得力に欠けるかもしれません。 西村副総裁論文の続きが楽しみです。 |
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世代間の公平といって、年金削減すると、地域の商店で働く若者が、医療費削減すると、医療関係で働いていた若者が職を失うのではないのでしょうか。若者にとっての他人の不幸が、自分たちの幸福にはつながらないところが難しい。 |
ばすがすばくはつ 2012/01/18 00:23 |
夢物語ですが・・・ |
コナン 2012/01/18 11:37 |
民主政治とは、本来的には、選挙民各層の利害を選挙民が選んだ政治家が利害調整し、かつ、選挙民も自身の利害(私事)だけではなく公共の利益まで考えて政治に参加をすることだと思われるのですよね。 |
平ちゃん 2012/01/18 16:14 |
えーと、 |
無理無理蝸牛 2012/01/21 17:32 |
実はこういう統計に対して一番進んでる役所ってどこでしょうか。1財務省2経済産業省、3厚生労働省。 |
カル 2012/01/27 00:53 |
これが実は財政破たん議論の最大のポイントで、人口動態が変われば、実は悪いことばかりではないのです。 |
かる 2012/01/27 01:23 |
でもやっぱ民営化したってJRとNttってすどいのは、やっぱ技術者の夢があること、これは国家でないと。 |
かる 2012/01/28 23:58 |
とドメにひとつ、財政支出の乗数効果があるので、財政拡大で景気刺激ですよね。さて消費税でこの逆をやると当然逆乗数効果があるのは、論理的にも当たり前なのに誰もいわない。 |
かる 2012/02/04 01:02 |
というとで、財政資金を国にまかせて失敗だったので、土光臨調って、すばらしい発想です、はたして国鉄、電電公社、専売公社程、資産をもった実力のある官業はあるのかな。なんでのかんでも売却すればいいという発想がおかしい。 |
karu 2012/02/07 22:27 |
がすばくはつさん、コメントありがとうございます。ご指摘のようなことは確かにあるかもしれません。ただ、地方と都市との問題と同様、過剰にコストのかかっている低生産性セクターからより生産性の高いセクターに若者の労働力を移動させるということが必要なわけで、トータルで見れば全体の幸せにつながる可能性が高いと考えます。 |
厭債害債 2012/02/08 05:34 |
個人的に思ってるのは、公平感を語る前には相互理解が必要なので、「断絶した両世代に対話してもらう」というところから始めると上手くいくんじゃないかなぁ、と。 |
「世代間の公平」重要ですよね 2012/02/12 14:51 |
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