預金税は政府にとって一石三鳥
それだけではない。なんと預金や美術品にまで課税範囲が広がる可能性もあるのだ。
「予兆がある。2月15日、降って湧いたように休眠口座を財源に利用する政府案が全国紙で報じられたが、これが預金税導入に向けた〝アドバルーン〟ではないかと言われている。休眠口座とは10年を超えてカネの出し入れがない預金のことで、毎年800億円近く発生しているとされる。これを震災復興の財源に使うとの内容だったが、預金を財源に使うと国民はどんな反応をするのか。それを確認するという目的もあったのではと勘ぐられている」(民放キー局政治部記者)
時期を同じくして、橋下徹大阪市長が代表を務める大阪維新の会が預金を含めた資産への課税を強化するとの内容を盛り込んだ政策集原案を発表したが、これに前原誠司民主党政調会長が即座に反応し、「我々の考え方とかなり共通する」と語ってもいる。
いうまでもなく政調会長は民主党の政策立案の長であり、その前原氏が橋下氏の〝預金課税路線〟に同調することの意味は大きい。
「不動産や宅地だけでなく、預金や美術品など個々人のさまざまな資産を捕捉するには税務当局の〝自助努力〟だけでは難しく、国民ひとりひとりに番号を振る共通番号制度の導入が不可欠といわれてきた。そうした中で民主党政権が昨年、税と社会保障の一体改革の中で'15年1月から制度を導入する方針を決定、さらに2月14日には導入に向けた土台作りとして関連法案を閣議決定した。これでいよいよ〝正味資産課税〟の復活もあるのではとの気運が高まっているのです」(全国紙経済部記者)
にわかに議論が再燃している背景にはこんな事情もある。
「政府にとって預金税は2度おいしいんです。現在、預金の利子は20%が源泉徴収されており、捕捉率は100%。つまり、同じく源泉徴収できる預金税も簡単に課税、徴収できるということ。日本の税収を支える法人税、所得税、消費税の〝税金御三家〟の税収が年々低迷している中で、1500兆円の個人資産からダイレクトに取れる預金税は格好の財源になる。
もうひとつの利点が消費税増税と相性がいいこと。消費税は消費者の財布のひもをさらに締めて不況を招くデメリットがあるが、同時に預金税で口座に眠ったカネを吐き出させることで、消費減退を相殺できる効果がある」(国税庁関係者)
さらに、「もう一つうまみがある」と言うのは外資系証券会社幹部。
「日本国債を買い支えていた高齢者が〝国債離れ〟を起こしているため、新たな買い手が必要になっている。ここで預金税が機能する。
政府が預金税導入と同時に国債保有者への税制優遇措置を講じることで、いままで銀行口座にカネを溜め込んでいた人が『預金はマイナス金利で損だから、国債にカネを回そう』となるわけです。こうした政策はイタリアのモンティ政権も行っており、預金に印紙税をかけながら、自国の国債を購入する人には金利優遇を行い、自国国債購入へと誘導している」
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