'12/2/27
被爆桜のクローン培養に挑戦
広島市中区の江波山に1本だけ自生する被爆樹木のヒロシマエバヤマザクラのクローン培養に、広島大付属高(南区)の生徒が取り組んでいる。樹木のクローン技術に優れた住友林業(東京)が協力し、老齢化が進む貴重な桜の継承を目指す。
エバヤマザクラは樹齢約160年で市天然記念物。通常5枚の花びらが最も多いもので13枚あり、京都の園芸の専門家が1994年、珍種と認定した。市は過去に接ぎ木で育てた苗を配ったことはあるが、枝を切る接ぎ木は老齢化した桜を傷める。
文部科学省のスーパーサイエンス校に指定されている同校は、培養に必要な無菌装置などを備える。授業でニンジンをクローン培養した経験がある生徒たちが、市の許可を得てエバヤマザクラのクローン化に取り組むことにした。
桜のクローン培養は培養液の選定などが難しいとされる。生徒は、京都・仁和寺の御室(おむろ)桜や岩手県陸前高田市の「一本松」のクローン化に独自の技術で成功した住友林業に協力を求めた。
具体的には、採取した冬芽から分裂組織を取り出し、複数の培養液に段階的に入れて葉や茎、根を育てる。順調に進めば、今夏ごろに苗木を土に植えることができるという。
【写真説明】住友林業の研究員(手前左)から指導を受け、ヒロシマエバヤマザクラのクローン培養に取り組む生徒
【写真説明】満開時のヒロシマエバヤマザクラ(広島市江波山気象館提供)