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<福島第1原発>帰村か移住か、共同体に亀裂 飯舘

毎日新聞 2月26日(日)13時59分配信

<福島第1原発>帰村か移住か、共同体に亀裂 飯舘
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避難先の南相馬市から飯舘村の自宅に雪かきをしにきた女性。「村に戻って犬といっしょに住みたい」と話した=福島県飯舘村で2012年2月25日、小林努撮影
 東京電力福島第1原発事故で計画的避難区域に指定され、全村避難する福島県飯舘村。自然を生かし、助け合って暮らしてきた共同体に亀裂が入りつつある。村は除染を進めて5年後に希望者全員の帰村を目指すが、一部の住民からは「新村」への集団移住を望む声が上がり、「理想の山村」の再興に向けた道筋は見えないままだ。

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 「約50戸の除染モデル事業で6億円かかる。無意味だ」「放射線量が下がらないかもしれないのにやるのか」

 1月末、福島市に避難する村役場の会議室に、村内20地区の区長らが顔をそろえた。厳しい質問を浴びた菅野典雄村長は「やってみないと分からない」と答えるだけだった。

 人口約6000人の飯舘村は独自の村づくりを進めてきた。創造的な田舎暮らしを楽しむ村民の表彰、肉牛のブランド化。03年からは、方言で「丁寧に」を意味する「までい」をキャッチフレーズに自然エネルギーを生かしたスローライフの村を掲げた。

 村は今後、約3200億円をかけて住宅は2年、農地は5年、森林は20年で除染する考え。帰村を望む住民も多いが、福島市の借り上げ住宅に避難する農業、菅野哲(ひろし)さん(63)の目には、村の形の維持にこだわり、村民の生活をないがしろにしていると映る。「限界の暮らしを強いられる村民を助けてほしい」

 約20年前から村に協力してきた糸長浩司・日本大教授は、2拠点居住構想を提案する。国や東電の費用で30〜50年暮らせる分村を設け、線量が下がったら戻るという内容。糸長教授は「国が避難区域を見直せば、村はまた分断される」と指摘する。だが、菅野村長は「国が移住の面倒をみる保証はない」と、構想に否定的だ。

 移住を望む村民らは「新天地を求める会」を結成し、昨年11月から署名活動を始めた。村は直後、村の施設に「(施設内で)政治活動および各種署名活動を一切禁止する」と掲示したが、署名は200人分集まっている。

 村は帰村を巡り、住民の意向調査をしていない。移転を望む住民との対立は解消しないままだ。【泉谷由梨子、北村和巳】


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最終更新:2月26日(日)16時36分

毎日新聞

 

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