政治【主張】南スーダン自衛隊 国造りに持てる力発揮を2012.2.27 03:48

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【主張】
南スーダン自衛隊 国造りに持てる力発揮を

2012.2.27 03:48 主張

 東日本大震災で被災者救援の先頭に立った自衛隊が、アフリカの新生国家の建設に挑む。

 昨年7月に独立した南スーダンの国連平和維持活動(PKO)へ参加する陸上自衛隊第1次隊の主力、約120人が首都ジュバ入りした。5月から道路などのインフラ整備にあたる2次隊約330人の受け入れに備える。

 50度の猛暑など現地の環境は過酷だが、「子供たちの将来のために全力を尽くしたい」と、隊員らの士気は高い。定評のあるきめ細やかな活動を積み重ねて無事に任務を全うし、国際協力に汗を流す日本の姿を示してもらいたい。

 改めて野田佳彦首相に質(ただ)したいのは、なぜ武器使用基準の緩和を行わないまま自衛隊を送り出したのかに加え、この派遣にどのような国益を見いだそうとしているのかという点だ。

 アフリカ中央部の産油国、南スーダンの国家建設と安定化は国際テロ組織が入り込むのを阻止する意味もある。オバマ米政権はスーダン和平を重視しており、日米同盟の観点からも派遣は妥当だ。

 だが、日本自身にとっての派遣目的は何なのか。日本の国連安保理常任理事国入りにアフリカ諸国の支持を得る課題があるが、野田政権は常任理事国入りにどの程度の優先度を置くのか。

 資源を念頭に中国が南北スーダンに深く浸透し、日本も存在感を示す必要性が指摘される。自衛隊派遣を足がかりに難民、医療、教育の支援や民間投資を進めるプランを構築すべきだ。

 石油の利益配分をめぐる南北スーダンの対立や南スーダン国内の部族間衝突など治安状況は悪く、想定される5年の派遣期間の中で自衛隊が不測の事態に巻き込まれる懸念は拭えない。

 正当防衛や緊急避難時に限られている現行の武器使用基準を緩和し、任務遂行を妨害する行為も排除できるPKOの国際水準に合わせることが急務である。

 ハイチへの320人規模の自衛隊派遣も延長された。陸自の負担は増す一方なのに、防衛費は10年連続で減少し、陸自定員は15万5千人から15万4千人に削減された。多様な任務を完遂できる態勢を整えるべきだ。

 自衛隊員の活動が「日本人の誇り」になると主張する首相には、派遣の実をあげるため、あらゆる手立てを尽くす責務がある。

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