青山学区在住 1児の母
<陳情要旨>
草津市笠山の「医療観察病棟」建設計画の中止について
<陳情の趣旨および理由>
1.「滋賀県立精神医療センター 医療観察病棟」建設に関して、滋賀県病院事業庁は、近隣学区住民への周知徹底を図ろうとせず、住民からの要望によって平成23年9月にようやく住民説明会開催開始に至りました。しかしながら、説明会では住民からの疑問や質問に県職員はまともに答えることができず、大津市青山学区自治連合会から提出されたこの施設計画に関する質問・要望書にも、的外れな回答をするのみで、住民の理解を得るどころか、病院事業庁が住民の不安をあおるという事態を引き起こしているのが現状です。
2.病院事業庁作成の資料(添付)には、草津市玉川学区や大津市瀬田4学区の自治連合会や自治会長が「住民にこの情報を知らせる必要はない」旨の発言があったことが記載されています。また、住民説明会を開催した学区でも「議論が紛糾した」旨の記述があります。しかしながら、1月31日に嘉田由紀子滋賀県知事は「大方の住民の理解が得られた」とし、平成23年度内の建設着工を表明されました。「大方の住民の理解が得られた」根拠は何一つありません。すべて、県が住民を無視し、当初の計画通りに説明会の内容は問わず回数だけを重ねた事実があるのみです。対話というのは人と人が話し合い、お互い理解して初めて成り立つものですが県の姿勢はそれには程遠く、知事の着工表明によって、住民は県への信頼を完全に失いました。この報道後に初めて建設計画を知った瀬田、南草津近隣の住民も多く、また周辺の教育機関に属する学生や保護者には一切の説明もなく、滋賀県に対する不満の声がさらに多数上がっています。
3.本来、このような施設建設に関しては近隣住民への情報提供が徹底されるべきで、情報隠蔽体質のまま運営を行うと、万一の事故が起こった際に対応を誤りさらに事態を悪化させかねません。しかしながら、このような建設強行のやり方では、県と住民との信頼関係は全く築けず、およそ安全な施設運営は望めません。
4.県の財政が非常に厳しい中、病院事業庁の抱える毎年の赤字を補填可能な国からの予算が見込める医療観察病棟についても、準備室長の岡江晃氏は、「現実には医療観察病棟だけでも赤字になる可能性が高い」と説明会で発言されました。他県の医療観察病棟の事例を見ても、実際に黒字化は難しいと病院事業庁職員も発言しました。建物さえ建ててしまえばその後の運営に黒字が見込めなくてもよいのでしょうか。これ以上、県の財政を圧迫する種を増やす必要は全くないと考えます。
5.医療観察法については、その法律自体の不備がすでに多方面で指摘されており、それに基づく医療観察病棟についても破綻が目前であると考えられています。滋賀県精神障害者家族会連合会が2月1日に知事宛にこの施設の建設反対の意見書を提出、また、日本精神科病院協会県支部も一度は施設建設の凍結要望書を知事に提出しています。関係当事者が多くの疑問を抱き、建設について反対や凍結を訴える現実があり、他府県での施設建設が芳しく導入されないということを踏まえても、この施設そのものに多くの問題があると懸念せざるを得ません。
6.すでに県の情報隠蔽体質も、住民を欺く方法で建設強行する姿勢も、多くの県民が知る処となりました。ひいては、これを決定した県議会、関わった厚生委員会の議員諸氏の責任は重大であると考えます。万一の事故が起こった場合の責任の所在が不明瞭であること、また施設近隣への他府県からの患者が移住する可能性を拒否できない現実があることを踏まえ、今一度、住民の立場に立って建設中止についてご協議頂くことを切にお願い申し上げます。